ダーク・ファンタジー小説
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- MAFIA
- 日時: 2021/05/06 18:47
- 名前: RAM・SHERRY (ID: CxgKVnkv)
みなさんこんにちは!RAM・SHERRYです!掛け持ちで始めようと思います。
今回はすとぷりなしの完全オリジナルでいきます!それでは設定、いってみよう⤴⤴
MAFIA名「DARK PRINCE」
浅塚蓮(あさづかれん)
得意武器 ほぼすべて
性格
とにかく優しい。キレると怖いがキレることはほとんどない。普段は天使なぐらい優しいが、戦闘になると人が変わる。精神的にくる言葉を言うことも多々。「DARK PRINCE」リーダー。
コードネーム・アラン
湊川蒼(みなとがわあおい)
得意武器 ほぼすべて
性格
腹黒い。戦闘のときは腹黒に加えサイコパスになる。実はかなりの優等生で、有名な高校・大学を卒業している。「DARK PRINCE」ハッカー・参謀をしている。
コードネーム・タクミ
中川悠真(なかがわゆうま)
得意武器 スナイパーライフル
性格
ゲーム好き。戦闘すらもゲーム感覚。遠距離射撃を得意とする遠距離スナイパー。的中率は98%を誇る。愛用銃はウィンチェスターM70・セミオート式。
コードネーム・ユウト
荒木薫(あらきかおる)
得意武器 ナイフ
性格
弟系。愛され上手。戦闘時にはちょっとサイコパスになる。ナイフと言っても果物ナイフからサバイバルナイフ、包丁まで使いこなす。
コードネーム・カイ
工藤律(くどうりつ)
得意武器 銃(中距離)
性格
明るいが、その分うるさい。そのうるささでかく乱したりと、戦闘時に役に立つ。悠真のゲーム仲間でいつもガチバトルを繰り広げている。よく使うのはグロック17。
コードネーム・リオ
浅見怜(あさみれい)
得意武器 銃(短距離)
性格
面白い。声帯に少なくとも5人は住んでいる。女の声はもちろん、ショタボもOK。そのため、潜入捜査もこなしている。よく使うのはグレネード。さらに車の運転も得意なため、運転は怜に任せている。チェイスも得意。
コードネーム・レント
この設定で行こうと思います!よろしくお願いします!
- Re: MAFIA ( No.1 )
- 日時: 2021/04/30 19:46
- 名前: RAM・SHERRY (ID: CxgKVnkv)
MAFIA 第1話
人々が寝静まった深夜。普通ならだれも出歩かない時間、空に5つの影が舞った。華奢な体つき、それでいて高身長。陰で顔は見えない。彼、または彼女らは一つの建物の屋根の上で立ち止まると何やら話し始めた。
?「今日はここをつぶすよ。タクミ、中の様子は?」
タ「動きはないね。ただ、警戒だけはされてる。どうすんの、アラン。」
ア「堂々と行けばいいじゃん。こそこそしないのが俺らの流儀。だろ?」
?「かくらん、やった方がいい?」
ア「リオ、うるさい。声のボリューム落としな。」
リ「ごめん。」
タ「いらないんじゃない?正面突破でいいでしょ。」
?「んじゃもう行くか?」
ア「レント、落ち着け。俺らが予告した時間にはまだなってない。」
レ「は~い。」
タ「ユウト、そっちは大丈夫?」
すると、彼らがつけた無線から声が聞こえてきた。
ユ「こっちはもうOK。俺のウィンチェスターちゃんも万全だってよ。」
タ「ありがとう。愛銃は大事にしなよ(笑)」
ア「どうだった?」
タ「大丈夫だって。ウィンチェスターちゃんも万全ってさ。」
ア「相変わらずのウィンチェスターの好きっぷり。」
?「今の時間は?」
タ「12時45分。僕らの指定時間は1時だからまだ暇だね。カイ、聞こえた?」
カ「うん。ありがと。」
リ「遊ぶ?」
ア「なんでそうなるんだよ。」
タ「そう思う精神、ちょっと分かる気がする。」
ア「おっと!?」
カ「待って。静かに。」
カイが目で示した先には一人の男がいた。
タ「どうする?殺る?」
ア「いいよ。」
タ「それでは、さよ~なら~。」
ドン!発砲音を響かせて発射された銃弾は男の頭を貫いた。男が倒れる。どうやらその現場を見た者がいたらしく、下がざわつき始めた。
タ「どうする?行く?」
ア「そうだね~。行こうか。みんな、行くよ!ユウト、いまから戦闘開始だ。頼むぞ。」
ユ「了解。」
5人は屋根から飛び降り、平然と敵の本拠地のドアを開けた。
敵「誰だ!?」
アランがうやうやしく胸に手をあててお辞儀をする。
ア「初めまして。知っていますか?〝マフィアを狩るマフィア、DARK PRINCE″の名を。」
敵「!?」
ア「僕らがDARK PRINCEです。会えて光栄です。そして、今日が皆様の命日になることをお悔やみ申し上げます。」
敵「やれ!」
ア「では僕らも…。みんな、暴れてきなよ。DARK PRINCEの名に懸けて。」
アランがそう言った瞬間、アランの周りでつむじ風が巻き起こった。否、つむじ風ではない。周りにいた4人が目にもとまらぬ速さで動き出したのだ。瞬く間に10人ほどが倒れる。全員が銃で撃たれるか、ナイフで刺されていた。アランは満足そうにその様子を眺めた。
ア「僕にばかり気をとられていると周りが大変なことになりますよ?僕の伏兵はどこにでも現れますから…。」
敵「クッソ、てめぇ…。」
ア「哀れだなぁ。忠告しておいたというのに。」
ドンッ!!
