ダーク・ファンタジー小説

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プリズナー・パトリオット
日時: 2020/02/18 22:24
名前: フォード隊長 (ID: .tpzY.mD)

2025年12月24日、日本の平和が遠ざかったクリスマス。
徐々に上がる税金、何度も会議を繰り返しては事態が全く解決しない国会、国外からの圧力や互いの主張が認められず対立していく国民達・・・。
すべてが積み重なったものが火山の様に噴火した。
出所の分からない武器が流出したことにより、銃等を手にし過激化した左翼が隣国の侵略を許すなと入国者を片っ端から捉え出身国を特定したのち殺害。
SNSで互いに批判しあう者にも銃が渡り街中での乱射が全国で同時に発生。
警察や自衛隊が出動するも事態は収まりがつかず国内紛争に発展。
ついには大量の鉛玉が国会議事堂に浴びせられ大惨事となる。
国外からも見放され、次々と死体が増えていく日本。
そんな完全無法地帯となってしまった日本で、小さながらも抗う者たちがいた。
これは、過ちを犯し判決待ちである愛国者達の物語である。

Re: プリズナー・パトリオット ( No.1 )
日時: 2020/03/12 22:59
名前: フォード隊長 (ID: .tpzY.mD)


第 1 話  < 有効活用 >



有効活用の意味を知っているか?
まぁ、これが分からなきゃそれでおしまいだ。
意味はその名の通り有効に活用する、そのまんまだな。
本来は価値があるのに余り使われていない状態にある物や資産などを十分に利用し活用する。
普段使われている言葉だが、その意味を聞かれると完璧に答えられる奴はいないと思う。
有効活用は殆どが形ある物に使われている。
簡単に例えるなら、環境問題で訴えられてきているプラスチック。
自販機などで購入する飲み物は缶やペットボトルに詰め込まれている。
飲み切るとそれらの容器は空になるだろう?
空になった容器は隣に置いてあるカゴに分別されて捨てられる。
捨てられた容器、プラスチックでできたペットボトルは回収され処理される。
処理されたペットボトルは原型をとどめることなく切り刻まれるか溶かされるかして別の素材として復活する。
するとどうだ、別の素材として復活したそいつは別の形で生み出されるわけだ。
わざわざ最初から作らなくとも、今あるものを使えば手間が省けるしコスト削減にもなるわけだ。
これを説明すると皆してそれは再利用だという。
確かにそうだな、だがそれは工程であって結果じゃないんだ。
ペットボトルを処理して別の素材にする、これが工程で再利用。
じゃあ結果は何かって?
再利用が永遠と繰り返される、これが結果で有効活用されているわけだ。
さっき説明した意味と全然違う?
いいことを言うな、その通りだ。
本来は価値があるのに余り使われていない状態、俺が例えたのは普段日常で使われているペットボトル。
ペットボトルが使われていないなんてことはあり得ないだろう?
前置きが長くなったな。
こんなことを言っておいてなんだが、はっきり言おう。
世の中辞書通りにはいかないってことだ。
辞書には物を対象とした事が前提として書かれている。
なら俺は新たに書き足しておこう。
−本来は価値があるのに余り使われていない状態にある物や“人”、資産などを十分に利用し活用する。
なぜこんな説明をしているか気になるだろう?
・・・今、俺が置かれている状況がそうだからだ。

<39、いつまでも隠れてないで反撃しろ。囮としての仕事を果たせ>

「っざけんな!命の有効活用なんざ辞書に書きたきゃねぇんだよ!」

集中攻撃を浴びた壁が気づけばボロボロだ。
弾除けとして身を隠した壁がこうも容易く崩れていく。
おかしいだろう、ブロック塀だぜ?
敵がぶっ放している弾は7.62mm弾か?
いや、貫通せず割れるような感じは多分ポイズン・バレットだ。
縦回転した銃弾が人体の内臓をかき混ぜてくれる最高に質の悪い弾だ。

