ダーク・ファンタジー小説
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- 天使の悪魔
- 日時: 2020/05/07 18:29
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
プリエールという町、そこに住む一人の少女ノア。
この町ではたった一人の日本人。彼女を嵌めたのは優れたカリスマ性を持つ男、マルクト。
ノアを導いたのは悪魔アイン、ノアは彼と共に立ち上がる。復讐はやがて多くの存在を
集め大きな歯車を回す。
- Re: 天使の悪魔 ( No.1 )
- 日時: 2020/05/07 19:59
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
優秀作品賞は別の人。ノアは新聞を見てため息を吐いた。彼女は新人の作家だ。
それなりに名前も広まっていたはずなのに…それが素直な気持ちだ。そう言った気持ちに
必ず漬け込む輩がいる。家のポストに新たな届け物がやってきた。
「市長マルクト…何で私に?」
夜、アリエス広場で待つ。それだけが書かれていた。自分は賞に選ばれた人物ではない。
大物ではない。そんな自分が何故呼ばれたのか理解が出来なかった。
夜になってノアはアリエス広場に向かった。スーツ姿の男マルクトは笑みを浮かべていた。
「会いたかったよノア。俺の予想通り気にしてくれているのかな?受賞できなかったこと」
「どういうこと?予想通りって…優秀作品賞に入賞するのは本来は私だったのを
市長という特権を使って動かしたって言いたいの?」
ノアは思ったことをそのまま話した。その考えをマルクトは否定しない。つまりはそういうこと。
本来ならノアは更に有名になっていたに違いない。それをマルクトは意図的に動かした。
様々な小細工を入れて。
「そう。だけど勘違いしないで欲しい。君には悲劇の御姫様として動いて貰わないと…」
マルクトはノアの胸を手で貫いた。何かを呟き手を抜いた。ノアの体はゆっくり前のめりに
倒れた。上から下へ突き落した目の前の男は既に踵を返していた。
「随分と大胆な遊びをするねぇ金持ちってのはさぁ」
ノアの胸に空いた穴は塞がった。命を救われたのだ。
「これって人殺しって奴じゃないのか?いや…殺人未遂って奴か?」
「随分と人間らしいじゃないか悪魔。君の場合は彼女の考える理想かな?」
黒髪に赤い瞳、鋭い爪を持った男はノアの前に立っていた。
「人間に近い姿ってのも悪くないな…礼を言うぞ嬢ちゃん」
「私…殺されかけただけなんだけど。ってか悪魔って本当なの!?」
ノアは体を起こして彼の両肩を掴んだ。
「お、おう…悪魔公爵アイン。俺は他の悪魔と違って代償は要らない…な?中々良いだろ?」
既にマルクトは逃走していた。アインはノアに手を貸して立ち上がらせた。
「さて。俺はお前の悪魔だ、俺を動かせるのはお前だけ。俺を使って何がしたい?何が
欲しい?」
「…マルクト市長に一泡吹かせてやるだけだよ」
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