ダーク・ファンタジー小説
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- cigarette
- 日時: 2020/03/05 21:05
- 名前: 夢追 由 (ID: KdG939V5)
20XX年、ある都市にこのような条約が制定された。
”これから先の欲望はすべて【万屋】に依頼するものだとする”
この政府が指示した【万屋】とは、一般的な意味ではなく。
政府が制定した”殺し””犯罪”に長けた、人間たちの組織だと言う事を
まだ、民たちは知る由もなかった。
…今日もそんな【万屋】達の話が…何処かで展開していく
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初めまして、初投稿となります 夢追 由(ゆめおい ゆう)と申します。
今回は自分の描いている創作キャラクターの設定を基にした小説を
更新遅めではありますが、頑張って書いていきたいと思います。
なお、文章力があんまりないので少々読みにくい箇所があるかもしれません。
ですが、どうか温かい目で見ていただけたらと思います。
____________それでは、【万屋】へご案内いたします…。
>>1 登場人物紹介
>>2 第一話-前編-
>>3 第一話-後編-
- 0, 人物紹介 ( No.1 )
- 日時: 2020/03/04 21:48
- 名前: 夢追 由 (ID: KdG939V5)
【登場人物紹介】
椹木 衛(さわらぎ まもる)
28歳、万屋【煙屋】を営む男性。
実質【煙屋】の創生者に近い。
灰色の髪の毛で左目に眼帯を嵌めている。
(彼曰く、昔の因縁で付けられた過去の傷痕らしい)
仕事の依頼なら何でも受け持つ。
金や地位などには興味がないらしい…。
非常に冷静でめんどくさがり。
今現在は【月魅】の人間たちに追われている。
莉彩、渡、雅人と共に活動を行っている。
木橋 渡(きばし わたる)
17歳、万屋【煙屋】の一員。
高校生にして万屋で働く人間がいるのだなと感心されている。
黒髪に黒目、至って普通の日本人顔。パッとしない。
(本人がそういわれるとキレる)
【万屋】稼業を営みながら、いざ人の死体などを見ると嘔吐してしまう癖がある
明るく元気で正義感が強い、純粋な高校生男子。
現在【月魅】の人間たちに追われている。
莉彩、衛、雅人と共に活動を行っている。
莉彩(りさ)
14歳、万屋【煙屋】の一員。
中学生でありながら【万屋】稼業をしている。
青みがかかった黒髪に黒目、目つきが悪い。
(本人はこの髪色を嫌っている様子)
【煙屋】の一員になる前に、別の個所で働いていたらしいが…?
頑なに名字を言おうとしない。
大人顔負けの口の悪さと、ツンデレ。
現在【月魅】の人間たちに追われている様子。
衛、渡、雅人と一緒に活動を行っている。
矢藤 雅人(やとう まさと)
19歳、万屋【煙屋】の一員。
放浪としていたところを衛に誘われ【万屋】を始めた。
とても明るい金髪で黒目。
(彼なりの衛に対してのリスペクトらしいが)
非常に大人びていて、頭が賢く優秀。
熊本弁なまりのため、あんまりしゃべろうとしない。
現在【月魅】の人間たちに追われている様子。
衛、渡、莉彩と一緒に活動を行っている。
- 1.久々の依頼(前編) ( No.2 )
- 日時: 2020/03/05 15:26
- 名前: 夢追 由 (ID: KdG939V5)
古く錆びれた黴臭い建造物。
一見都会にはどこにでもありそうな感じのコンクリートで出来た建物。
…それが彼ら【煙屋】の依頼場所だと知っているのは、
ネットで情報を収集した一部の人間たちだけだ。
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カランカラン、と入り口にかけてある
