ダーク・ファンタジー小説
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- 呪蝶屋(リメイク版)
- 日時: 2012/04/07 15:51
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17500
〜注意書き〜
恐らく初めましての方が多いと思いますが……。
お久し振りの夜湖です!
この小説は「シリアス・ダーク」の 呪蝶屋〜魂封じる少女の店〜 のリメイク版です。
全く更新してない上設定が可笑し過ぎたのでリメイクさせて頂く事になりました。
参照のURLをクリックして頂けばリメイク前の小説が出て来ると思いますが、設定が可笑し過ぎるので初期設定が見たい方のみお願いします……。
・グロい所が結構出て来るかも知れません。と言うより確実に出て来ます。
・視点は基本『呪怨』『雷葉』の2つです。
・更新が遅かったり速かったり不定期です。
・午後8時〜午前7時の更新はありません。
・誤字脱字があるかも知れません。
・ちょくちょく修正します。
・コメント受け付けていますが、荒らさないで下さい。
・リメイク前と同じ様に更新ストップする可能性があります。
〜目次〜
プロローグ >>1 登場人物 >>2
第1章 呪蝶屋へ来たお客様 >>3>>4>>5>>6
第2章 魂封じ >>7>>8>>9>>10>>11
第3章 危険な生物 >>12>>13>>14
- Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.5 )
- 日時: 2012/04/05 15:50
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
「あはは!」
「お前なんか消えればいいんだよ!」
「あはははは……」
僕は幼稚園の頃からいじめられている。
母さんは病弱で僕が4歳の時に病気で他界し、父さんは外国にいる。
僕がこうなったのも、父さんのせいだ。
父さんは僕が幼稚園に入る前に交通事故を起こし、外国に逃げた。
僕の右目の周りの傷も、父さんがわざと付けた。皮膚を焼かれ、今でも傷跡は消えない。
父は逃げる前に家を焼き、僕は幼稚園の時から路上生活をすることになった。
「何、この子……。汚ーい」
「関わらないほうがいいぜ……。警察が何とかするだろ」
父さんも、その周りの人達も嫌いだった。恨んでも恨み切れなかった。
学校には行ってない。人を騙し物を盗んで生活して来た。
小学生の中では「騙し少年」と言われ、知らない子供や同い年らしき学生にいじめられていた。いや、いじめられている。
言い過ぎかも知れないけど、僕は世界中の人間が嫌いだ。そしてその僕も人間である事にも。
それが僕の恨みなのだろう。
- Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.6 )
- 日時: 2012/04/05 17:00
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
「そう……。そんなことがあったのね」
少女(もしかしたら大人かもしれない)は、大きな花瓶から沢山ある黒薔薇を1本抜き、僕に渡した。
「それを数回回してみて」
少女の言う通り、数回回した。すると……。
「うわ!どうなってんだ?マジック?」
真っ黒な黒薔薇が、血の様な赤い色をした蝶になった。
「恨みは、必ず封じます……。その前に、交換条件をしない?」
「交換条件?」
「どういうことだ、呪怨」
魔法のオスネコが喋った。ネコの言葉から、普段は交換条件はしないのだろう。
「貴方の様な恨みが強いお客様は、100年やっているけど1人もいなかった……。
だから、貴方に店員になってほしいの」
「て、店員!?」
「呪怨、何言ってるのよ!人間を店員にさせるなんて……」
魔法のメスネコが声を上げながら訴えた。それほどの事なのか……。
「ここに居れば人間から魂が離れるわ。そうすれば、人間じゃなくなる……。
自分が人間だということにも恨みを持っているのでしょう?」
「…………」
確かに僕は人間だということにも恨みを持っている。
だが、誰がそんな話を信じるか?そもそも「100年やっている」はずが無いだろう。
だが……人間じゃなくなるんだよな?
本当にネコと話しているなら、有り得なくもない。いや、有り得ないけど。
……信じても、良いんだよな?
僕の思考が解ったのか、少女は「裏切らないわ」と言った。
「……店員にさせて下さい。」
そうして僕は『呪蝶屋』の店員になった。
- Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.7 )
- 日時: 2012/04/05 17:02
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
〜第2章 魂封じ〜
「え、いいの?」
少女は驚いた様に目を見開いた。僕は「はい」と静かに言った。
此処から一刻も早く出たいと思っているが、人間じゃなくなるなら良い。
人間じゃなくなると聞いてそう答えてしまったのだろうが……。
それに、あんな思いもしなくて済む。良い事だらけじゃないか。
「だ、駄目よ!人間にこんな事させちゃ!それに、この子は……!」
「この子は?」
メスネコの言葉に疑問を感じた僕の声と、黙れと言わんばかりの目をした少女の声が被る。
そして、少女がまた驚いた様に此方を見る。
「……?」
その瞳は、有り得ないと言いそうに僕を見つめていて、同時に懐かしさと悲しさを持ち合わせた様な色だった。
「……呪怨……」
オスネコが声を掛ける。その声で少女はハッとした顔になり、
「え、ええ。ごめんなさい……」
明らかに戸惑っている声を発した。
僕は何が何だか解らず、首を傾げた。
「……ごめんなさい。困惑してしまって……」
「い、良いんですよ。それより話がつかめませんでしたし」
誤った私に彼はそう答えた。
……不覚だわ。あれだけの事なのに……。
「……此処の店員になるなら『魂封じ』を実際に見た方が良いと思うけど。
恨みの相手を封じる事と交換で店員になると約束したんだし、そもそも恨みを晴らすのが呪蝶屋でしょう?」
不機嫌な態度だけど、私を気遣いながらそう言ったルナに、少し感謝をする。
そしてその内容は何処も間違っていない。
けれど、目の前にいる少年は意味が解らない様だ。
「そうね。……貴方、名前は?」
自分の事をスルーされ、少し怒りの色を見せる彼。
お客様の話を無視するのは無礼だけど、状況が状況なだけに仕方がなかった事。
再び「ごめんなさい」と言うと、怒りの色はあるものの少し焦った様になった。
今までの事を聞いた限り、彼は謝れた事が少ないのかも知れない。
「……川瀬 雷葉です。貴方は……?」
「黒蝶 呪怨よ。人間で言う15歳」
「じゅ、15歳!?同い年何だ……」
……其処まで驚く事かしら?
