ダーク・ファンタジー小説

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インターナル・ローゼ
日時: 2021/06/22 08:19
名前: jockey (ID: d9JZZrk4)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi

主人公の元にとあるゲームのリンクが送られてきた。
いろいろといじってやってみたが、どうも怪しい。
そして、その不安は現実となった。

ある日、彼の頭に〈インターナル・ローゼを起動します〉というと機械音が聞こえたと思えば、視界が真っ白になった。
突然の事態に驚く主人公。
しばらくの時間が経ち、視界が戻ったら──。

近くにいた、ナイフと銃を持っている見知らぬ男が襲いかかってきた。



世界は大きく変わっていたのだ。
殺人、暴力は当たり前。
殺略ロボットや下剋上。
そして魔法。

秩序も法も存在しない、毎日が死と隣り合わせのカオスと化した世界。
そんな中、困惑していた主人公に、居候の幽霊少女が色々と助言をしてきたので、それに従っていたら、いつの間にか世界最強になっていた──。

そんな話。





《目次》

プロローグ

Re: インターナル・ローゼ ( No.1 )
日時: 2021/06/22 08:19
名前: jockey (ID: d9JZZrk4)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi

誰もいない静まり返った廃墟の中を、一人の青年が走っていた。
息は既に上がっており、立ち止まっては、壁に寄りかかっている。
もしステータスという物が存在してれば、彼の体力のゲージは真っ赤であろう。

「いたぞ! あいつだ!」

すると、後ろから複数の足音が聞こえてきた。
それは、青年達を追っていた兵士たちのものだった。
合図と共に、彼らは持っていたサブマシンガンの引き金を引く。

「見つかったのか……」

青年は壁に隠れると、持っていたアサルトライフルで応戦した。
六つのサブマシンと一つのライフル。
計七丁の銃が一斉に火を噴いた。

「……」

銃声が鳴り響き、壁に銃痕の跡が残る。

「……ちぇっ」

不利だと悟った青年はマガジンを切り替えると、グレネードを手に取り、兵士に「こっちだ」と今いる場所をわざと知らせた。
それを知らない兵士たちは、彼を抹殺するために、移動する。
それが彼によって誘導させていた事を知らずに。

「追え!」

彼の挑発に引っ掛かった兵士達は、銃を構え、彼のいた場所まで走った。
当然、彼らが到着した時、青年の姿は既にない。

「ど、どこだ?」

「近くにいるはずだ」

「おい。 これは何だは?」

一人の兵士がその場に置いてあった緑色の小さな球体を手に取る。

「何だこれ?」

「さあ」

兵士たちは、青年の事を忘れ、持っていた球体に正体を探る。
球体の大きさはりんごくらいで、無数の縦線と横線が引いてある。

「まさか……グレネードだ!」

彼らがその正体に気がついた時にはすでに遅かった。

「逃げろ!」

兵士達はグレネードを捨てて、走ろ去ろうとしたが、それは妙な音を立て、その直後に大爆発した。
兵士達の千切れた手足が、ヒビが生えた壁にへばりつく。

「……」

その一部始終を見ていた青年は、目を瞑り、祈りを捧げると、その場を後にした。
しかし、敵を葬ったと言え、まだ安全では無かった。
青年を追っているのは彼らだけでは無かったからだ。

「あそこにいるぞ! 追え!」

建物から出ると、戦車やヘリコプターに乗った兵士達が銃弾を浴びさせながら、青年を尾行する。

「地上に空か……これは相当厄介だな……」

彼は舌打ちをすると、敵が追ってくることはないだろうと考え、路地裏に回った。

「逃がすな! 追え!」

戦車から降りた兵士達は、積んであったサブマシンガンを手に取ると、二手に分かれた。
一隊は青年の後を追うために路地裏に入り、もう一隊は路地の出口を封鎖する。
つまり、青年を路地裏で追い込む作戦であった。

