ダーク・ファンタジー小説
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- ミイられた
- 日時: 2020/01/28 12:00
- 名前: 咲斗さん (ID: jmxtpCAp)
今回のお話は私の創作世界のキャラクターである「Deep」が
主人公となっています。
キャラの詳細な後々おだしするかもしれませんが、
今回はただの登場人物だとお考えいただければ幸いです。
彼女に救いの手は差し伸べられるのか、貴方のご想像にお任せします。
ミイられた、という言葉の意味は皆様のご想像にお任せします。
この物語の主人公の状況、言動を加えて三つの意味が込められていますが、これは私の解釈にすぎません。
結局は物語の主人公の意図なので、正解はありません。
- Re: ミイられた ( No.1 )
- 日時: 2020/01/28 11:43
- 名前: 咲斗さん (ID: jmxtpCAp)
全てを味方につけよ。完璧で美しくあれ。
そう教えられてきた。
血筋に見合う出来を、その出来に見合う性格を、その性格に見合う容姿を、その容姿に見合う交友関係を。
全てを強いられた。
私はその通りに生きてきた。
そうしていたらいつの間にか何事にも惹かれなくなってしまった。
物事も、欲求も、人間関係も。
言われたとおりにこなしていればいいのだから、どうでも良い。
長年そう思っていた。が、惹かれてしまった。
ある古書店で出会った一冊の古書。
真っ黒な装丁でラテン語であろう言語で書かれている。
真っ黒な装丁のはずなのだが一瞬、ナにかが見えた。
手書きで書いたような歪な星型。
その中心に模様が見えた、気がしたが何度見返しても見当たらない。
あらゆる可能性を考えてみるがあの一瞬で起きる反応となると限られてくるはずだ。
だが、どの現象の条件にも当てはまらない。
興味を惹かれたのだ。
この本の、あの模様の現象を突き止めよう。
そう思い古書店の店主に声をかけると、私の顔を見つめ「…早かったね」といって本を押し付けるように私に渡した。
代金を払おうとするが店主は受け取らなかった。
不思議に思いつつ受け取り、店を出た。
それからは早かった。
本の正体を暴くことはできなかったが、おおよその予想はたてられた。
どうやら宗教に関する書物だということ、この宗教に魅入られた人は狂気に引き込まられるということ。
他にも宗教団体、彼らが崇めているとされている神々について、その従者たちの生態についてなど調べれば調べるほど情報がこぼれ落ちてきた。
そうして辿り着いたのがこの本の著者だった。
著者の名前は「Honey・Gold」。あからさまに偽名だったがそんなことどうでも良かった。
この本の正体さえしれればいい、それ以外は興味がないのだ。
私は著者の元を訪問した。そして、正体を聞いた。
その正体は、私の元に訪れた。
あの日から、私は身分を隠して生きている。
アレに捕まったら生きていけないだろう。
死ぬことなく無の空間で生かされる。無限の時を、人類の滅びの瞬間を、この瞳に焼き付けられる。
そうわかっていても、この手から古書を手放せなかった。
この力は私のものだ。この力で、彼らを追いかけなければならない。
この黒い装丁の本を調べる過程に手に入れた多くの古書も、まだ手元に残っている。
いつでもアレは見ている。私は彼らに魅入られた。同時に、私は彼らに魅入ったのだ。
すぐそこに、私の帰りを待つかのように居る。
- Re: ミイられた ( No.2 )
- 日時: 2020/01/28 12:01
- 名前: 咲斗さん (ID: jmxtpCAp)
そう怯えて暮らしはじめてどのくらいの時がたったのだろうか。
死ぬことのない体になり、魂もアレに取られないようにした。
戸籍を捨て、会社もやめてきた。
親の元には私にした死体を置いてきた。
友人の元には最期の手紙を置いてきた。
これから私は彼らとともに生きていく。
私の周りを飛び回る小さな、勇気のある彼ら。
アレとの戦い方や、逃げ方を教えてくれているのは彼らだ。
もっと力を手に入れなければならないと彼らはささやく。
さぁ、力を。対抗手段を。命を手に入れなければ。
END
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