ベルが部屋内に鳴り響けば彼らは姿を現しドアへと向かう。
何かを期待しているような楽しそうな表情を浮かべるような者もいれば
はあ、と一つ溜息をついて重そうに身体を上げる者、
煙草の火を消して無関心でぶっきらぼうな返事をする者、
相変わらず武器のナイフやらなんやらを磨き続ける者も…。
「はい、どちらさんですか」
衛がめんどくさそうに声を上げると
ドアの向こうから今にも泣きだしそうな女性の声が聞こえた。
「…助けてくださいっ、ここがホントに…【万屋】なら!」
「…ハァ、めんどくせェ…依頼かよ」
衛は、そうドア越しの女性に聞こえない様にぼそりと呟く。
そうすると後から、鋭い視線が背中に刺さってくるので
ちょっとイラっとした。めんどくせぇなぁと思いつつ。
仕方なく、彼女に向って、こう言った。
「…上がってくれ、話を聞こうじゃねェか」
「…本当っですか、ありがとうございます。」
涙交じりの声で、彼女はそう言った。
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「…汚いところですまん、久々の依頼なもんでな」
取り敢えず依頼に来た女性を、部屋の中心に置いてある
埃のかぶったソファーに座らせると衛はそう言った。
すると、隣にいた少女が不機嫌そうな顔で衛を睨みつけた。
「オイ、こらオッサンそこアタシの定位置なんだけど」
「うっせぇ莉彩依頼人には優しくしてやれ」
そう莉彩と呼ばれた少女は相変わらず納得いかない表情で舌打ちをした。
…そして次の瞬間、嬉々とした表情の少年が飛び跳ねながら駆け寄ってきた。
まるで主の帰りを待ち、喜ぶ犬の様に。
「依頼人!依頼人!とりあえずなんか飲みますっ!?珈琲淹れましょうか?」
「渡はちったぁ落ち着け…犬じゃねぇんだから」
渡と呼ばれた少年は嬉しそうに、笑っていた。
…後ろの方に柴犬の幻影が見えたのは気のせいだろう。
そして、衛は溜息をつき渡の後ろにいた金髪の青年に声を掛けた。
「雅人、渡の手伝いしたってよ。」
「…了解」
そう言われた金髪の青年は手にしていたナイフとクリーナーを置き、
渡の隣に向かうと手を掴んで、部屋の奥のキッチンへと引きずり込んでいった。
「えっなんでなんで」と少し困惑した表情になっていたのは見逃すことにしよう。
不満げに舌打ちをし、目を合わせれば睨んでくる少女。
尻尾を振る犬の様にはしゃぐ黒髪の少年。
そしてはしゃぐ少年の手を掴んで、キッチンへ引きずり込んでいく無表情の青年。
俄かには信じがたい光景であった。
…ここが本当に政府の言った【万屋】であるのか、と。
「…ぇっとここ、本当に【万屋】…?」
「ああ、歴とした【万屋】だよ。まあ少々五月蠅いがな」
女性に聞かれ、苦笑いを浮かべながら衛はそう言った後
瞬時に表情を変え女性に問いかけた。
「…んで、依頼っていうのは何だ?」
そう言われて、本来の目的を思い出したのか
女性は瞬時にあるものを取り出した。
それは写真であった。
畳んだ跡があり、若干写真に折り目が付いている。
其処には痩せ細った骸のような男性が映し出されているではないか。
そして女性は写真に写る男性を指差して言った。
「…コイツを殺してください」
「なぜだ、理由は?」
そう言い返すと、女性はまるで泣いていたのが嘘かの様に
表情を歪ませて言い始めた。
「こいつは…コイツは…私の最愛の息子を…殺したからです」
さっき泣いていたとは思えないほど
憎しみに満ちた怖い表情になっている。まるで、生きていることすら許せない
慈悲を与える様子もない怒りに満ちた般若の如く。
「…あぁそうかい」
「めちゃくちゃのぐちゃぐちゃにしてください。肉塊すら残らない、ミンチ」
女性の口から、恨み言が収まる様子がない。
やっぱ女って切れると怖いんだなとか実感してしまいそうになるくらい。
