ダーク・ファンタジー小説

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「しあわせ」を求めて。
日時: 2021/07/26 21:34
名前: ぬこみかん (ID: rXD7GYwx)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13092

時は紀元前なんかより...アダムとイヴの話ができるよりずっと前のこと。

天界。それは天使や神の集う楽園である。

とある一国。悪逆非道の王国があった。その国の王子は欲望にまみれ、周りの国を滅ぼして回った。その国の希望は「巫女様」だけ。王子は「奇跡の巫女」であるその国の姫を地下の牢獄に幽閉した。

時は流れ、数十年。お姫様の牢獄に訪れた天使が一人...

「...ここ、どこだ...」

迷子である。


「...キミ、誰?」
姫は問う。そりゃあ、数十年誰も来なかったのにいきなり来たら驚く。
「俺は...まあ名前ないし好きに呼んで。」

珍しい客に驚く姫と、城に4年住んで初めて来た場所と見知らぬ顔をした姫に興味津々な見知らぬ天使。

複雑な事情を持った二人が、初めての「しあわせ」を求めてしまう話。

「そういや、あんた誰?」
「ガブリエラって呼ばれてる。奇跡の巫女、なんて言われてるけど」

その白い羽で、自由へ羽ばたくことができるのか。

  〜序章 2匹の天使〜

目次

序章  二匹の天使
     >>1
第一章 名も無き天使の御噺
    >>2
    >>3
    >>4
    >>6
    >>7
    >>8

第二章 奇跡と人を寄せる少女のお噺
    >>9
    >>10
    >>11

番外編 >>5
    >>12

キャラクター設定

ガブリエラ
とある悪逆非道の王国の姫。奇跡の巫女、と呼ばれているが本当は...?性別は中性。ふりふりのドレスを着ている。

てんしくん(ちゃん)
名前のない謎多き天使。ラフな格好をしている。性別はないらしい。

【お知らせ】

7/22 小説用イラスト掲示板にキャラデザ載せました。

Re: 「しあわせ」を求めて。 ( No.8 )
日時: 2021/07/22 19:13
名前: ぬこみかん (ID: rXD7GYwx)

ところで...

「あのー、もしかしてまだ怒って...」
「怒ってる」

なんでだよ...

「自分で考えて」
「言ったそばからバレてるから」
「違う」
「王子t」
「あいつの話はしないで」

神経逆撫でしたらしい。

でもマジでなんでキレてるのこいつ。

「...あの、そろそろ答え合わせ」
「はー..................」

でっけえ溜息...幸せ逃げるぞ。

「...ばか。なんでそんなデカい傷作ってんの。流石に肝が冷えた」
「...へっ?????」

拍子抜けだ。こういうのを豆鉄砲食らった鳩みたいな顔って言うんだ。

俺の心配してたの??

「いや、でも俺マジで大丈夫」
「大丈夫でもダメ。見てるこっちが嫌なの」

どこからか救急箱を取ってきたあいつ。俺の目の前にへたりと座ると慣れた手付きで傷の手当をしてゆく。

こいつ、堕天使なんだよな。

真っ白な羽も、黄金の天使の輪も。

普通の天使と見分けがつかない。

その口元には一体何があるのかな、なんて。

「はい、とりあえず手当済んだけど」
「ん、あんがと」

改めて見ると顔整ってんなーこいつ...

「何ジロジロ見てんの」
「顔整ってんなって」
「あっそ」

あれれ、耳までまっかっかwかーわい...

もういっそ、こいつと一緒に遠くまで逃げられねえかなあ...

そしたら、絶対しあわせにするのに。


でも、ここでこのままなのも

悪くはないかもしれない。

だって






誰にも、奪われずに済むんだし。

〜第一章 名も無き天使の御噺 終話〜

Re: 「しあわせ」を求めて。 ( No.9 )
日時: 2021/07/23 19:43
名前: ぬこみかん (ID: rXD7GYwx)

ずっと、期待を背負いながら生きてきた。

「奇跡の巫女様がいればこの国は安泰ね!」
「巫女様がいればきっと何万年先も平和なんだろうね」

その期待を、全部倍以上で返すのがボクのお仕事だった。

「大丈夫?痛かったよね、すぐ手当するから」
「国の平和を乱す不届き者め...」

でもね。

表に出さないだけで、とってもとっても辛かった。

だから、王子に...ハーメルンに閉じ込められたとき。

なんでかな、肩の荷が下りたみたいだった。

「天界の国を統べるもの、天界に住まうものは皆、「正義」でなければならない」

どこかの偉い神様が言った。でも、「正義」に定義はないから。

ハーメルンのした仕打ちも、彼の「正義」なら最高神共は咎められない。

それが、今の天界の絶対的信条。法律。

それが心からの正義なら、何をしようと咎められない。


________馬鹿な奴らだな、本当

悪人、それは嫌いさ。善人?それも嫌いだね。

天界では、もうそのどちらもあやふやなのさ。

「正義」のぶつかり合い。勝者は願いを叶え、敗者の多くが押し込まれ、敗者同士で「正義」をぶつけ合うスラム街ができてしまったり。

散々だ。散々だった。

でも、でもね。



孤独の中なら、「正義」も「悪」も関係なかった。

初めての孤独。そこに、恐怖はなかった。


キミが来てから、多分ボクはよく笑うようになった。

「よー、今日も来てやったぞー」
「アンタがなんであれ、責めねえし嫌わねえよ」

あの時のあの子と重ねちゃって。

「また来ましたよ!」
「あなたは善人じゃないですか!だから愛されてるんですよ?」

益々、頭にこびりつくんだ。



あの時の________


「よー、今日も来たぞー」

...はは

「また、来たんだ...もしかしなくても君馬鹿なの?」
「失礼な」


やめよう、益々ひどくなる...