敵「グ…。」
タ「背中がお留守ですよ?フフフ…。」
ア「だから言ったのに…。」
敵「おい!何を怖気づいてる!?やれ!!」
一人が声をあげた。その声で周りの男が一斉にアランに襲い掛かった。
ア「ゴミたちだったら…。」
一人で多量の男たちを叩きのめして殺していくアラン。最後の一人が倒れたとき、アランは続けていった。
ア「僕一人で120人は殺せますよ。」
タ「さっすが~」
カ「んじゃ、始めますか。実際の予告時間にもなってるしね。」
カイの声で4人がどこからともなく現れる。
ア「相変わらず隠れるのはうまいんだから(笑)」
タ「始めますよ?覚悟は、できてますか…?」
敵「たった5人でなにができる?こっちはあと200人以上いるからな!」
ア「そうですね…。はたから見れば多勢に無勢。こちらの負けは確実ですよね。」
敵「ああ、そうだよ!だから早くあきらめ」
ア「ですが、こんなこと僕らにとってはなんのハンデでもありません。こちらには優秀な参謀とスナイパーがいますので。『数で勝てないのなら戦略で勝て。』これが僕の教えです。みんな、行くよ。僕らはDARK PRINCE、暗闇の王子なんだから。その名に懸けて、思う存分暴れてきな。」
タ・カ「^_^」
カイがニタリと笑いながらナイフを構える。タクミは銃を構えた。
ア「戦闘開始だ。」
- Re: MAFIA ( No.2 )
- 日時: 2021/04/30 07:55
- 名前: RAM・SHERRY (ID: CxgKVnkv)
MAFIA 第2話
ア「戦闘開始だ。」
アランの声が静かに響いた瞬間、4人は一斉に動いて戦闘を始めた。アランはその場から動いていないが、周りには襲い掛かってきた命知らずの死体が大量に転がっていた。
タ「あははっ!たのっし~!ねぇ、これで終わり?何でそんなに弱いの?もっと楽しめると思ったのになぁ。」
カ「1,2,3っと。え~、雑魚い。弱すぎでしょ。暇だし。」
リ「はい、はい、はい、はいっと。あっれぇ~もう終わり?」
レ「11,12,13,14,15。終わりかよ。暇すぎて草。」
タ「ユウト、そっちはどう?」
ユ「お前らが暴れるから撃てねぇんだよ!さっきから俺の出番潰しやがって。」
タ「ごめんって。それじゃこっち来てくれる?」
ユ「わあったよ。」
タ「(笑)おっと?奇襲ですか?気配消す練習、してるんですか?後ろにいるの、分かってましたよ。それでは、さよなら。」
ア「あ、ユウト。タクミとの会話は聞いてたよ。みんなにも言ったけど、DARK PRINCEの名に懸けて、思う存分暴れてきなよ。」
ユ「了解!」
ア「はい、さっそく来た。よかったね、出迎えてもらって。」
ユ「(笑)だな。俺のゲームの相手をしてもらおうか!」
ア『戦闘=ゲームはすごいよなぁ(笑)』
5分くらい戦っていただろうか。6人の周りにはおびただしい数の死体が転がり、それぞれが血を流していた。全滅だ。その死体の一部はぐっちゃぐちゃだった。その主犯格はもちろんユウト・タクミだが。
ア「ボスのとこ行くよ。」
タ「楽しみですね。」
6人は死体をそのままにして歩き出した。一番奥、ボスの部屋へと向かう。
ア「ここで合ってるよね?」
タ「うん。そこで合ってるよ。」
アランがドアを開ける。奥には2人のイカツイ男と椅子に座っている1人の男がいた。
ア「知っていますか、DARK PRINCEの名を。」
ボ「お前らのことだろ?おい、やれ!」
ア「タクミ、ユウト、遊び足りないでしょ。行って…え?」
タクミが真っ青な顔でボスを見つめていた。
タ「父さん…?」
ボ「ああ。久しぶりだな、蒼。」
みんな「父さん!?」
タ「はい。この人は僕の父さんです。とはいっても何もいい思い出なんてありませんよ。」
タクミはそう言った。
タ「なので、僕はボスと1戦交えたいです。すみませんけど、イカツイやつは他に任せてもらってもいいですか?」
ア「分かった。」
そして、戦闘が開始された。
- Re: MAFIA ( No.3 )
- 日時: 2021/05/06 18:53
- 名前: RAM・SHERRY (ID: CxgKVnkv)
MAFIA 第3話
ア「どうする?まとめて殺る?」
タ「僕はそれでもいいですよ?目的は父さんの無残な死にざまを見るだけですから。」
レ「グレネード使う?」
ア「頼む。合図をしたらやってくれ。」
レ「了解!」
ア「3,2,1、…ストレリィ。」
ドォン!!ドッカァァン!!!