<サンドバッグになればいい、そうすれば辞書に書き足さずに済むぞ>

「その時はてめぇの事を糞という単語に付け足してやるぜ!」

手にした小銃を構え、伏せ撃ちで敵の頭を一発ずつ確実に吹っ飛ばす。
8発中8発命中、タイミングよく弾切れとなった。
槓桿が後ろで止まり、薬室を覗くと弾は入っていない。
弾倉を外し、弾の入っている弾倉を差し込み再装填。
一通りの動作は現役時代に叩き込まれたもんだ。

<ところで39、お前のパートナーはどうした?>

「サボってんじゃねぇかって?26は風呂で上せたようにぐったりしてるぜ」

俺が数十分前に立っていた所に目をやる。
さっきまで興奮しまくってた大馬鹿野郎の死体が転がってやがった。

<ならしゃべってないで身を晒せ>

「・・・冷たい事で」

<そいつは死んだことで罪を償ったんだ、働け>

そう、あの大馬鹿野郎は死んだことで罪を償った。
いや、償わされたとう表現が正しい。
誰が好き好んで銃弾を浴びるんだよ、まったく・・・。

「弾が半分を切った、補給ポイントはどうした?」

<何を言っている?補給ポイントはすでに破棄、部隊は撤退したぞ>

クソッ、仕事が早い連中だ。

<んだと!?ざっけんじゃねぇぞ番犬!>

<弾がなきゃ話になんねぇぞ!?>

<こっちは弾切れだ、動けねぇ!>

無線機から他の連中の声が一斉に聞こえてきた。
そりゃ文句もいいたくなるだろう、弾がなきゃまともに戦えもしない。
いよいよヤバい状況だ。

<騒ぐな馬鹿共、作戦内容を忘れたか?お前らの任務は普通科連隊の移動が完了するまでの間の囮だ。弾がなければフラダンスを踊るかサンドバックになるかして敵を引き付けろ>

<てめぇ後で・・・・ッ!?>

突然1ブロックとなりの区域が吹っ飛んだ。
敵が迫撃砲を使って攻撃してきやがったんだ。
あの様子じゃあそこにいた連中は全滅しただろう。

<迫撃だクソッタレ!>

<68が吹っ飛んだ!一緒にいた67も顔が捲れてやがる、直撃かよ!?>

67の顔に榴弾が命中とは、運のない奴だ。
となるとここもヤバい、さっさと移動しないとローストにされちまう。
俺が籠城している場所がガソリンスタンドだからな、いつ尻に火がついてもおかしくない状態だ。

「おい誰か!迫撃してるクソッタレがどこにいるか分かるか!?」

ひとまず駄目元で聞いてみる。
迫撃の脅威から回避するには脅威の元を排除する他ない。

<こちら45、39やる気か!3ブロック先の立体駐車場屋上、丸見えだぜ!>

「生きてたら奢ってやる!来れる奴は来やがれ、現地調達だ!」

<面白れぇ、全員花火の中に突っ込むぜ!>

皆一斉に走り出した途端に敵からの集中攻撃が再開された。
関係ねぇ、さっさと迫撃砲をいただいて敵の本勢力にドデカい癇癪玉をぶん投げてやろう。
囮がいつまで続くか知らねぇが、さっさと移動を終わらせろや鈍間連隊。
重く感じる体を起こし小銃を片手に全力で敵の迫撃砲へと駆ける。
色々と最悪な事態だが、唯一の救いは身に着けている装備が軽い事だ。
一般部隊なんか最新鋭の装備を大量にぶら下げいているために重量が増加する。
特に防弾チョッキは重い。
それに比べて俺たちが身に着けているのは88式鉄帽と防護範囲の狭い防弾チョッキ、弾納に無線機と小銃と拳銃のみ。
必要最低限のものしか装備していない。
そのおかげか全力で駆けても装備が邪魔になることはない。
敵からの攻撃を躱しつつ少しずつ目標へと近づく。

