ダーク・ファンタジー小説

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メモリアルリロード
日時: 2019/12/26 22:57
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

プロローグ。

私は異世界でアルトリア・ロードハーツという女性となっていた。

倒れていた私を助けた大国アルカディアの戦士たちに口をそろえて

皇帝になってほしいと頼まれてしまった。どうやらこの名前、

戦争をしていた三つの国をまとめ上げた皇帝と同じ名前で今、

皇帝が失踪してしまい新たな皇帝を探して居たところらしい。

異世界で突然、皇帝になるなんて…大丈夫か!?私!!

Re: メモリアルリロード ( No.1 )
日時: 2019/12/29 14:19
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

窓辺に座る長身で細い体の男の煙管から煙が出ている。微かに開いた窓から煙はスッと外へ

消えていく。体内に毒を持つ男ギーヴが語るは同じアルトリアの名を持つ男の話。

「その男は人間にしてはあまりにも強すぎた。上級の魔物を圧倒できる力を持っていた。

プラス、どんな者もまとめ上げるカリスマ性もね。君がどうやってその名前と姿を持って

ここに来たのかは分からないけど、もしかしたら彼を探す手がかりになるかもな」

「そうなの?」

聞き返すと彼は「さぁ?」と首を傾げて返した。

「とにかくアルトリア、君には皇帝に即位しいち早く復興したての国を安定させてもらう。

大丈夫、君にはその名前がある。ゆっくりこの生活に慣れることだ」

そう言われた。

Re: メモリアルリロード ( No.2 )
日時: 2019/12/29 22:15
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

「あんたがアルトリアか?」

突然、獣人の男に声を掛けられた。白い髪と耳、尾を持つ。

名をガルグという。

「そうだけど…どうしたの?何かあったの?」

彼はジッとアルトリアを見つめる。

「やっぱり…あっちのアルトリアに似ている。そのまま性転換した

みたいだ…」

「当たり前です。色々調べて分かりましたが彼女はあの人と同じ

異世界人。あの人の複製魔術アヴァロンにより彼女にあの人と似た

容姿、そして持っている魔力、知識を与えられたと考えられます」

褐色肌、長い銀髪、そして片方が折れた二つの角を持つ男が

詳しく説明する。失踪した男アルトリアの従者、シルヴィアだ。

「性別や性格が変わろうとあの方が選んだアルトリア様なら私は

貴方に忠誠を誓う」

その言葉はとても力強い。おしとやかな容姿からは想像できない

男らしい覚悟があるように見えた。

Re: メモリアルリロード ( No.3 )
日時: 2019/12/31 15:32
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

ここ、アルカディアの中央都市セレーノは戦争が終わったという象徴的な町である。

消息不明の皇帝と結びつきが強いネージュ帝国、そしてシュトゥルム、グランディネの三つ。

「やぁやぁ、どうだい?皇帝さん。生活には慣れてきたかな?」

「仮にも皇帝に…口の利き方が悪いぞエンジュ」

二人とも髪型や口調、声、性格は違えど似ているところが多数ある。

エンジュと呼ばれた男は自由人な傭兵。もう一人の男、ヨウカは

神父で人狼と人間の混血だ。

「それなりに。とは言ってもまだまだ助けられることの方が多いけど」

「十分じゃないか?ギーヴが言うにお前は行方不明の皇帝さん自らが

代わりに選んだ異世界人アルトリアなんだろう」

エンジュがアルトリアを見つめる。

「皇帝がいることに今は意味がある」

そう言ったのはヨウカだ。

Re: メモリアルリロード ( No.4 )
日時: 2019/12/31 15:57
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

突然、城に乗り込んできた狼の獣人シードは戦に生きる傭兵。

戦闘という楽しみを返せと文句を言うためにアルトリアの元に

来たようだ。

「いやそれを私に言われましても」

「はぁ?だってお前、ここの皇帝だろう?それにあの男が選んだって

いうんだ…だったら楽しめるだろう」

楽し気な笑みを浮かべるシードは背負っている大剣を振るう。

だが彼は不満げな表情に変わる。

「この糸…あーそうだった忘れてたなァ」

「忘れられては困るな。皇帝に指一本触れるな」

シルヴィアはシードを睨む。

「…私的に早く帰ってもらいたいんだけど、どうすれば帰ってくれる?

何をすれば満足してくれるの」

「話が早いな皇帝。決まってんだろ、戦いだよ」

「分かった…あ、でも期待しないでよ?戦いなんてやったことないから」

不安になる要素が多いが楽しめるならシードはそれで良かった。

「じゃあ先手は貰うぞ!」

シードが素早く距離を詰め大剣を振りかぶる。タイミングを見計らい

右後ろに逃げる。不慣れとは言いつつ動きはかなり滑らかだ。相手も

大剣を振るっているとは思えない程俊敏な動きでアルトリアを狙う。

壁に追い込まれアルトリアの頭上に大剣が迫って来た。

Re: メモリアルリロード ( No.5 )
日時: 2019/12/31 17:53
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

その大剣を伝い体の芯がブルブルと震えシードが顔を顰める。

緑色の光沢を放つ美しい盾。

「冗談じゃねえ…!」

悔しそうだが顔には笑みが張り付いている。高揚しているようにすら

見える。アルトリアという男も同じ術を使っていた。彼はそれを

こう呼んでいた。

—木星術・ジュピタースクード

彼女は盾を手に取り横に薙ぎ払った。風と木の属性を合わせ持つ

この盾。薙ぎ払えば突風が吹き荒れる。大剣をもってしてもその風には

耐えきれなかった。壁に背を掛け立ち上がった途端、シードの視界が

ぐらりと揺らいだ。衝撃が大きかったようだ。戦闘を続けられそうも

ない。片手をあげ降参の合図をする。盾を手放したアルトリアは

シードに駆け寄った。

「大丈夫?でも私が勝ったからさっきの話は無し、ね?」

「分かってるさ…昔を思い出した。これで二度目だ、完敗したのは」

ゆっくりと立ち上がると彼は城を立ち去っていく。覚束ない足取りで。

少しこの力や世界観に慣れてきた気がする。やはりここでは常識は

通用しないらしい。


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