「あいつら、なかなかやるな」

彼もその事に気が付いており、「まずいな……」と癖で唇を噛む。
そして背負っていたショットガンを手に取り、二丁持ちで移動した。
路地は静寂に包まれる。
それは嵐の前の静けさでもあった。

「いたぞ!」

敵の第一攻撃隊が青年を発見したのは、それから数分後の事だった。

「ちぇっ」

青年も敵の位置を把握すると、近くの壁に背中をつける、
そして左手に持っていたショットガンを、手ですぐに取れる位置に立て掛けた。

「奴は武器を持っている。 気をつけろ」

「了解」

隊長の男の指示で、兵士達は照準器に目を合わせ、ゆっくりと前進した。
路地には、多くの兵士が歩いた時に生じる砂利の音が響き渡る。

「……」

そろそろだな。
壁に隠れていた青年も、だんだんと大きくなっていく足音から、兵士がすぐ近くまで歩いているのを確認する。
彼は大きく息を吐くと、持っていたライフルの引き金に手を合わせた。
激しい緊張で、彼の心臓の鼓動が体外に漏れる。

「……」

彼は攻撃するタイミングを待った。
それは一斉射撃で壊滅でき、尚且つ、一発も被弾しない時、つまり、兵士の体がこの壁と平行になる時だった。

「……」

足音、息遣い、そして機械音。

「っ!」

青年は「今だ!」と心の中で合図すると、兵士たちの前に飛び出た。
彼は引き金を引き、銃を持っていた左腕を左右に大きく揺らす。

「奴だ!」

兵士達は口々に叫ぶが、それは彼らの断末魔でもあった。
赤く染まった青年は、弾が無くなるまで射撃すると壁に隠れる。
そして、ポケットから新しいマガジンを取り出し、リロードをするとショットガンを手に取り、その場から離脱した。

「撃て!」

怒声と銃声が響き渡る。
青年の奇襲により、路地裏は激しい銃撃戦場に化した。

「気をつけろ! 奴は地の利を得てるぞ!」

「はっ!」

兵士達は分かれ道で分裂した。
一隊五人の部隊が、細胞のように増えていく。
挟み撃ちで撃つ取る作戦に切り替えたのだ。

「邪魔だ」

青年は前方にいた二人の兵士を蜂の巣すると、出口とは別の方角の右に曲がった。
彼の目には、路地裏を大勢の敵が囲んでいる事が見えていたからだ。

「挟み撃ちにする気か……面白い」

彼は真っ直ぐ走る。
しかし、十字路の手間で足を止めた。
彼は敵をやって来る事を察し、メインウェポンをライフルからショットガンに切り替えた。

「……」

青年は岩のように待機する。
彼の予測が見事に的中したのは、その数十秒後だった。
遠くから足音が聞こえて来る。

「っ!」

青年は兵士の前に飛び込むと、壁を使って、二段跳びをし、ショットガンのグリップを四回引いた。
赤い水飛沫が噴射のように一斉に飛び散る。

「……」

青年はショットガンを捨て、兵士の遺体からサブマシンガンとそのマガジンを回収すると、その場から風のような速度で離れた。

「いたぞ」

「ちぇっ」

本日、二十五回目の舌打ちをする青年。
彼は前後を敵に挟まれた事を悟ると、腰からグレネードを取り出した。

「もう逃げられないぞ? 青年っ!」

兵士たちは死んだ仲間達の仇討ちの為に、殺気に燃えていた。
無数の赤いレーザーポインターが青年の体で反射する。

「……」

引き金が引かれたら、13×30発の9mm弾が青年を貫通し、彼の体は、すぐさま蜂の巣と化すだろう。
それを想像してしまったのか、兵士たちは不気味な笑みを浮かべた。

「お前は死ぬ!」

「どうかな?」

青年は持っていたグレネードを空へ投げる。
そして単発に切り替えておいたサブマシンガンで、安全ピンだけをかすめるように当てた。
その直後、緑色の爆弾は、上空で、奇妙な音と共に起爆する。

