ダーク・ファンタジー小説
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- 輪廻、あの人のミラージュ
- 日時: 2020/08/21 17:52
- 名前: スピネル (ID: KWBx0YkA)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12851
「ねーっ、夏帆。一緒に帰ろー?」
じりじりと照り付けてくる太陽の下、私は不意に声をかけられ、振り返った。
「なんだ、みゆかか。誰かと思っちゃった〜!」
私は、頬をくいっと上げて、笑顔を作った。
「なんだって何よ〜!」
「ごめん、ごめん〜。」
いつも通りの会話。いじめも悪口もない。正直言って私たち、最高の友達だと思う。…つまるところ、親友ってやつか。…私を除いた、側から見れば。
「私、こっちだから。また明日ね、夏帆!」
「そんなの言われなくても知ってるよ!」
「だって、ノベルゲームあるあるじゃない?」
みゆかは、屈託の無い笑顔を私に向けてくれた。…ダサい例えだけど、まるで、ひまわりみたいに見える。
でもなんで?私は、みゆかを友達だと思えない。
たしかにみゆかは、ひとりぼっちだった私を救ってくれた。でもなんで?
どうしてみゆかのことを親友だと思えないんだろう。
「…か、夏帆?ボーッとしてない?」
「あっ、いや…考え事。てかまだ居たの〜?」
「サヨナラ、また明日ね!って言って欲しかったの!」
みゆかは、こんなにも私を大事に思ってくれている。
構ってくれる。
私の為だけに笑ってくれる。
「…サヨナラ、また明日ね。」
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「夏帆、春樹、ご飯よ、ほら、手伝って!」
「わーかったよー…」
何処かで見た事がある、陳腐なホームドラマに似ている。
…そうだ、私にとって全ては、「何処かで見たことがある」んだ。
友達との会話も、家族との談笑も、つまらない授業も、全て。
必ず、何処かで、知っている。
…私は…
「ほら、何ボサッとしてんの!夏帆、早よきなさい!」
「あー、は〜い。」
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「姉貴ったら、高校生なのに、彼氏居ないとか笑えるよな〜!」
「う、うるさい!コンプレックスなんだよ、それ!」
やっぱり、繰り返している。何処かで見た事がある景色を。
そう、私は。
誰かと一緒に、この景色を見たんだ。
それが誰なのかは、定かでは無いけれど。
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チュン、チュン…
「あら、やっと起きたの、夏帆!春樹もう学校行っちゃったでしょ!」
「春樹は中学生とはいえこっから馬鹿遠い私立校いってるからでしょ…?」
「そう言う問題じゃ無いのよ!」
見た事がある景色。
「夏帆ちゃん、私ね、彼氏できたんだ〜」
全部、知っている。
「こら、舘宮!授業に集中しろ!」
陳腐で
「彼氏紹介するね!」
薄っぺらくて
「お帰り、手ェ洗ってね〜」
ありきたりな
「姉貴〜、お前勉強できねぇからおしえてやろうか〜?」
物語を。
そう、この世は輪廻だ。
…
老いた感情は、
とうとう馬鹿な結論に達して
嘘で塗り固めた世界は
醒めることのない夢の世界な
んだ。
…下らない、な訳ない、と思いながら下らない思案が止まない。
日暮らしの鳴き声が、頭を侵略していく。
自分が気づいてしまった…いや、想像してしまった現実に吐き気がする。
私はそのまま倒れ込むように寝た。
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チュン、チュン…
…いつの間に寝ていたんだろう。
昨日の事がもやにかかったようで
何も思い出せない。
…まあ毎日同じことの繰り返しだもの、こんなものか。(なんか哀しいのぉ)
「あら、やっと起きたの、夏帆!春樹もう学校行っちゃったでしょ!」
…煩いなぁ、仕方ないじゃん…眠かったんだから。…って…
「春樹は中学生とはいえこっから馬鹿遠い私立校いってるからでしょ…?」
ったく、とばっちり(?)もいい加減にして頂きたい。
そう言う問題じゃ無いのよ〜とかほざいている(失礼)母を尻目に学校へれっつらごー!
…お!あちらのお方は我が親友みゆみゆじゃないか〜!
「おはよ〜みゆみゆ〜!」
「あ、おはよ!夏帆〜!やだ、奇遇〜!」
「奇遇って何?」
「もっと真面目に国語やった方がいいよ?www」
「だって嫌いなんだもん〜」
皆さまぁ!今日も私たちは夫婦(?)円満、円満会計!仲良しこよしでありま〜す!
「って、なにあれ〜!感じ悪っ」
「えっどっ…どうしたのみゆみゆ〜?」
「聞いてよ、まだ赤信号になる直前なのにトラックで突っ込んできたんだよ〜?酷くない!?」
「え〜っ、そりゃお怖いな〜…安心して、よしよしみゆみゆ〜」
「やめてよぉ!」
あ〜、やっぱりみゆみゆはかわええのぉ…目の保養じゃ〜!
私達はいつも通りバスに揺られ、学校へ向かう。
…今日の宿題、やってたっけな…
「ねえ夏帆さ、今宿題やってたっけ…?って思ってたでしょ〜!」
…!!!
「えっ…ええー!なんでわかったのぉ…?」
「あはは、夏帆は単純なんだよ〜。」
「たっ、単純ゆーなし!」
あはは、と私たちは笑い合った。
そんなことしてる間にも、いつのまにか学校前ではないか!!!バスって神だの〜
「よ〜し、いっくぞい!」
「お〜!」
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あっやっべ宿題やっぱやってなかったわ笑(わろてる場合か)
いつもは煩い分、喋らなかったら目立たないと思うからその作戦で行こう(浅はか)
あーねむ、眠ったほーが静かだよな
…zzz…
「んあ、ぜっとぜっとぜっと…」
「って…こら、舘宮!授業に集中しろ!最近テストもヤバかったじゃないか!」
「ちょっ…こじんじょーほー!」
「その個人情報の意味を答えろって問題、前回出たよな〜。お前、それ間違ってたよな〜。「たにんのこと」って書いてたよな〜。それは一体?」
「う…うわああああ!何故それを言った〜!じゃ、じゃ〜個人情報ってどーゆー意味なんだよ!」
「お前、絶対ネットに触れさせちゃいけないタイプだよな。んじゃ、個人情報の意味わかる人〜?」
「全員じゃねえかあああああああ!」
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「って事があったんだよー、もーあの先生イケメンだけど大っ嫌いになったぞ。」
「あはは、それはやばいわwドンマイ♪」
はあ、もー散々だよ!
あのあと宿題やってないのバレたしさ(コイツは…)。
「あ…夏帆ちゃん、いっこね、伝えなきゃって事があったの!」
…え?い、い、
「いやあああああああああ!みゆみゆ引っ越しちゃうの…?」
「えっ?って、ちょ、違うから?安心してって!」
「なっ、ならよかったよおお…いっしょにがっこいけにゃくなるかとおもっだぼおお…」
「お、落ち着いてw」
すー、はー、すー、はー、スヤァ(殴
「はいっ、なんでしょ!?」
「私ね、彼氏できたんだ」
…え!?
えええええええ!?
「今もね、そこに居るの。夏帆は、私の1番の親友だから。最初に伝えようとおもって、ね。
続く…