ダーク・ファンタジー小説
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- 混血パーティー
- 日時: 2020/08/02 15:28
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
別世界の地球には多くの混血児が存在する。
主人公となるのは人間のレイ、彼女とその他多分数人の混血児はこの世界を
東奔西走する。
一味違う異世界物語!
- Re: 混血パーティー ( No.1 )
- 日時: 2020/08/02 16:31
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
この地球は人間もいれば人間とは違う別の生物の遺伝子を持つ混血も存在する。
混血の中には望まず血を混ぜられた元人間もいる。
普通の人間であるレイは数人の仲間たちと便利屋を行っていた。
「今回の依頼は討伐系、みたいだね」
化け物を殺して欲しいという依頼だ。随分と直球な言葉で書かれている。
「私やストレガと同じかしら?」
長い青髪の少女はアクア、水の精霊ウンディーネの血を持つ。ストレガは紅い目が特徴的な
青年で吸血鬼とゾンビの混血。彼女たちと共にレイは目的地を訪れた。化け物が動き出すのは
夜だという。白昼堂々と人殺しをするほど相手も馬鹿じゃないようだ。
「レイはどう考えている」
「今回の事?ヒントが少ないからまだ分からないけど、銃で撃っても死なないって話だし
ストレガみたいにゾンビとかの混血なのかなって考えてる。人外なら幾らでもいる。化け物が
一人とは限らない。殺された人の死体も消えているってなるとある混血が浮かび上がる」
ストレガとアクアは首を傾げる。レイも考えたくは無いが考えざるを得ない。
別の場所では血肉を啜る音が聞こえた。
「やっぱりうめぇな、人間ってのは。だけど隠れられると厄介だなぁ、これじゃ何時まで
経っても満腹にならねえよ」
動かなくなった心臓を男は手に取った。
「満腹になるまで、この村にいればいい。必要なら、殺せば良い」
「頼りになるねぇ凛風。だったら俺も外に出るかな。恐怖ってのは俺にとって最高の
スパイスなんでね」
グールの混血シドゥン、キョンシーの混血リンファ。月が覗く夜、彼らとレイたちとの
戦いが始まる。
- Re: 混血パーティー ( No.2 )
- 日時: 2020/08/02 16:51
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
「人食い!?嘘、そんなのが…」
アクアが顔を真っ青にする。
「死体を持ち帰っていて、骨すら見つかっていない…多分、食べられてるんだよ。
そのために殺していると考えていいかもしれない」
レイはそう推測した。外を出歩く。
「珍しい匂いがして来てみれば人間の女に混血が二人か。美味そうだなァ、人間」
シドゥンは涎を呑む。レイは彼にとって好物だ。それも匂いが好みだという。
「近づけると思わないで!!」
アクアの水を使った攻撃を躱しシドゥンはレイの首に腕を絡めた。
「お前!!ッ!?」
ストレガの腹に何か鋭利なものが突き刺さった。リンファの鋭い爪、それは毒だ。死なないとは
いえ、痛みはある。
「行かせない。シドゥンは腹が減っている。あの子は供物」
「ストレガ、大丈夫?」
アクアはストレガに手を貸す。
「だぁ〜、死なないって言ってもなぁ痛いもんは痛いんだぜ?やっぱりレイの言う通りだな。
人間のように動けるキョンシー、それもあの動きからして何か武術をやってただろうな」
無駄の無い動きで二人を相手取るリンファ。打撃の威力も桁違いだ。
キョンシーは視力が弱い代わりに嗅覚が優れているという。そして雷などに弱いらしい。
雷を操ることは出来ないが流す方法ならある。アクアとストレガは頷き合う。ストレガは
リンファの体を拘束する。全身にアクアの水を纏っている。
「あっ、あ?」
「我慢比べ、しろや!こらァァァァ!!」
スタンガンを体に押し付ける。二人分の悲鳴が聞こえた。
- Re: 混血パーティー ( No.3 )
- 日時: 2020/08/02 17:07
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
臭い、鉄臭い臭いが鼻に付きレイは顔をしかめた。
「一体、何人殺したの…」
「上手い事隠れられてな、今じゃ一日に最大10人しか喰ってねえよ。なぁ知ってるか?
