ダーク・ファンタジー小説
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- A REAL SCARY
- 日時: 2021/02/01 22:12
- 名前: ソラ (ID: eBTioZop)
春には穏やかな気候に動物たちが目を覚まし
夏には照りつける太陽の暑さに蝉が呻き声をあげ
秋には森中が鮮やかに、美しく染まり
冬には冷たい空気に草木がざわめく自然の森。
そんな森にポツンと小屋が一軒。
カンカンカン
「早く起きろ馬鹿者!!」
耳元で響いた鐘の音に顔をしかめ、ハナは起き上がる。
「朝っぱらからうるせぇな……朝ぐらいゆっくりさせろよ…」
年頃の娘とは思えぬ盛大なあくびに今度は彼女の同居人、ギルが顔をしかめる。
「さっさと朝飯をつくれ!年寄りは気が短いんだ!」
「自分でいうか……?」
ため息をつきながらもキッチンへと向かう。
「そういやぁハナ。朝、ミルク売りのリクが来てたぞ?」
「あぁ?リクゥ?そりゃまたなんで?」
「町でやる祭りに行かないかだそうだ。」
ギルがニヤニヤしながらいう。
「飯食ったらさっさと行ってこい。一応お前も年頃の娘なんだ。一応な」
「余計なお世話だ」
「食い物もいっぱいあるらしいぞ?」
「………………行ってくる」
町に行くまでの道はまるで絵のような美しさがある。ハナもレンガ造りの家に触れたり色とりどりのあじさいに触れたりと美しさを堪能しながら町へと向かっていた。
「ハ、ハナ!」
「おう、リクじゃねぇか!偶然だな!」
「え?いや、俺が誘ったんだけど…」
「なあリク!食い物ってなにがあるんだぁ?」
しかしリクが全てをいう前に目を輝かせたハナが無邪気に笑う。その可愛らしい笑顔にリクは思わずみとれた。ハナは腰まである長い銀髪に海のように澄んだ青い大きな目という美しい見た目をしていて、誰もがみとれてしまう。
「?おいリク!どうした?バカ面がもっと間抜けになってるぞ?」
本当にこの口の悪ささえなければ。
「綿菓子とかがあるらしいよ?」
「!そうか!早く行こう!」
「ハイハイ」
まあ慣れてしまえば可愛いものだが。
「ハナは本当に美しいな……」
そういうリクも決して悪い見た目ではないだろう。まあそれなりにモテる。そしてそんな彼をバカ面などというのはハナぐらいではないだろうか。
「リク!リク!焼きそばだ!食べるぞ!
なんだ!?あれは!?うまそうだな!
あれはなんだ?あれをうったらあれをもらえんのか?私があててやる!」
ハナは元気だが連れ回されているリクはだんだん疲れてきた。
「ちょっと…ハナ…休まない?」
「え?もうか?まあ……いいけど………」
涼しい木陰で…
「ハナ…お前なぁこんなんじゃあのじいさんも困らせてんじゃないのか?」
「じいさん……?ああ!ギルのことか!大丈夫だ!お前ほど弱っちくはない!」
「そうじゃなくて…じいさんももう年だろ?お世話になってんならお前が支えないと……」
「………」
ポツンッとあじさいの葉に雫があたり乾いたコンクリートに落ちる。
「雨か…」
その言葉はどちらがいったのだろうか。
雨は少しずつ勢いを増す。町は暗い重い雰囲気へと変わっていく。
まるでなにかの予兆のように………