「面白い驚き方ね。私はルナよ」
「俺はソル。……確かに呪怨は15には見えんが……」
ソルまでそういう。私、何歳に見えるのかしら……。
疑問が浮かび上がったので、其の事を言ってみた。
「私、何歳に見えるのかしら?」
- Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.8 )
- 日時: 2012/04/05 17:04
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
「20歳位かと思いました。せめて18かな、と」
戸惑う事も無く、スラリと答える雷葉。……何か変な気分。
「呪怨、身長高くないわよね?」
「ええ、雷葉と同じ位だし……」
……男子と同じ位なら、高い方かも。
「いや、何というか……雰囲気?オーラ?見たいなのが大人っぽくて……」
……オーラ……。
「話がずれてるぞ。何のためにルナが話を切り出……」
「そうだったわ!ほら、行くわよ!」
ソルの言葉を遮り、急ぐルナ。ソルは気分を悪くしたのだろう、ルナを睨む。
しかしソル(とルナ)の言葉にハッとし、目的を思い出す。
雷葉の恨み相手を封じに行かなくては……。
「そうだったわ。ソル、ありがとう。……雷葉、此処の店員になったからには、名前を変えなくてはいけないのだけど……」
「名前を?」
「そうよ。『黒蝶 雷葉』で良いかしら?」
「それならむしろ喜んで。父親と同じ名字なんて嫌だったので」
雷葉は1秒もしないうちに答えた。それほど父親が嫌いということなのね。
「それと、敬語じゃなくていいのよ。宜しくね、雷葉」
「じゃあ敬語やめます。宜しく、呪怨」
雷葉はニコッと笑った。
……似てる、わね……。
- Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.9 )
- 日時: 2012/04/05 17:20
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
「……すげー」
最初に発した言葉は、これだった。
僕達は今、前を飛ぶ赤い蝶の後を追っている。
……歩きでも走りでもなくて。
ルナが創りだした1階建ての家の半分位の大きさ、つまり大きい箱の中に僕らは居て。
そして、蝶の後を追っている。
壁には窓が数個、床にも柵の中に窓……つまりガラスの床が付いている。
「魔法って凄いな……」
唯、それだけしか言えない。今の僕は、きっと子供みたいだろう。子供だけど。
……こんな楽しい気分なのは、家族で遊園地に行った以来だろう。
「……ところで、何処まで飛ぶんだ?」
先程とは急変、ため息を付く雷葉。
「魔法って凄い」と言って、ルナに魔法は何でも出来る様なミラクルなものじゃないと説明を受けても相変わらずはしゃいでいたのにね。
でも、ため息を付きたくなるのは解る。今、私達が飛んでいる下は青い海だけ。
「日本を抜けたんじゃないか?」
「そのとうりよ」
ルナが雷葉の質問を即答したためか、思わず笑ってしまった。
「呪怨、笑うな」
「ごめんなさい。面白くて……。
でも、恨み相手が海外にいるケースも珍しくないわ」
「そうなのか……。なあ、この方向ってアメリカ?」
納得する雷葉の言葉に私は地図を取り出し、ルナの近くにあるメモとペンを取る。
「……アメリカに止まるかは解らない。でも、確かにアメリカの方角よ」
「良く解るな……凄い。計算大会で優勝できるぞ、呪怨」
冗談だろうが、礼を言うと笑い、けれど深刻な顔になった。
「……父はアメリカにいるんだ。始まりは父からだったから、1番恨んでいる」
「ということはアメリカで止まる確率が高いわね。私もアメリカに良く行くのよ」
「ルナが?」
「ええ。理由は後で教えてあげる」
今思ったけど、雷葉は「父さん」とも「パパ」とも言わないみたいね。
「父」と「父親」としか言わない。
「蝶が降り立ったわ」
「ここは……」
其処は、アメリカの港町だった。
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えーと……。シリアス・ダーク小説なのにほのぼのとしてますね……。
次の次は少しだけですがダークになりますので。
それと、雷葉の性格が変わっているのもすみません。