人間で一番美味い部位は心臓なんだぜ」
レイは目を逸らした。生々しいものが視界にちらつく。それはシドゥンの口の中に吸い込まれて
いく。彼はそれを食べることに快楽を見出している。
「なんでそんなに笑っていられるの。どうして…」
レイは静かに口にした。シドゥンはそれに対して答える。
「喰わなきゃ死ぬ、お前らと同じだろ?何故それを止められなきゃならねぇんだ」
「生きてる人間を殺してまで!?それは可笑しい、もっと他に誰かを殺さずに生きる方法は…!!」
「だったらお前が喰われろよ。レイって言ったか、ここまで食欲をそそられたのは初めてだ。
お前を喰えばすぐに満腹になる。お前が大人しく喰われてくれるなら、もう人間を殺さないと
約束してやってもいい」
シドゥンは口を開いた。しかし口の中に入ったのはレイの血ではなくアクアの水。
「間に合ってよかった!レイちゃん」
「アクア、ストレガ!」
ストレガはレイの縄を解いた。
「さぁ、観念しろよ人食い」
何かに苦しむシドゥンにレイは嫌な予感がする。顔を上げた彼の眼は血走っていた。空腹感は
限界突破し、見境が付かなくなった。唸り声をあげシドゥンは何が何でもレイを食べようとした。
赤い爪がシドゥンを切り裂いた。ストレガとアクアが立ち塞がる。
「退け、退けよ!!!こっちは腹がヘッテンダ!!!!」
- Re: 混血パーティー ( No.4 )
- 日時: 2020/08/02 17:23
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
研究所でシドゥンとリンファは育った。
リンファはキョンシーの遺伝子を混ぜられ自分で生きるということが出来ない。
シドゥンは人を食べなければ生きられなくなってしまった。
彼らを拾ってくれた女性は、空腹に耐えきれなくなったシドゥンが食べてしまった。
否、彼女が自らを食べるように仕向けていた。
荒い呼吸をするシドゥンの姿はレイには何かに抗っているように見えた。
「人を、本当は食べたくないんだ…この人は。ねぇ連れて帰ろうよ二人とも」
「良いの?レイちゃん、襲われたのに…」
アクアの質問にレイは頷いた。
ストレガの胸をシドゥンの腕が貫いた。手にしていたのはストレガの心臓。
「やっ…た…!も〜らい…!!」
「良いぜ?別に俺は」
大きく空いた穴はすでに塞がっていた。彼は死なない。それをシドゥンは口の中に捻じ込み
呑み込んだ。
「まっず…」
「こら、贅沢言わないの」
レイは責めるように言った。
「シドゥン…」
「…リンファ」
リンファは彼らに手を振っていた。日が昇り始め彼の体が透けていく。ストレガはフードを
目深に被っている。
「そっか…キョンシーは吸血鬼同様に日光に弱い…」
シドゥンはその場に座り込んだ。
「さっきの約束は守る。だが俺は何処へも行く気は無い」
「…そっか。じゃあ私たちは行くね」
- Re: 混血パーティー ( No.5 )
- 日時: 2020/08/02 19:14
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
レイ、アクア、ストレガはある場所を訪れた。
そこにいたのは浅黒い肌の男がいた。淡い青い目をしている。
「アストルさん」
「レイ、久しいな。そっちは友人か」
「うん、アクアとストレガと…誰!?」
見覚えのない男が隣に並んでいた。アストルは目を細めた。
「狼男とホルスの混血か。珍しいな。で、名前は」
白髪、褐色肌の男はスコルと名乗った。四人を座らせて自身も向かい合うように座った。
一人の女性が五人分のカップを持ってきた。
「アストルさんはインキュバスと医神アスクレピオスの混血だったっけ?」
インキュバスとは男の姿をした夢魔だ。ここでの詳しい説明は敢えてやらない。
「あぁ、俺たち混血を作り出すのは研究所ヘブンシードだ。恐らくお前たちに目を付けてくる」
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