レントの放ったグレネード弾は壁や床に着弾し、大きな音を立てて爆発した。
カ「殺った?」
リ「わかんない。見えねぇもん。」
カ「そっかw」
アランはさらに命令を下す。
ア「レント、もう1回。次は3発くらい連続で。誰にあてるとか、どこを狙うとか気にしなくていい。適当に連射してくれればいい。リオ、タクミ、俺で乱れ撃ちする。ユウト、ここの部屋が見えるところに行って。爆発音がしたらウィンチェスターちゃんで撃ってほしい。」
ユ「了解!」
ユウトが走り去るとタクミ・リオ・アランは銃の撃鉄を起こし、いつでも撃てるように準備した。
ユ「こっちはOKだぜ。いつでもいい。」
ア「よし。レント、やれ。」
レ「りょうか~い。」
ドンドンドンッ!!!ドッカァァン!!!!!
ア「撃て!!」
アランの声で一斉に射撃が開始された。だんだんと煙が晴れる。しかし―――――
タ「死体が…2つ?父さんは?」
死体は2つしかなかった。
ア「殺りそこねた…!?」
リ「!タクミ、後ろっ!!」
タ「え?…わっ!」
ボ「捕まえた。」
ボスがタクミの後ろに回り込み、タクミの首筋に銃口を突き付けていた。
ア「ユウト、聞こえるか!?」
ユ「……」
ボ「悪いが電波妨害させてもらっている。お前らはもう、あっちのファミリーの安否を知るすべはない。どうする?」
ア「さぁ?」
タ「アラン!僕はいいからこいつぶっ殺して!!」
ボ「おやぁ?俺は蒼をこんなこと言う物騒な子に育てた覚えはねぇぞ?」
タ「死ね!お前の顔なんか、見たくもない!」
ボ「黙れ。」
ボスはタクミの首筋を殴った。タクミが倒れる。
ボ「今連絡がきた。向こうにいたお前のファミリーを捕らえたそうだ。今から選択肢をやろう。1つ目はこいつは俺がいただく。そのかわり、あっちにいたやつは返してやる。2つ目はこいつを返す。ただし、向こうにいたやつは俺がいただく。決められない場合は両方殺す。どうする?」
レ「どうすんだよ。」
ア「分かった。2だ。」
リ「アラン!?」
ボ「ほう。分かった。」
リオがタクミに駆け寄り、抱き上げる。ボスが立ち去ったあと、リオはタクミを寝かせて体を揺すって起こそうとした。
リ「タクミ、タクミ、起きろって!」
タ「うぅん…。…リオ?父さんは!?ユウトはどこに!?」
ア「聞いて。ユウトがやられた。」
タ「え…。」
ア「死んではない。タクミの父さんから選択肢を出された。ユウトを助けるか、タクミを助けるか。俺は、タクミを選んだ。」
タ「何で!?」
ア「ここはマフィアの世界。時には非情な判断をしなきゃいけない。ひどいことを言うとユウトは僕らのファミリーの中でたいして大事じゃない。確かに遠距離スナイパーはかくらん、時には切り札に使える。でも、それより大事な役割が、最も必要な人間がいる。リオ、戦うときに必要なものは何?」
リ「ん~、まずは武器と人。あと、無鉄砲に突入できないから作戦かな。」
ア「その意見も踏まえてレント、何が必要だと思う?」
レ「作戦を立てるならまずは情報がいるよな。」
ア「そう。僕らの中で情報面に最も精通しているのは誰?」
リ「タクミか。」
ア「そういうこと。情報を集めるのに遠距離スナイパーはいらない。だから俺はタクミを選んだんだ。」
タ「何で!?ユウトを助けてよ!僕なんかよりユウトを…」
バシッ!!!