「39!ここにいたか」

一時的に身を潜めた所には無線交信していた45が弾倉交換をしていた。

「数分ぶりだな45、他の連中は?」

「アヒルの行進じゃねぇんだ、敵の迫撃砲を囲むように散らばってる」

「上出来だ、合図は?」

「23が偵察に出てる、奴の潜入はトップクラスだぜ」

「偵察待ちか」

23は度の過ぎる盗撮を積み重ねたことにより囚人扱い。
信じられるか?
盗撮で囚人になったやつなんて聞いたことがない。
話を聞けばある官僚が愛人とホテルの最上階での営みを盗撮しSNSに投稿。
それに激怒した官僚はサイバー対策を使ってそいつを特定。
容赦なく牢屋にぶち込んだってわけだ。

<こちら23、45へ。砲弾はたんまりある、人員は14名!>

「OK、てめぇら準備できてっか?」

<こちら24、早くおっぱじめようぜ!>

<13、尻は任せな!>

俺たちを追撃してくる敵は13達が食い止めれくれるようだ。
小銃の切り替えレバーを「レ」に切り替える。
弾を一気に使いたくはないが、その時は倒れた敵から現地調達するだけの話だ。

「いいな39?」

「・・・やれ」

「ショータイムだ!!」

45の合図で迫撃砲を囲んでいる味方が迫撃砲に集っている敵に一斉掃射。
有り弾全部を連中にぶち込む。

「交互に前進!39、先に行け!」

「カバー!」

「任せろ!」

身を潜めていた場所から飛び出し迫撃砲の元へ一気に攻める。
いきなりの突撃に敵さんは大慌てだ。
先に突撃した味方と合流する。

「待たせたな39!」

休むことなく撃ち続けながら前進する。
弾がなくなればお互いにカバーしあいながら敵に隙を見せないようにする。

「数え忘れるなよ!23の報告では14だぞ!」

「数えるのは苦手なんだ!頼んだぜ39!」

「小学生かよお前は!?」

仕方なく味方が撃ち殺した死体を数える。
ざっと数えて10人、残り4人。

「あと4人、そっちはどうだ!」

「3人ファックしたぜ!」

「あと1人はどうした!?」

「39後ろだ!」

味方の警告で後ろを振り向くと拳銃を構えた敵がいた。
しかも至近距離だ、確実に当たる。

「チッ!!」

背中を向けたまま敵に突っ込む。
敵は銃弾を数発放ち、それが身に着けている防弾チョッキに命中する。
貫通はしないが勿論痛い。
だがゼロ距離ならそれ以上は撃ちにくいはずだ。
即座にナイフを敵の手のひらに刺す。

「がぁッ!?」

拳銃が手から落ちたのを確認し顔面目掛けて床尾板打撃。
今ので鼻の骨が折れるか前歯が数本折れただろう。
敵が悶絶している間に小銃の銃口を頭に向ける。

「安心しろ、すぐに痛みは消える」

引き金を引くと銃弾が連続して数発放たれる。
いっけね、連射にしたままだった。
気づけば弾を撃ち尽くし、槓桿は後ろで止まっていた。

「39、無事か?」

「これが無事に見えるか!?畜生防弾だから貫通しねぇが痛てぇぞ!」

「それだけ騒げりゃマシだぞ」

45が遅れて合流した。
防弾チョッキ叩くと潰れた鉛弾が数発地面に落ちる。

「制圧は?」

「ばっちりだぜ、俺達の尻をガードした13達は徐々に後退。ちょうどRPG7があったから5人で援護させてる」

「迫撃砲は生きてるか?」

「無傷だぜ」

「調達完了だな、始めよう」

「発射音は痺れるぜ」

「耳塞いどけよ、やられるぞ」

45に忠告し、迫撃砲の発射態勢に入る。


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