「……爆発した」

「ああ」

その場にいた兵士全員が、呆気に取られていた。

「……」

青年はその隙に、壁に飛び越え、死地から脱出した。

「しまった! 追え!」

復讐を忘れ、その場に佇んでいた兵士たちは、我を取り戻すと再び、姿を消した青年を追った。

「……」

一方、グレネードを使い、何とか逃げ切った青年は、「これはまずい」と焦っていた。
彼の右腕は赤く染まっており、息は上がっている。

「残っている武器は、これだけか……」

青年は壁に腰を着けると、その場に倒れ込んだ。
体が、地面についた途端、ポケットに入っていた何かが、彼の体を触れる。
ポケットに入っていたのは、翡翠の色を解き放っている小さな石であった。

「……ただ、石を失う訳にはいかない」

彼はポケットから取り出した石をしまうと、左手に持っていたサブマシンガンのレバーを上げ、モードをフルオートに切り替えた。

「行けるか……」

青年はゆっくりと進み出す。
幸いにも、足音は聞こえなかった。

「……行ける」

周囲の状況から近くに敵はいない。
そう思った青年は一気に駆け出す。
道を真っ直ぐ突き進み、壁を乗り越える。
まだ、敵は来ていない。

「行ける!」

不確定な期待にもかかわらず、青年は微笑み出していた。

「これは、行けるぞ!」

彼の視界の先には、一筋の白い光が見えていた。
それは出口の光なのか。 あるいは、ただの幻覚なのか。
それは分からない。
ただ、青年にはどちらでもよかった。
光に向かって走る。
走る。
走る。

「……」

しかし、鳴り響くいた一発の銃声が、彼の期待を一瞬で砕いた。

「!?」

突如襲った脇腹の激痛に、青年はその場に倒れ込み、その直後、いなかったはずの兵士に何重にも彼を包囲される。

「……っ!」

彼は、倒れた衝撃で、ポケットから石と、小型の黒いガラケーが転がった。

「くっ……」

せめて石だけは!
溢れ出す紅色の染みを手で押さえつつ、青年は転がった石を取ろうするが、その手はついに届くことは無かった。

「!」

小石と黒い電子端末は、突如現れた黒いブーツによって隠されたのだ。
──まずい!
そう思った青年は、勢いよく顔を上げる。

「……」

そこにはいたのは、黒いトレンチコートを身に纏い、帽子を被っていた一人の人間だった。
全身を黒い服装で覆っており、渦渦しさが漂っている。
そして、その手には煙を出していたリボルバーが握られてあった。

「……ソガ……ルト……」

青年は、正面にいる人間を睨む。
しかし、その顔は帽子の影で隠されており、どんな表情をしているのかは分からなかった。

「……」

血が溢れて、やがて意識が朦朧とする。
口を一文字にしていた黒ずくめの人間は、足元にあった石を取り上げると、やがてその口元をゆっくりと緩ませた。

「これで全てが揃った……ありがとう。 そして──」

「……」

「さようなら」

「——ッ!」

彼の口から発せられた別れの五文字が耳に入った後、それに応えるように青年の視界はフィードアウトした。



***



── The last challenger died.
(最後の挑戦者が死亡しました)

── The winning player of the 1st large-scale event will be given a winning privilege.
(第一回大規模イベントの優勝プレイヤーには、優勝特典を贈与させます)

── Winning benefits are top weapons, all players' possessions, items owned, and winning titles.
(優勝特典は、上位武器と全プレイヤーの所持金、所有アイテム、そして優勝称号です)

──Donated benefits.
(特典を贈与しました)

──This concludes the first large-scale event.
(これにて、第一回大規模イベントを終了します)

──We will update for a longer period than this. Therefore, after 3 seconds, all the functions of this game will be stopped.
(これより長期間のアップデートを行います。よって、三秒後にこのゲームの機能を全て停止させます)

──Stopped 『internal rose』
(インターナル・ローゼを停止します)


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