衛は呆れた表情も見せず、聞き流していた。
隣にいた莉彩は女性を唖然とした目で見ていた。
女性と莉彩と衛を取り巻く空気が重く淀んでのしかかる。
「…わーった、この男を殺せばいいんだな?」
衛がそう女性に云うと、女性は深くうなずいた。
「コイツの名前とか、知ってんのか?」
「…ハイ。知ってます」
「じゃあ教えてくれ」
「…彼の名前は、穂根沢聡です」
「了解した」
依頼とターゲットの名前を古いメモ帳に書き記しながら、
衛は頷いた。莉彩もちょっと嫌そうな表情をしたが、
仕方なく一緒に頷いた。
「…さて、久々の依頼だ。頑張るか」と。
- 2,久々の依頼-後編- ( No.3 )
- 日時: 2020/03/05 21:03
- 名前: 夢追 由 (ID: KdG939V5)
気持ちの悪い音を立てたのはさっきまで道を歩いていた
女性が指し示した標的”穂根沢聡”であった。。
雅人が屋上から落とした鉄骨が、彼を下敷きに潰したのである。
辺り一面に脳髄やら血飛沫やらが飛び散ってしまっていた。
…最悪なことに、”標的”の死を確認しに行く担当は渡だ。
【煙屋】では当番制で敵の脈が亡くなったか、或いは辺りに見ている人がいないか
監視する人間と、攻撃を実際に仕掛ける人間と、死を隠蔽させる人間で分かれていて
衛→莉彩→渡→雅人の順番でローテーションして回して仕事を行っているのだ。
今回は本来莉彩が脈が亡くなったかを確認する当番であったのだが、流石に依頼した殺し方で
死んだ標的の亡骸を見に行かせるのには刺激が強いだろう、それにトラウマにもなるかもしれないと
渡自身が自ら名乗り出て、本来監視する立場であった仕事と交換してもらったらしく。
…まさかこんな残虐な死に方になるとは思わなかったが。
顔を顰めながら、渡は亡骸をできるだけ見ない様に鉄骨の下からはみ出た
左手の脈に触って確認する。…。手以外、全部ミンチの状態になってる亡骸に触れて。
…殺した相手と云えど、しっかり合掌する。
そして、胸にかけていたトランシーバーを起動しみんなに伝えた。
亡骸の近くで、喉に込み上げてくるものを飲んで吐くのを堪えながら。
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そうして”肉片”になった亡骸を片づけるのは、正直面倒臭い。
幾ら人の通らない路地裏だと言えど、鉄骨が落ちた音は響くし
駆けつけてくる人間もいるかもしれない。…いつもここでバレないか冷や冷やする。
【万屋】稼業の人間とはいえ、地味な死に方ではなくこうして残虐な殺し方をしてしまったからだ。
次第に亡骸へと【煙屋】のメンバーが集ってくる。
「…どうしたもんかね」
煙草に火を付け、一口吸うと衛は飛び散った”穂根沢”だったものを見ながら言った。
隣の莉彩も若干引いたような表情を浮かべている。
雅人は亡骸をじぃっと見つめ、何もしゃべらない。
「幾ら…依頼って言ったってヤりすぎでしょ、これは」
莉彩が困惑した声で、そういうと雅人もうなづいた。
「…仕方ねぇだろ、子を奪われた親がそうしろっつったんだからよ」
はぁ、とため息をつく莉彩。
「…てか、渡は?」
「あそこ」
莉彩に渡の居場所を聞かれ、衛が答えようとした先に
亡骸から少し離れしゃがみ込んでえずく渡が居たのでそれを指差した。
流石に莉彩も察したらしく、指差した方向から目を逸らす。
その空気を打開するかのように雅人が口を開いた。
「取り敢えず、依頼は終わったけん帰ろう」
「…そうだな、雅人。ここで考えてても仕方ねェ、アジトに戻って考えよう」
「たまにはいい事いうじゃん…。」
そう言って、彼らはアジトへと向かっていったのだった。
渡と雅人を除いて。…これはまた後の話。
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