リ「カイ!!」
カ「お前、アランの言ってること分かってんのか!?最も必要な人間がお前だって言ってんだよ!誰を助けるかなんてアランが決めること!俺らは残された人を最大限に活かして戦うだけだろ!?」
ア「カイ、落ち着いて。そしてね、僕らはいろんなマフィアから通称で呼ばれてるって知ってた?」
タ「通称?」
ア「そう。俺は『脳』って呼ばれてるみたい。統率とかするからじゃない?それと同じようにリオは通称『手』って呼ばれてる。由来は銃を自分の手のように扱うから。カイは『指』。由来はリオと似てるね。ナイフを自分の指のように扱うから。ユウトは『腕』。ウィンチェスターを腕と同じように自由自在に操るから。レントは『皮』。潜入捜査とかもこなすレントはいくつもの顔を持っているから。そしてタクミ。タクミは『首』。『脳』を1番近くで支え、情報を伝え、『脳』と全身をつなぐ役割を担っている。生身の人間でもそうだけど、首をやられるとだいたいは死ぬ。つまり、俺らに置き換えるとタクミがやられると俺らは崩れるんだ。分かる?俺らは『ユウト』という代償を払って『タクミ』を手に入れた。『首』という基盤がしっかりしてないと今までやってきたことがすべて崩れ去るんだよ。タクミはそんなヤワだった?俺はそんなやつをここに入れた覚えはない。」
アランの冷酷な言い方にその場の空気が凍る。タクミは唇をかみ、言った。
タ「分かった。でも、これだけは言える。ユウトの奪還は早くした方がいい。そして、絶対に失敗できないミッションだから。」
ア「何で早くした方がいい?」
タ「僕の父さんはよくこういう取引を持ち掛けるんだ。そして、必ず1人連れ去る。連れ去られた人はやつらから拷問を受ける。やつらは情報をすべて聞き出した後、殺すんだ。奪還に失敗しようものならその組織ごと潰される。」
ア「ふ~ん。面白いじゃん。ユウトの耐久力を見れるな。」
アランはニヤリと笑う。タクミは仕事のときの目になっていた。
ア「みんな、いったん本拠地に戻るよ。ユウトの奪還作戦を立てる。」
5人は来た時と同じように本拠地に戻った。ただ一人いないだけで何か物足りない。
本拠地にて。
ア「みんな、集まって。」
タ「うん。」
リ「ほい。」
ア「ユウトがどういう状況かを知る術が俺らにはない。だったら俺らは何をするべきだ?」
タ「ユウトを救出するにあたって、最善を尽くすだけ。」
ア「そう。今から役割を分ける。タクミはハッキング・位置確認。レントは車を使うから整備しといて、いつでも出せるようにしといて。カイはタクミの補佐。リオは武器の整備を頼む。俺は全体の指揮をする。」
「「「「了解!」」」」
タクミは会議が終わると素早く部屋のパソコンに向かった。明かりをつけるのも忘れてパソコンの前に座ってハッキングを始める。
タ「ごめん、ユウト…。ちゃんと助けるから、待ってて。」
カチャカチャとキーボードをたたく音が暗い部屋に響く。
ピコン。
軽い音がしてパソコンがメールの着信を告げた。メールの送り主はタクミの父。URLが貼り付けられており、中身は映像のようだ。タクミはヘッドホンをパソコンに繋げるとURLをクリックして動画を開いた。
タ「!!!」
動画を見たタクミは絶句した。なぜならそこには、そこに映っていたのは
―――――――縛られたユウトだった。
- MAFIA ( No.4 )
- 日時: 2021/05/04 13:08
- 名前: RAM・SHERRY (ID: CxgKVnkv)
MAFIA 第4話
タ「!!!」
動画は絶句するタクミを置いてどんどん進んでいく。我に返ったタクミは動画を停止し、部屋から飛び出した。いついかなる状況でもほとんど動じないタクミが部屋から飛び出すというのは相当の事があったという証拠にもなる。
ア「タクミ、落ち着け。」
タ「いいからみんな部屋に来て!」
タクミが周りもお構いなしに部屋へと走るとみんなも走ってきてくれた。
タ「この動画!見て!!」
タクミは動画を最初から再生した。あのアランですら驚いている。動画の中では縛られたユウトが苦痛にうめきながらも頑張って耐えている様子が映し出されていた。
リ「ユウト…。」
リオがつぶやく。オンもオフも常に一緒のような仲である2人だからこその反応だろう。
ユ「ゔっ、あああああぁぁぁ!!!」
画面の向こうでユウトが絶叫する。
リ「ユウトっ!!!」
ユウトは縛られた状態で足や腕を刺され、肩に銃弾を撃ち込まれていた。肩や腕から血を流しながらも痛みに耐え続けている。動画はそこで終了した。アランは厳しい目で命令を下す。
