ダーク・ファンタジー小説
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- グランドアヴァターラ
- 日時: 2020/02/15 18:18
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
プロローグ
アルトリアという異世界人少女にこの世界で必要になる知識や技を教えた男。
同時に彼女が迷い込んだ国アヴァロンに存在した王ペンドラゴンが存在していた。
アルトリアの言葉から彼女がペンドラゴン直々に選ばれた人物として彼女を新たな王とする
ことになった。彼女はペンドラゴンが目指していたカナン帝国との同盟そして帝国に存在する
眷属軍の開放である。
調和の旗の超リメイク版。
第一章「その手で掴め」>>01-06
- Re: グランドアヴァターラ ( No.1 )
- 日時: 2020/02/02 15:00
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
第1話
道を歩くと黒い軍服を着た青年が立っていた。
「貴方がアルトリア様ですね。僕は黒百合騎士団団長シウと申します」
黒百合騎士団、ここアヴァロン王国に存在する騎士団だ。ペンドラゴンと名乗る男から
託された記憶にあった。
「早速で申し訳ないのですが…貴方に王を継いでほしいのです。今は王が不在、無駄な
争いは可能な限り避けたい」
シウの言葉に彼女は相槌を打つ。それは避けたい。上に立つことは柄じゃないが腹を
決めるしかないようだ。彼に案内してもらい城にやってきた。目の前にそびえ立つ城には
迫力がある。中に入ると既に数人の人物が待ち構えていた。そのうちの数人はシウと同じ
黒百合騎士団の団員らしい。
アルトリアの眼にたった一人周りより頭一つ分ほど飛びぬけた背丈の男が入った。
彼もアルトリアが自分を珍しそうに見ているのに気が付いたようで彼女はサッと目を逸らす。
額にある目だけが開いている。
「恥ずかしがらないでくださいアルトリア様」
彼はアルトリアに気を遣い少し身を屈める。長い黒髪が床につく。
「私はサリバンと申します。サイクロプスという種族と精霊族の血を引く半巨人です」
サイクロプス、巨人種だ。その血があるからこそ周りよりも背丈が高いようだ。
- Re: グランドアヴァターラ ( No.2 )
- 日時: 2020/02/02 19:38
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
第2話
アヴァロンと同盟を結ぶ小国シャンバラ連合国。アヴァロンで動くシャンバラ出身の
忍たち夜鮫隊。その中の一人、ヤイトは木の枝に立ち顔を強張らせた。たった一人で
ざっと十万はいる軍勢を殲滅させた謎の男。その男はかなり目がいいのかすぐに自分の
存在に気付く。危険を察知し彼は身を退いた。
「…ってワケです。すいません、戦闘は好きじゃないんで気が付かれたときに退きました。
アルトリア様、前国王がやろうとしていたことをやるって張り切ってるんですよね。
大丈夫ですかねぇ、結構面倒くさそうでしたよ」
鮫の口のような仮面で顔半分を覆っているため声が籠って聞こえる。
「そういえば…アルトリア様とサリバンさんは?あの大きい人、いませんね」
ヤイトは辺りをキョロキョロと見回す。サリバンの第一印象はやはり背が異様に高いと
いうことらしい。そのことをサリバンは気にしていない。
その頃、城の別の場所ではアルトリアとサリバン、そしてシウの三人は有翼種に会っていた。
そのうち一人はたまたま一緒に来てしまった男だ。
「わ、わぁ…大きいだ!」
訛りが強い話し方をする烏天狗の青年はルチル、有翼種の族長ヘリオドール、常人を超えた人間
シン。その三人だ。
「確かお前はサイクロプスの血を引くと言っていたな。で、そっちのが新しい王様か?俺は
ヘリオドールだ。これからよろしく」
「アルトリアです、よろしくお願いします」
ヘリオドールは目を見張る。ペンドラゴンをそのまま性転換したような容姿をしている。
- Re: グランドアヴァターラ ( No.3 )
- 日時: 2020/02/05 19:46
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
第3話
「オイ。随分と楽観的なんだな」
「カルラ、いつの間に…彼女にはそれなりの実力があると思うが。お前の場合は自分で
試したがるだろうと思ったよ。というわけだ、見極めさせてもらうぞアルトリア」
カルラと呼ばれた青年の両手足は鳥の足だ。より鳥の獣人らしい姿をしている。彼は
武器を何も持たずに構えた。アルトリアの肩をサリバンは突く。そして白い布に包まれた剣を
手渡す。
「え?何この伝説の剣的な奴…」
「武器。ペンドラゴン様は使わずにいましたが貴方へのギフトです」
布を剥ぎ取ると美しい白銀の刃が見えた。鋭い銀色はカルラを捉える。
「オイオイ本当に使えるのか?見た感じ構えが初心者だぞ」
シンは鼻で笑う。
「捕捉しますがアルトリア様はペンドラゴン様の持つ知識や技などを受け継いでいます。
つまり…」
「ペンドラゴン同等の戦闘力を持つ、そういうことだろ?」
言葉の先を説明したヘリオドールにサリバンは頷いた。カルラの攻撃を躱しながら隙を
見極める。
「(こいつ…それなりに力はあるみたいだな。構えがあれだからどうなのかと思ったが…
見えてやがる)」
カルラの前蹴りを伏せて躱したと思いきやカルラは微かな痛みに顔をゆがませる。脇腹に
浅い掠り傷が出来ていて剣を水平に持ち前傾姿勢で横を潜り抜けるアルトリアに舌打ちする。
「んなっ!?」
回転しながらの裏拳は固い壁に阻まれた。剣を地面にさしている。白銀の壁は絶対に
アルトリアへの攻撃を許さなかった。白銀の光は次第に強さを増していく。
「もう、いいですか」
「…どういう意味だ?降参か?」
「そうじゃない。戦いを終えてもいいかなってこと。これから仲間になるのに嫌だからね」
剣の刃は切れぬように布が巻かれていた。この勝負に自分は負けた、カルラの心に敗北という
二文字が染みついた。
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