ダーク・ファンタジー小説
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- 寒さの向こうは。
- 日時: 2019/11/14 18:27
- 名前: ユヲン (ID: cFK/w3CU)
いつだって、手を伸ばせば暖かい体温を感じた。
握り返してくれるのは当たり前のこと。
それが「普通」だと思ってた。……思ってた。
でも、それはただの幻想。妄想。現実逃避。
伸ばした手の先には果てしない闇だけが広がる。
手を包むのは暖かい体温などではなく、空っぽで冷たい虚構。
それが本当。事実でありリアル。
幸せを、体温を感じられるのは薄い薄い硝子の箱の中だけ。
少しでも間違ったら、ヒビが入ったら、あっという間に粉々だ。
綺麗な時間はおしまい。やって来るのは真っ暗闇。
それでも、もがくのは何故だろう。
闇を照らしてくれる物など何もないのに。
ランタン探しをはじめるには遅すぎた。
壊れてから初めて気づく、大切なもの。
硝子の箱の中で感じていた明るい光。
それはもう、戻らない。戻れない。
このまま進んでも、何もない。
自分を蝕む孤独しか感じない。
…僕は何処へ行けばいいのかな。
○注意書き
初めまして。ユヲンと申します。
僕は文才なんざ母さんの腹に置いてきましたが、
気長に見守ってください。
誤字脱字もあると思いますがそのときは暖かい目で見逃してくださいな…
よろしくお願いします。
- Re: 寒さの向こうは。 ( No.1 )
- 日時: 2019/11/15 19:47
- 名前: ユヲン (ID: cFK/w3CU)
しんしんと雪の降り積もる日。
そんな日に僕は生まれたらしい。
周りを山と海に囲まれたこの村で村民達が
手を取り合って、協力して。
他の町との交流が少ないこの村は、産婆すら居なくて
大変だったとかなんとか。
僕は知らないけど、姉さん曰く
「皆、必死すぎて逆に怖かった」
だそう。
過疎化が進み始めた村のお手本のようなこの村は全員が知り合いだ。
皆が皆、幸せそうで楽しそう。
僕や姉さんと同じ年頃の子供は少ないし、爺ちゃん婆ちゃんも多い。
でもその分、子供たちは猫可愛がりされるので嬉しい。
母さんと父さんも優しいし、僕はこの日々が好きだ。
星は綺麗だし、空気は澄んでるし。
ずっとここに居てもいいかな、とか思える。
「僕は、それがいいな…」
そっと声に出してみる。
言葉と共に白い息がふっと出てきて、一瞬で霧散した。
それが何だか無性に面白くてふふっ、と笑い声が漏れた。
空を見上げると薄暗い雲が立ち込めてきている。
今日の夜には雪でも降りそうだ。
僕が生まれた時のように、しんしんと降り積もる…かもしれない。
そうしたら、姉さんと雪だるま作り競争をしよう。
今年こそは、と意気込んで僕は帰路を急いで駆け出した。
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