ア「タクミ、今すぐこのメールの発信源を探れ。大至急だ。リオ、今からいう武器をすべて整備しろ。いつでも使えるようにな。レント、車の整備を急げ。燃料も満タンにしておけ。カイ、お前はとりあえずリオの整備を手伝え。今からいうのはみんなへの命令だ。『すべての行動を迅速に!』明日の夜、作戦を決行する!!!」
「「「「了解!」」」」
タクミは猛スピードで位置情報の特定を急いだ。大量に入ってくる当時の発信状況から厳選して必要な情報を見つけ出す。位置の特定を終わらせるとハッキングに移る。しかし、そこはさすがタクミの父親。さまざまなトラップを仕掛けてあり、マフィア界トップクラスのハッキング能力を持つタクミもを少々手こずらせた。
タ「父さん…。やりますね。この僕すら戸惑わせるとは。でももう終わりです。僕の仲間に手を出した時点ですでにリーダーの逆鱗に触れてます。ほら、あなたの命を狩り取る死神はもうそこに来てますよ…。フフフッ。」
タクミは一人黒笑しながらキーボードをたたき続けた。結局ハッキングが終わったのは夜11時。手に入れた情報をすべてプリントアウトし、資料としてまとめる。素早くアランの部屋に向かい、プリントの束を渡す。
タ「はい、これ。とりあえず現時点で出てきた情報。僕はこの後またいろいろ調べるね。近くと建物内の監視カメラもハッキング終わってるから最新の情報は全部すぐ伝える。」
ア「ありがとう。これはもらっとくね。」
タ「…そういえばリオは?」
ア「ユウトがあんなことなったって知ってからずっとへこんでるよ。」
アランは腰かけた椅子の背もたれに寄りかかって言った。
ア「リオもわかんなかったのかな?みんなは俺がうわさに惑わされず俺が直に目で見て、実際に手合わせして、数少ない有望だと思った人を集めた仲間なのにねぇ。ゴミたちだったら俺はその気になりゃ500人は集められる。きちんと厳選した仲間だったはずなのに、いつからこんな簡単にやられる神経になっちゃったのかな?」
冷酷に言い放つ。タクミは普段なら寒気がするところだが、なぜかこの空気が心地よく感じた。
タ「じゃあ僕はこれで。」
タクミはそそくさと部屋を出るとリオのもとへ向かった。
タ「リオ?大丈夫?」
カ「多分話しかけても意味ないと思うよ。ずっとあの状態だから。」
リオは放心状態で武器の手入れをしていた。ずっと何も考えていないようで、瞳には何も映されていない。時々何かをつぶやいている。
リ「ユウト…。ごめん…。俺があいつをぶっ殺してユウトのとこ行けばよかったんだ…。」
タ「大丈夫。リオは悪くないよ。」
リ「…タクミ…。」
タ「もともと俺が気絶したのと、すぐに戦略を考えられなかったのが悪かったんだし。」
リ「でもっ…。あそこで俺がやつを撃ってればっ…!」
タ「リオ、過ぎたことはもう忘れよう。今の僕らがやることはユウトを奪還すること、ただ1つ。それにさ、あそこであいつを撃ってたところで、だよ?撃ってたら僕もユウトもタヒんでたかもしれないんだよ。それだったらあいつの出した条件をのむ方が最善策だったと思うよ?」
リ「…」
タ「こんなこと言って悪いけど、戦略にない無謀なことしたらタヒぬ確率高まるからやめてくれる?」
リ「お前っ…。」
タ「仮にそれをやってたところでお前もやられてたかもしれなかったんだよ。無駄な犠牲を出さないためにも、戦略にないことはするな。」
カ「アランに似てきたな…。」
タ「僕は部屋戻るから。2人とも頑張って。」
カ「ありがと。」
タクミは部屋へと向かった。パソコンのキーボードをたたき始める。すべての位置情報の特定、監視カメラのハッキングも終わり、ひと段落した時にはもう朝の3時になっていた
タ「ハッキング・監視カメラ終わったよ。」
ア「お疲れ様。休憩していいよ。」
タ「うん。ありがとう。」
タクミはキッチンに向かうとコーヒーを淹れた。コーヒーの香りが漂う。と、そこに、カイとリオが入ってきた。
タ「お疲れ様。」
カ「タクミも。」
リ「ありがと。」
言葉を交わし、タクミはコーヒーを飲んだ。苦い味と良い香りが一緒にくる。味わいながら飲むとカップを片付けてキッチンを後にした。部屋に戻るとタクミは仮眠をした。
午後6時。
カイに起こされたタクミは頭を掻きながら会議室に向かった。
タ「すいません…遅れました…。」
ア「おはよう。会議、始めるよ。」
アランの声で部屋の空気がかしこまる。
ア「タクミ、敵の人数は?」
タ「どうやら別のところにいたやつらも全員集めたみたいで、総勢で1000人はいますね。」
ア「1000人か…。面白いじゃん。どういう作戦で行くつもり?」
