ダーク・ファンタジー小説
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- チェイン
- 日時: 2019/08/04 21:43
- 名前: にゃあこ (ID: xs5T8t9X)
化け物たち殺人鬼、彼らを確保し従える監察官。
突然、現れた殺人鬼たちの正体や現れた経緯を探っていく。
とある日本人監察官の話である。
- Re: チェイン ( No.1 )
- 日時: 2019/08/05 11:49
- 名前: にゃあこ (ID: xs5T8t9X)
夜桜希愛、対殺人鬼署の署長ロゼリア・ヴィーゼルは彼女の
書類に目を通す。年齢22歳、国籍は日本。
「おいババア、何にやけている」
「誰がババアよ!まだぴちぴちの20代なのよ!?この子の国籍を
見て羨ましく思っただけ」
彼女の従えている狗、ギルは覗き見る。
「そこまで羨ましいか」
「えぇ、特に私は京都や奈良に行ってみたいわね。日本は
最高よ。あ、帰って来たわねオスクロル」
中年の男、教官オスクロル・ラングレーは息を吐いた。
「アンタの教え方、結構スパルタだけどノアのほうはどう?
なぎなた?とかきゅうどう?っていうのをやってたって書いてあるけど
実際に見たりしたの?」
「えぇ構え、腕前は完璧ですよ」
何やら嬉しそうに話している。彼の戦闘教育は厳しい、それは
誰にも死んでほしくないという気持ちの表れでもある。
一方ノアは息を切らしつつラファエラ・ユンゲラーと共に
牢獄へ来ていた。彼、否。彼女にも狗がいる。リヴという少年だ。
「お前は東洋人だと聞いている。何故ここで働く?日本のほうが
平和で安全だろう」
「理由ですか?まぁ…ネタ探しです」
ラファエラが首を傾げる。
「私は日本では小説家を目指してまして。そのためには色々
経験しないと、と思ったんです」
「そうだったのか。じゃあ私たちはここまでだ。一応鍵は渡して
おくから。良いのが見つかって交渉成立したら解放してやると良い」
ラファエラから鍵を受け取りノアは牢獄内を歩いた。
- Re: チェイン ( No.2 )
- 日時: 2019/08/05 18:05
- 名前: にゃあこ (ID: xs5T8t9X)
「ねぇ」
そう声を掛けてきたのは赤髪の少年だった。
「お願いがあるんだマスター。俺、ちゃんと言うこと聞くから
ここから出させて!」
「…いいよ。といっても私、まだまだ今日来たばかりだし
頼りにならないかもしれないけど」
苦笑する。地下の扉が開きラファエラたちがやって来た。
「決まったかノア」
「うん、私この子とペアを組むよ」
ラファエラは微かに笑った。ノアは鍵を開け彼を解放する。
「私はノア、貴方は?」
「俺?俺はグリタール、よろしくね」
「ノア、何か決め手はあるのか?彼にした決めて」
ラファエラにそれを聞かれノアは足を止めた。
「…何だか悲しそうだったから、かな?」
「?そうか」
再び歩きだし地下を出ようとしたとき再びノアは足を止めて
振り返った。何処か哀し気な表情をしている。
「どうしたの?マスター」
「…ううん何でもない。ペアって一人だけなのかなぁって…
この中に前の監察官を無くして独りぼっちの子も多いのに…」
「待て、何でお前が知っているんだ?狗の過去などは履歴書を
見なければ分からないはずだ」
少し厳しい口調でラファエラは言い放った。
「分かります。目を見れば何となく。サイコメトリーって
言うんですかね?昔から何となく過去が分かるんですよ私」
微笑むノア。地下を出ていく。
- Re: チェイン ( No.3 )
- 日時: 2019/08/05 18:41
- 名前: にゃあこ (ID: xs5T8t9X)
初任務、足場が悪い森だ。ノアは何度か転びかけ何度も
グリタールの手を借りていた。そして一軒の小屋の前に
やって来た。
「ここ…家?」
「そうみたいだね。誰もいないらしいし中に入ろうか」
ノアがドアを開ける。中に入るとそこは綺麗に掃除されている。
