ダーク・ファンタジー小説
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- 妖魔ハンター マキナ【一部過激グロ注意】
- 日時: 2021/03/07 08:20
- 名前: 黒騎士 (ID: pvHn5xI8)
私の名前は御剣マキナ、どこにでもいる普通の女子高生だ。
少なくとも私自身はそう思っている。
ただ、1つのことを除けば・・・。
今は深夜2時ごろ、私は人気のない住宅街を歩いていた。
こんな時間に出歩くなんて不良じゃないかって?
いいや、これから私の仕事が始まる。
塀を沿って、猫が私の歩調に合わせて歩いている。
真っ黒な猫だ。
そして、私にはそいつがただの猫なんかじゃないとすぐに分かった。
ニョオオオオオオオオオッ!!
そいつは地上から離れ飛び上がった瞬間にカラスみたいな真っ黒な羽を広げた。
猫に羽があるのかって?
ああ、こいつは普通の人間が知ってる猫とは違う。
この世の生き物じゃないのさ。
妖魔と呼ばれる邪悪な存在。
古来より魔界あるいは地獄と呼ばれている異次元からこいつらはやって来たのさ。
翼を広げ牙を剥いた猫の妖魔が私に接近してくる。
どうやら、私の顔を狙ってきてるようだ。
冗談じゃない、こんな雑魚に私の美貌に傷なんて付けさせるものか。
私は着ていた皮のコートの下に手を入れ、ベルトに付けた瓶を手に取った。
そして、妖魔めがけて投げつけた。
- Re: 妖魔ハンター マキナ【一部過激グロ注意】 ( No.1 )
- 日時: 2021/03/07 08:17
- 名前: 黒騎士 (ID: pvHn5xI8)
奴の額で瓶が割れ中の水が飛び散った。
ピギイイイイイイイイイイイイッ!!!
妖魔は地上に落下して、悲痛な悲鳴を上げながらもがき苦しんでいる。
瓶が当たったのが効いたのかって?
それもあるかも知れないが、それ以上に中に入っていた水、これがこいつらの弱点だ。
ただの水じゃない、教会で聖化された聖水さ。
神聖な力、それが魔物たちにとって最も恐れるべき弱点だ。
やがて黒猫の妖魔は煙を上げながら溶けて骨だけの姿に変わり果てた。
そして、骨さえも砕けて塵となり風に飛ばされていった。
だけど、私が探しているのはこんな雑魚じゃない。
もっと危険な奴らが人間界をウロウロしてるのさ。
風に乗って漂ってくる血の香りと瘴気。
私はその香りを辿って夜の街を駆ける。
- Re: 妖魔ハンター マキナ【一部過激グロ注意】 ( No.2 )
- 日時: 2021/03/09 03:21
- 名前: 黒騎士 (ID: pvHn5xI8)
そして、やって来たのは住宅街の中心にある自然公園だった。
木々が作り出す深い闇の中には現代人が忘れた原初の闇があった。
私は気配を辿りながら街路樹に囲まれた道を歩く。
すると、上から何かがボトリと落下して地面に落ちた。
嫌な音だった。
落ちてきたのは人間の首だった。
目玉をひん剥いて、苦しみの形相を浮かべた生首がこちらを睨む。
力任せにもぎ取られたのか首の付け根の皮膚はズタズタにさせ、血まみれの肉が飛び出している。
こんな光景を見るのは初めてじゃない。
だけど、何度見たって慣れるものじゃないさ。
ただ、私は怖いとは思わなかった。
込み上げてくる感情は人間をこんな風に無残に殺す奴への怒りだけだ。
上を見上げると奇怪な生物がいた。
蝙蝠のような羽で羽ばたき、人間のような体型だが獣の毛に覆われた胴体、そして頭には髪の毛が無く、顔の中心にはギョロりとした1つ目、口からは鋭い牙がのぞいていた。
そして、そいつは首のない女の体を抱きかかえていた。
妖魔だ・・・・。
妖魔は切断された首の断面に噛り付いて肉を貪り食っている。
服装からして帰りの遅くなった会社員が餌食になったようだ。
私がもう少し早く来ていれば助けられたかもしれない・・・そんな後悔が込み上げてくる。
だけど今、出来るのは見知らぬ彼女の敵を討ってやる事だけだ。
妖魔はまるで物を乱暴に扱うかのように女の体を空中から投げ捨てた。
ドサリと嫌な音が響く。
妖魔の血にまみれた口がニヤリと笑っている。
私は奴を睨んだ。
「とっとと降りてきな!!私はお前みたいな外道が1分1秒でも長生きするのが我慢できないんでね」
妖魔の顔から笑みが消えた。
奴からすれば人間の小娘に生意気な口を利かれて頭に来てるんだろうけど、私の方こそ怒りの限界だった。
「生意気な・・・黙っていればお前も苦しませずに殺してから、俺の食料にしてやったのに、残念だな。たっぷりと痛ぶってから解体してやるわ!!」
ゲスな台詞と共に妖魔が凄まじい勢いで急降下してきた。
ただ、その凄まじい勢いというのは一般人から見てからだ。
私からすればむしろ奴の動きはスロー再生のように見える。
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