タ「とりあえず最初はグレネードと乱れ撃ちで行くつもり。正面突破だと回り込まれるおそれがあるから、陰からすることになるけどね。そのあとはもうバラバラか2人・3人一組で変則攻撃にしようかなって思ってる。」
ア「分かった。ユウトの近くには?」
タ「銃とナイフそれぞれ持ってるやつが数人張ってる。」
ア「とりま俺の仲間に手を出したんだから公開処刑は確実だろ。どう処分するかは俺が考える。みんな、夜10時に出発だ。今のうちに体を温めておいて。武器を選んで、手慣らししておいて。レント、グレネードにプラスで銃を持って行っておいて。」
レ「了解!」
ア「タクミはユウトが見える場所の監視カメラを常に見れる状態にして、動きがあればすぐ報告。」
タ「了解!」
ア「タクミには前線にも出てもらうから周りに気を付けてね。」
タ「分かりました。ユウトに手を出したんだから僕は絶対に許しません。」
ア「その意気でいい。みんな、今からは各々で準備に入れ。解散。」
みんなが素早く準備を始める。レントはグレネードを用意して弾を10発分用意した。さらにトレカフを2丁、服の下に隠していた。リオはグロック17を2丁、弾を大量に持っていた。カイはナイフを5本ほど服の下に隠し、2本を手に持つ。タクミは大量の銃を種類関係なく5丁ほど持った。アランはナイフ・銃を手に取り、少し考えたあとナイフをベルトに挟み、銃を持った。
タ「みんな。ユウトが、やばい。そろそろ危険かも。」
ア「何で?」
タ「意識がもうろうとしてきてるみたい。急がないと命に関わってくる。」
ア「分かった。みんな、出発だ。タクミ、お前が先導しろ。状況に応じて勝利への一手につながる戦略を考えろ。」
アランはそう言って続けた。
ア「これは絶対に負けられない。ここで負けると今までの『俺ら』がすべて崩れ去る。それだけは避けろ。分かったな?」
「「「「了解!」」」」
- MAFIA ( No.5 )
- 日時: 2021/05/09 22:01
- 名前: RAM・SHERRY (ID: CxgKVnkv)
MAFIA 第5話
5人は車で走り出した。運転はレントだ。タクミがノートパソコンに表示した地図で道案内をする。
タ「そこ右。3つ後の信号を左に行って。」
レ「りょうか~い」
しばらく進むと大きな建物が見えてきた。タクミが緊張のにじむ声で告げる。
タ「ここ。父さんの部屋は一番上の3階。1階にはゴミどもが300人くらい。ユウトがいるのは2階。2階にはゴミと幹部が合わせてざっと500人くらいいるね。ユウトの周りにはナイフ・銃その他もろもろ持ってるやつが軽く5人くらい。3階が200人プラス父さんがいる。あいつは何をしてくるか分からないけどそのたびに戦略を変えるだけだから。みんな、よろしくね。」
リ「ユウトは絶対に取り返す。」
カ「いっぱい殺しちゃうよ~♥」
タ「レント、グレネードは使いすぎないで。僕が言ったときに言った量だけ撃ってほしい。」
レ「了解!大丈夫、さすがにそんな失敗はもうしないけど。」
タ「よろしくね。」
ア「みんな、行くよ。」
アランの声で5人のおちゃらけたような空気が一気に冷たくなる。アランを中心に5人は歩き出した。手には銃とナイフを忘れない。タクミの合図でレントがグレネードを撃った。グレネードはドアに着弾し、大きな爆発音を立ててドアを破壊した。1階にいた男たちが振り向く。アランは見るものを引き付けるような優しげな笑顔を向け、うやうやしく礼をした。
ア「皆様こんばんは。お久しぶりの方も、はじめましての方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここにユウトという男がいますよね。彼をこちらに引き渡していただきたい。渡さなくても結構です。その際はこちらから取り返しに向かいますので。」
珍しく笑顔で、敵に敬語を使うアラン。ガチギレしている。
ア「まぁ…皆さんならどちらが得策か、お分かりになるはずですよね?」
タ「絶対分かるでしょ。こいつら脳筋じゃないだろうから(笑)」
タクミがしれっと入ってきて男たちを煽る。それに誰かがキレたのか、大きな怒号とともに一人の男がアランに飛びかかった。アランは笑顔を1ミリも崩さずに男を体術で気絶させた。そして言った。
ア「ふう…。分かりましたか?分かったのなら早くユウトを渡していただきたい。」
そう言って笑顔で男の頭を銃で撃ち抜いた。アランはそれを憐みなのか、軽蔑なのか、感情の読めない目で見下ろす。男たちはアランにたじろいだのか動かない。
