ダーク・ファンタジー小説

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拝啓、天界ノ人
日時: 2020/12/20 09:09
名前: 靜 幽無 (ID: 2fSLq59j)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

_人は何時か死ぬって?面白いね。僕は違うんだ。僕は何時かなんかじゃない。
“五か月以内に”絶対に逝く。面白いよ、やっぱり君は。その唖然とした顔。本当は僕もその顔を永遠とみていたいけど。嗚呼、そうしたら君ももう逝ってるね。
*
「おはよう」
「嗚呼、おはよう」
そう言って君は遥か遠くのそらへ、魂を飛ばした。
やっぱり、これは避けられない運命だったんだね。そんな、急に病状が良くなるなんて無かった。
私の眼は熱くなり、あの日君が見せた顔になていたことだろう。
*
ステンドグラスのカップに熱い珈琲を淹れた。
それは君等の事を思い出せ、と本能が言っているようで、本当に君の死は受け入れられないことも実感出来た。
*
目次
>>1 >>2 >>3 >>4 >>5

Re: 拝啓、天界ノ人 ( No.1 )
日時: 2020/12/17 17:43
名前: 靜 幽無 (ID: 2fSLq59j)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「おはよう」
「嗚呼、おはよう」
 君と会ったのは病院で、君も私も診察に来ていた。
 私は親から貰った金を手に握って、熱の経過を見てもらっていた。実は私、余命がある。
 はは、もしかして病気で有るとでも思った?面白い。
 君も、貴方も、お前も。絶対に死んでしまう。これは当たり前の事だけど、案外気付いていない人が多い物で此方まで嫌悪感を抱いてしまう。だって、「また明日」「うん、また明日」。この会話にも、矛盾が生じている。
 分からない人は…
 それで良いんじゃない?私には関係無いから。
*
 ですから、君との挨拶はおはようだけにしていると。
 お解り?あれ、解って無さそう。
*
 偶然、君には明確な余命が有るらしいですね。残り五か月。
 もしかしたら私は三か月後に天界のスターになっているかもね。と私は笑えました。
 まだ死を軽く受け止めていたから。
 ですが君はまだ人生を謳歌出来ていない。あら。
「じゃあ私が手伝いましょう」
 あれ、これが本当の出会いだったかしら。
*
 私が手伝いを始めにしたのは自己紹介と言う物で。
 君は良いよ、と快く仰いましたね。でも私は自己中という類に入りますので私から言葉を発します。
 そう言えば、此処は図書室でしたかね。ずらりと天井まで本が並んでいる。
 あれれ、美術館でしたっけ。どちらでも余り変わりは無いですね。なら大丈夫。
 取り合えず、私は名前と好きな物を言いました。それに君はパチパチと拍手をしましたね。
 まるで幼稚園児に成ったみたい。君の自己紹介は直ぐに終わったように思えました。でも時計を見てみるともう10分も経っていたではありませんか。不思議ですね。

Re: 拝啓、天界ノ人 ( No.2 )
日時: 2020/12/17 21:19
名前: 靜 幽無 (ID: 2fSLq59j)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

 でもよくよく考えて見ると、10分って長いですね。
 あの時は本当に面白かったですよ。君の名前は勿論、病気の事だって。最初はとても受け入れやすい物ではありませんでしたが、どんどん実感が沸いたと思えば悲しさも溢れ出して来まして、私の顔は不細工になっていたと思います。君にそんな顔を見せてしまうのが、唯一の悔いでしたね。
 きっと、君は笑っていたに違いないと思います。でも今思ってしまえば、あれは良い思い出だったのかも。
 そこからはちゃんと…あ、今思い出しました。私達が話していたのは美術館の館内カフェでした。私は高級な林檎ジュースを飲んでいた気がします。君は、抹茶、そう!抹茶ラテを飲んでいました。
 座った席は黒いシックな感じ。まるで私とは正反対。
*
 君の名前は美しかった。

Re: 拝啓、天界ノ人 ( No.3 )
日時: 2020/12/18 17:39
名前: 靜 幽無 (ID: 2fSLq59j)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12920

 だって君、苗字に“美”って入っているのですもの。私の庶民的な苗字みょうじとは大違いです。そうそう、私君の苗字に成りたかったかも。あ、これは結婚とかではありませんよ。当たり前です。
 それからは館内をぐるぐる回りました。特に林檎の絵が特徴的でしたね。だって題名は「囁く林檎」なのに全然囁いてくれない。何なのでしょうかね。やはり、人の心は良く分からない。君もですよ。
*
 不思議ですよね。君と私、共通点なんか無いのに、寿命は同じ。
 違いますよ?別に私は余命なんか今現在わかりゃしませんがそれは君も同じでしょう?もしかしたら五か月前に死んでしまうかもしれませんし、それとも神様が微笑んでくれるかもしれない。やはり、人生とは面白い。
 貴方も分かってきましたか?この「おはよう」に付いて。
*
 美術館を出るのは名残惜しかったですが、夕焼けに私達は身を焦れてしまいましたので、もうじゃあね何て言わずに、さっさと家路に着きました。
 勿論、本当に身を焦れたのではありませんよ。これは例えです。国語で習った気がしますけどね。
*
「おはよう」
「嗚呼、おはよう」
 さて、二回目のお手伝いは水族館へ行きました。
 海月くらげが一番良かったですね。うーん、イルカのショーも捨てがたい。でも君は一番熱帯魚が好きそうです。実際にはどうでしょうね。
 毎回恒例のカフェに足を運ばせます。
 天井には水槽がありまして、それはそれは幻想的な場所でしたね。


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