中を進み、ある部屋に入ると多くの本が置かれていた。その中に
一冊だけ作りが違う本がありそれを手に取る。
「やっぱり…和紙で作られてる」
「わし?って何?」
「んー説明は難しいけど…他の場所で作られてる紙だよ。
ペンで書くんじゃなくて筆で書く紙」
裏表紙にはローマ字で『よざくら』と書かれていた。そう
よざくら、である。最初の一ページ目次には漢字とひらがなを
使い幾つか項目が書かれている。研究日誌のようなものらしい。
『私は知識をフル活用し超人を作り出す研究を行った。だが結果的に
私は大罪を犯した。だがもう引き返すことは出来ない。自分の
子孫なら上手く解決してくれるだろう。だがこの負の連鎖を止める
には条件が』そこから先には赤い何かが染み込んでいて分からない。
「マスター逃げて!!」
「え!?」白い人型の怪物たちがノアに飛びかかる。銃を構える
余裕すらない。ノアの前に獣人のような姿のグリタールが現れ
怪物を一掃する。
「あ、有難うグリタール。それとごめんなさい」
「何で謝るの?もっと俺を必要としてよマスター!俺の事は
殺しても良いからさ!」
「そんな事、言わないでグリタール」
ノアはグリタールをそっと抱いた。グリタールは小さく頷く。
- Re: チェイン ( No.4 )
- 日時: 2019/08/05 20:54
- 名前: にゃあこ (ID: xs5T8t9X)
「何を言ってるんだ!ディーヴァ!」
怒鳴ったのは黒髪の女性だ。彼女は目の前の金髪の男ディーヴァを
睨む。
「彼らは子どもだ。もうこんな研究はしたくない!」
「何故だ!有栖!何故この研究の素晴らしさが分からない!?この
研究が進めば我ら人類は大きく進化できる!」
「そのために子どもたちを使うのか!?私の術を…こんな研究の
ために使うなど、もう私はお前にこの術の力を託すことは出来ぬ!」
有栖という女性が顔を真っ赤にしている。何かの術士らしい。
何の研究の事なのだろうか。
「…ター…マスター!良かったぁ!!」
気付くとそこは自室だった。わざわざグリタールが運んでくれた
ようだ。周りにはロゼリアもいた。
「初任務、ご苦労だったな。うなされていたようだが何か
悪い夢でも見たのか?」
「あ、いいえ大丈夫です」
「ふむ…そうだ!他の職員が色々調べて少し気になる資料を
集めてきた。その中にノア、貴方と同じ苗字が書かれたものが
あったの」
夜の桜と書いて夜桜、フルネームでは夜桜有栖と書かれている。
さっき見た黒髪の女性も有栖と呼ばれていた。
「私が持ってて良いんですか?」
「えぇ。それと少し…貴方を狙っている殺人鬼が数人いるという
情報が届いてるわ。だからもう一人、狗を増やすわ。それで
貴女に世話を任せたい子が一人、ね」
ロゼリアに連れてこられてまた地下の収容所に来た。
- Re: チェイン ( No.5 )
- 日時: 2019/08/06 18:27
- 名前: にゃあこ (ID: xs5T8t9X)
扉が開き中に入って来たのは数人の監察官と狗たち。
「ノアちゃん聞きましたよ。急に任務が終了したら倒れたって。
慌てましたよミーチェと共に」
ミーチェと呼ばれた橙色の長い髪をした少女がノアに抱き着いてきた。
「ノアサン心配したんですよ?ノアサン優しくて良い人だもん!」
ノアはそっとミーチェを撫でた。嬉しそうにしているミーチェを
羨ましそうにグリタールは見ていた。
「リエンさん、来てくれたんですね」
「えぇ、ミーチェが貴女にも懐いているようですから。ミーチェ、
他の子にも譲ってあげましょう」
ミーチェと入れ替わりに近寄って来たのはグリタールだった。
「ねぇねぇマスター!俺も、俺も撫でてくれる?」
「うん、いいよ」
グリタールの頭を撫でる。さっきまで暗い顔をしていたがすぐに
笑顔に変わった。
「で、ノアそろそろ動けそうかな?」
医師ヴィリアはそう聞いた。ノアは頷き少しふらつきながらも
ノアは立ち上がった。
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