タ「ねーアラン、もう行っていいんじゃない?」
ア「まぁ待ってあげれば?返事もらってないし。」
タ「返事ないってことはさ、行っていいんじゃない?」
ア「そういう解釈か。どうします?どうやら僕の手駒が暴れたがっていますけど。」
敵「………」
ア「では。BLOODY PARTYの開始ですね。」
タ「行っていい?」
ア「いいよ。好きなだけ暴れていいから、こいつらを『全滅』させろ。」
タ「了解です。」
リ「了解。」
カ「行きますかぁ。」
レ「んじゃ殺りますか。」
ア「殺戮の時間(ショータイム)の始まりだ。」
アランの声で4人が一斉に動き出した。瞬く間に10人ほどを殺して戻ってきた。
タ「あのさぁ、ちゃんと訓練してんの?すぐ終わったんだけど。めっちゃ暇じゃん。僕の父さんのトコだから強いと思ったんだけど。」
タクミが頬についた返り血をとりながらさりげなく煽る。
ア「戻ってこなくてもいいのに(笑)まぁいい。全員、『殺せ』」
「「「「了解。」」」」
タクミ・リオ・レントが銃を構える。カイはナイフを両手に持ち、ニタリと笑った。5人の声が重なる。
「「「「「It's a Show time.」」」」」
4人が一斉に動く。もはや風のようなスピードだ。最初は300人いた男たちはもう150人ほどまで減っていた。
タクミは次々に襲い掛かってくる男を銃で撃ちながら少し混乱していた。なぜかタクミを狙う男が不自然なほど多いのだ。こっそり隠し持っていたナイフと銃を併用して倒しながらも、ひそかに戦略を考えていた。
『これ、確実に仕組まれてる…なぜ?誰が?誰を狙ってるんだ…?』
襲ってきた男の喉元にナイフを突き立てると同時に銃を乱射して3人ほどを一気に倒す。男たちの肩などを蹴って上に飛び、上から射撃。さらに着地と同時に乱射。それを繰り返してある程度倒すとアランに素早く連絡をとった。
タ「アラン、聞こえる?」
ア「聞こえるよ。どうした?」
タ「なんか変なんだ。やつらの内の3分の1くらいが僕のところに来てる。仕組まれてるかもしれない。」
ア「分かった。とりあえずやられないようにだけしといて。こっちを片付けたら行く。」
タ「こっちってアラン、まさかと思うけど…。」
ア「2階にいるよ?こいつら弱いからあくびしてでも倒せるっての。」
そう、アランは先に2階へと上がり、2階の敵を叩きのめしている最中だったのだ。
タ『それでさっきからアランとの会話中に銃声とかしてたわけだ…。』
ア「タクミ、聞こえてる?」
タ「大丈夫。加勢した方がよかったら言って。」
ア「ありがと。じゃね。」
タクミはアランとの会話を終えると目の色を変えて高らかに叫んだ。
タ「IT'S A SHOW TIME!」
タクミは銃を両手に持ち、乱射を始めた。近距離に持ち込まれるとナイフで、中距離は銃で、と手を替え品を替えて行われる攻撃は予測不可能で、その手に掛かった男たちが血を流して倒れる。タクミの周りは地獄絵図と化していた。
カ「タクミ、後ろっ!」
タ「え?…ゔっ…。」
タクミは後ろから殴られた。フッと意識が遠のく。ストン、と床に膝をついて倒れたタクミ。カイはタクミに近寄ろうとしたが10人ほどの男に取り囲まれてゆく手を阻まれた。しかし、囲まれる前に一瞬見えたタクミの顔は、『大丈夫だから安心して、目の前のことに集中して』と言っていた。カイはその顔を見ると安心して攻撃態勢に入った。
カ「お前ら、覚悟はできてるんだろうなぁ!?さぁ、俺のために死んでもらおうか!!!」
カイはナイフを構えると狂気じみた笑顔を浮かべて言った。
敵「誰がお前のために死ぬのかよ。こっちは10人以上、しかも銃だってある。ナイフ2本で勝てるとでも思ってるのか?」
カ「勝てるよ。当たり前じゃん。言っとくけど俺ナイフ1本で30人相手したことあるからね?いや~あん時めっちゃ楽しかったわ(笑)」
この状況ですら狂ったように笑って話すカイ。子どものようなキラキラした笑顔は好印象しか与えない。手に持っているものが無ければ。
カ「ごめんごめん、話過ぎたね。どうする?ハンデも受け付けるけど?」
さりげなく煽りながら笑う。
敵「1本。ナイフ1本で勝負しろ。」
カ「ナイフ1本ねぇ…。いいよ。BLOODY SHOW(血まみれのショー)を見せてやるよ。」
カイはナイフを1本、鞘に納めて腰のベルトに刺し込むともう1本のナイフを構えた。周りの男が銃を構えるのに対し、ナイフ1本でどう戦うつもりなのだろうか。
カ「『そろそろ終わったかな…。』MY PARTNER,COME ON!!」
ドンドンッ!!
