ダーク・ファンタジー小説
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- 短編小説集
- 日時: 2021/03/08 18:34
- 名前: 四ッ谷 無価 (ID: fYNkPhEq)
ここは一話完結のみの短編小説スレです。
楽しんでくれると幸いです。
では、本編へ、、、、、、
- Re: 短編小説集 ( No.1 )
- 日時: 2021/03/08 18:59
- 名前: 四ッ谷 無価 (ID: fYNkPhEq)
・花と感情・
「まいどあり。」
母の頼まれたのはこれで全部だろうか。
買ったものとメモを見比べながら確認する。
「縄と、袋と、雑巾数枚、、」
予定にないものがあるとするならば手のひらに飴玉が握られていることくらいだ。
手を開けば甘いいい香りがふらりと鼻をくすぐる。
「不思議な飴玉なんだ。」
店長代理から言われた言葉を思い出す。
彼はこの飴玉が人を選ぶといっていた。
僕は選ばれたらしい。
なんともいえない気持ちだった。
(ちょっと食べようかな。。)
飴玉を口の中に入れる。
甘いイチゴ味だった。
しかしどこにでもあるような飴と変わりはない。
まぁ、飴玉に食べられる人を選ぶような決定権はないことをはじめから知っている。
が、がっかりしている自分がいた。
選ばれたというのは甘美な響きだったのだ。
(あれ、今日花祭りだったけ、、)
周りを見ると色とりどりの花をいっぱいに抱えていた。
この町は月に一度花祭りを開催し無料で花束を配っているのだ。
今回はアネモネのようだ。
(これをおいてから母さんともらいに行こう。)
毎月母と花をもらいに行き部屋いっぱいに飾っているのだ。
「ただいまぁ。」
「母さん?」
いつもなら母さんはお出迎えをしてくれるのだが今回は母の影すらない。
ガタンッ
奥から物音がする。
「母さん?」
恐る恐るリビングへの扉のドアノブをひねる。
母はダイニングキッチンで何かをしていた。
母の右隣には黒いアネモネの花束が置いてあった。
「母さん、もうもらってたんだね。花祭りの花。」
母さんがゆっくりとこちらに近づいてくる。
次の瞬間、、
目の前にはいっぱいのアネモネの花びらと母の充血した目があった。
Fin
黒いアネモネ花言葉{醜い}
- Re: 短編小説集 ( No.2 )
- 日時: 2021/04/02 17:08
- 名前: 四ッ谷 無価 (ID: KFMc8eJJ)
・人魚姫・
「代償があってもいいのかい?」
海の魔女が姫に問う。
「ええ、」
姫は答える。
魔女は棚から小瓶を取り出し姫に差し出す。
「汝に幸せがあらんことを。」
姫は薬の瓶を明け、薬品を飲んだ。
これであの方と一緒にいられる。
同じでいられる。
なんて幸せなんだろうか。
「ずっと、一緒ですよ。」
横に倒れた王子さまの手をとり深い深い眠りについた。
「ずっと、一緒。」
Fin
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