ダーク・ファンタジー小説
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- 壊れ物は燃えないごみへ
- 日時: 2012/08/10 17:22
- 名前: 桃弥 ◆TylvI6wUQw (ID: kVl8fIZD)
夏休みとか無くなればいいよね。
宿題あるくらいなら無くなればいいよね。
昔に戻りたくはないけどあの時は楽だった。なんてね。
普通に学校行ってるときのほうが楽な気がする。
あ、ちなみに、あと一週間ほどで夏休み終わります。
良いんだか悪いんだか。
以上、独り言。以下が挨拶と紹介。
はじめまして。桃弥です。
趣味の域を出ない自己満足作品になるかもしれないですが、
温かい目で見守ってくだされば幸いです。
あまりの暑さと宿題の同時攻撃で、たまに頭のねじが外れますがご了承ください。
さらに、以下、登場人物。
◆コータ
兄と妹がいて、片親。普通に暮らしている。
◆柳 水鳥(やなぎ みずどり)
主人公の友達。問題児らしい。
- Re: 壊れ物は燃えないごみへ ( No.1 )
- 日時: 2012/08/07 18:04
- 名前: 桃弥 ◆TylvI6wUQw (ID: kVl8fIZD)
一話 —準備はオーケー—
俺には兄がいる。
俺が中学一年になった丁度その時から引き篭もりのニートになってしまった、どうしようもない兄だ。
人が学校に行って勉強に励んでいる間も家でぐぅたらしていて、機嫌が悪いととても鬱陶しい存在に映る。
でもまぁ、当時はそんなに仲が悪かったわけではない。
むしろ、兄が家にいる時間が増えて喜んでいた節があったような気がする。
うちは片親なので、誰かにかまって欲しかったのだと思われる。
それは俺の妹も同じなようで、そのころから外に遊びに行く回数が減っていた。
妹が引き篭もり予備軍にでもなるのではないかと、親は気が気でなかっただろう。まぁ、実際には、二人の兄にはどうしたって似ていない、アクティブな少女に育ったわけだが。正直、あいつの前向きすぎるところは苦手だ。
というか、怖い。
そんなこんなで、うちの家族の兄弟仲が悪化するようなことはなかったのだ、あの頃は。
今だって、けして悪くはない。方だと思う。
他人の家の事はよく分からないので断言できないが、少なくともうちは取っ組み合いの喧嘩もお菓子やチャンネルの争奪戦もやらない。
いや。兄はもう18歳。そして俺ももう16歳、中学三年生だ。
これも当たり前なのだろう。
知らないが。
ついでにいえば、うちには口論もない。
実に平和で静かな家庭だ。
……だった、筈なのだが。
俺は目の前の光景を少し困りながらも見つめる。
いつになく真剣な表情で胡坐をかく兄。
ソファの上で正座するという理解不能な行動をとる妹。
二人がそろって厳しい視線を向けているのは、我が家の次男坊、つまるところの俺だ。
その視線には鋭い警戒の色が伺える。そして、一言も話さないところからするに、自分で察しろ、ということらしかった。
だが俺は、心当たりなどまるでない。
現在暦の上では春、俺は中学二年生と三年生の間の、微妙な位置にいる。気分的にも、中途半端な今日この頃。
やることも特に無い、実に暇な時間を無駄に過ごしていたわけだが、家族の逆鱗に触れるような真似をした記憶は、無い。
はっきり言えば俺は小心者なので、そんなことしたら夜も眠れなくなっているのではないだろうか。
あるいは、俺が覚えていないことが原因でこの状況が作られたという可能性も無くは無いが、それでは打つ手が無い。
俺がどうしようもなく立ち尽くしていると、口火を切ったのは妹だった。
「ねぇ、こーくん」
「……なんでしょうか」
いつに無く真剣な声音の妹に、思わず丁寧な言葉が飛び出す。
前述のとおり、こいつはあきれるくらいポジティブで、言い換えればただの馬鹿なのだ。こいつがこんな真面目な顔をしたのは、おそらくあの時以来だろう。
あれは俺が小学四年生の冬のこと———
「おーい、こーた。聞いてるか?」
無駄な回想に突入しそうになった俺の意識は、兄の声によって引き戻される。こちらは妹よりも真剣さが無い、気遣うような声だった。
そのことに安堵しつつ、兄を見やる。
「とりあえず座れよ。俺達から話があるんだ」
兄が示したのは、テーブルを挟んで兄の向かい側。斜め右に妹が来る配置になる。
何かの布石なのだろうか。
兄は相変わらず胡坐をかき腕も組んでいるが、そこに怒りなどの感情は感じられない。というか、不自然なレベルで無表情だ。おかしい。いや、面白いという意味も込めておかしい。
そして先ほどの台詞からすると、すでに二人は打ち合わせ済みらしかった。
妙な疎外感を感じなくも無いが、今はそれどころではないだろう。
俺がその場に座ると、兄は満足そうにひとつ頷く。
「準備はいいか?」
何の準備だ、と聞きたかったが、それよりも早く「オーケー!」と威勢のいい声が聞こえ。
そしてその質問が俺に向けてのものではないと理解するのとほぼ同時に———
横からクラッカーの音を浴びせられた。
- Re: 壊れ物は燃えないごみへ ( No.2 )
- 日時: 2012/08/10 17:24
- 名前: 桃弥 ◆TylvI6wUQw (ID: kVl8fIZD)
◇◆◇
「やっほーコータロー。久しぶりだねぇ」
4月某日。
通学途中、見知らぬ人物に声をかけられた。
どうする?
「あれ、何で無視?」
黒い学ランを着たそいつは軽々しい口を利いてくる。
「……ってかコータロー、怖いオーラが出てるんだけど」
「…………」
立ち去る気配は無し。
無視し続けるわけにもいかないだろう。
「えーと、どちら様で?」
俺はめんどくさいなぁ、と思いながら聞いた。
人違いなら楽なんだが。
……あれ?でもこの人、さっき俺の名前呼んだよな。
何かが頭の隅に引っかかるが、どうも思い出せそうに無い。
気になって声をかけてきた人の顔を見ると、彼は「何言ってんだこいつ」みたいな顔をしていた。
「……もしかして、会った事あったりする?」
「いや、会った事も何も」
言いながら、彼は自分の胸の名札を指差す。
二年三組。……昨年度の俺と同じクラスだ。
で、名前は「柳 水鳥」———
あ。
そこでようやく俺は思い出す。
こいつは俺が去年何かとつるんでいた、わが学校の問題児だ。
「……まさか、春休みの間会わなかったぐらいで、顔忘れたとか言うの?」
「あー、まぁ、そんなとこ」
そんなとこどころか図星だが。
水鳥の訝しげな視線を受けながら、俺はこいつを改めて観察する。
俺の身長は平均値に限りなく近いが、こいつは俺より頭ひとつ分でかい。
客観的に見て、スタイルも良いし、顔面偏差値も高い。
確か勉強もできたはず(曖昧)。
そんなやつがなぜ問題児などというレッテルを張られているのかというと———
———なんでだっけな。忘れた。
- Re: 壊れ物は燃えないごみへ ( No.3 )
- 日時: 2012/08/08 17:32
- 名前: 歌鈴 (ID: QMHbtiBo)
初めまして。歌鈴と言います。この小説、面白いです!続きが楽しみです^^応援してます、頑張ってくださいね!
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