タ「お待たせ~♥」
そこには銃口から細い煙を立ちのぼらせながら立っているタクミの姿が。
敵「なっ…。お前はさっきあいつが気絶させたはず…!」
タ「あのさぁ、舐めないでよ。あんなゆるいパンチで気絶するかって。あーあと、そいつはもういないよ。『先に逝ってる。』ってさ。」
カ「さっすがタクミ。んじゃ、殺るよ?」
タ「おk。」
カイはタクミに気をとられている男を次々に切りつけて殺していった。タクミは銃を乱射し、カイのサポートに回る。1分後には立っているのがタクミ・カイだけになってしまった。
カ「ありがと、相棒。」
タ「そっちこそ。ね、僕のパートナー。」
2人はそう言ってタッチした。そのまま残党を皆殺ししに行く。リオ・レント・カイ・タクミの4人でおよそ100人ほどを倒すのにそこまで時間はかからなかった。
タ「2階にアランがいる。行くよ!」
タクミの声で3人も動く。4人は階段を駆け上がり、2階の部屋へ向かった。2階の部屋にはアランと数十人の男が立っており、ちょうどまた1人、死んだところだった。
タ「アラン、お待たせ!」
ユ「みんなっ!」
ア「お、ようやく来たね。まぁ200人を4人で、この時間で終わらせたのならそうとういいけどね。」
カ「すごいね、もうこんなに倒したんだ。」
ア「だってこいつら弱いもん。あくびしてたからね、俺。」
レ「そしたら…ユウトを返してもらおうか?」
敵「動くなっ!動いたらこいつの命はないっ!!」
ユ「うっ…。放せ!……うあっ!!」
タ「チッ…。」
レ「それは、返す気がないという意味ですか?」
カ「レント、考えなよ。こんなことするんだったら絶対返す気なんかないでしょ。」
レ「だな。(笑)」
リ「…よ。」
敵「あ?」
リ「早く放せっつってるんだよ!」
リオは思いっきりキレると男の頭に銃弾を放った。銃弾は男の頭を貫通し、壁にめり込んだ。その隙にリオとタクミがユウトに駆け寄り、拘束をほどく。
ユ「リオ、タクミ、ありがとう。…痛てぇ。あいつらさんざんにやりやがって。」
ユウトはロープの跡が濃くついた腕をさすりながら言った。
リ「でもよかった、無事で。」
タ「やつらからユウトの動画が送られてきたときリオが1番心配してたんだから。」
リ「ちょっ、それ言わないでよ!」
ユ「俺のこと、そんなに心配してくれてたのか…。ありがと、リオ。」
リ「えへへ…。!アラン、後ろ!!」
ア「ん?…わっ!」
敵「もう1人人質ゲット。」
タ「ほっとくか。」
ユ「だな。」
リ「アランなら大丈夫でしょ。」
ア「フフフッ。」
敵「何を笑ってるんだ?今から死ぬんだよ、お前は!!」
ア「は?何言ってんの(笑)俺が死ぬわけないじゃん。」
敵「いいや、死ぬんだよ。」
ア「どうぞ、殺してみな?お前には無理だから。」
敵「じゃあな、死」
ドンッ!
ア「さようなら。だから言ったんじゃん、無理だって。」
アランは敵を煽ってから素早く銃弾を撃ち込んで仕留めると、あっさり拘束から抜け出した。
ア「それではみなさん、さようなら。」
アランの声で5人が乱射を始める。大量の銃声が響く。瞬く間に血を噴き出して倒れる男たち。
タ「あwたしかにザコいww」
ア「だから言ったでしょ。」
リ「めっちゃ弱いじゃん。」
久々に揃った6人は笑顔で言葉を交わす。ユウトにはカイのナイフを3本持たせた。
ア「やっぱりこのメンツだね。」
そう言ってニッコリと笑ったアラン。そして目の色を変えると
ア「最終決戦だ。みんな、行くよ!」
「「「「「了解!!」」」」」
薄暗い部屋に6人の声が朗々と響いた。
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