〜第二章  奇跡と人を寄せる少女のお噺〜

Re: 「しあわせ」を求めて。 ( No.10 )
日時: 2021/07/23 20:43
名前: ぬこみかん (ID: rXD7GYwx)

「ねえ」
「なんだよ」

ずっと聞こうと思ってたけど聞けなかったこと。

「キミ、なんでボクのところに来てるの?」

だってそうだろう。

命の危険を冒してまでボクに会いに来る意味がわからない。

ボクにそんな価値はない。キミはボクの種族を知っている。堕天使なんだよ?

「いや、そりゃあさ」



「一応俺ら、友達、じゃん?」

照れくさそうに言う。

「え、あ」

言葉が出ない。答えはYes一択だ。なのに、声が、

「違った?」

「ちが、わないけど」

「...俺さあ、嬉しかったんだ」

なにが?

「アンタ言ったじゃん。「天使と悪魔」は敵でも「ボクとキミ」は友達って。あれ、けっこーまじで嬉しかったんだわ」

「...」

「俺はアンタの友達じゃん。そこに理由はいらなくね?」

「...ふふ、キミはホントにブレないね。安心したよ」

「ならなにより」

もう少し、安心していいのかな

あの子と重なるキミはホントに


_______そっくりね。

「そーいや、はいこれ」

なに、これ

「敷地内の出店で売ってたから買った」

そう言って彼がくれたのは、


白くてもふもふで赤い目がぱっちりしてて

かわいい耳のついた胸に収まるサイズの兎のぬいぐるみ。

「かわいい...!」

思わず頬が緩む。ああ、なにこれ肌触り最高...

「気に入ってもらえたようで何より」
「ありがとう!大事にするね!」

久しぶりに気が抜けた。また胸がぽかぽかする。

「んじゃ、俺はそろそろ行くわ。また明日」
「うん!また明日ね!」

彼が部屋を出ていったあと、心地よい眠気に身を任せ、眠りの底へ沈む。

いつ来なくなるかわからない「また明日」。

それがまた、来ることを祈って。


〜第二章 奇跡と人を寄せる少女のお噺 一話〜

Re: 「しあわせ」を求めて。 ( No.11 )
日時: 2021/07/26 17:55
名前: ぬこみかん (ID: rXD7GYwx)

んー...なんか騒がしい...?

「....が.............れた......」

はっきりしない意識の中、重い体を必死に持ち上げる。

「姫が...誘拐された...」

...は、なんで、あいつ一応国の機密じゃ、

「犯人は!?」
「わからん...今調べてるらしい」

「...なあ、詳しく聞かせろよ」

「お前は...ああ、わかった」

それから聞いた話によると、昨日の深夜の見回りまではいたあいつは早朝にはもういなかったらしい。

脱走はありえない、と言われ、一つの疑問が浮かぶ。

「...さすがのあの人でも、私情くらいあるだろ」

「..........そうか、お前は知らないのか...」
「?」
「....あの方には、」



感情なんてないんだよ。



「.....は?」

「いや、正確には「欲望を消されてる」んだ」
「それって、どういう...」
「食欲、睡眠欲、知欲、ありとあらゆる欲をハーメルン様に奪われてる」
「........っ、」
「だから、逃げようなんて欲も湧かない」
「でも、あいつ、前...」

「犯人がわかったらしいぞー!!」

「本当か!?」
「ああ、犯人は...」


「ベルゼブブさ。」

「ハーメルン王子っ!?」

あ、来んなし。

周りのやつは一瞬で跪く。うわー、ベルさんか。厄介そうだな。

「さて、ベルゼブブは誘拐犯...ではない。誘拐したのは別の誰か」

んま、だろうな。ベルさんよっぽどの事ないと自分じゃ確実に動かねえし。

「そして、誘拐犯は...」


「ニズム・クロシーバ」

周りがざわつく。俺は初めて聞く名前だな。

「90年前、国家機密である姫に関与した罪で捕らえられた反逆者さ」


「罪を重ねた以上、ニズムは極刑に処す。これより、ニズムの確保、そして姫の救出任務を遂行せよ」

「「はっ!」」

揃いも揃って...バカばっか。


耳元で言われた。

「君等のことは応援してる。彼女のためにもね」


なんか誤解されてね?


〜第二章 奇跡と人を寄せる少女のお噺 二話〜

Re: 「しあわせ」を求めて。 ( No.12 )
日時: 2021/07/26 19:31
名前: ぬこみかん (ID: rXD7GYwx)

「...お出かけ?」

姫...ガブリエラは、正直困惑していた。

目の前の天使から、逢引...デート的なことに誘われているからである。

「たまにはいいじゃん。数十年外出てないんだろ?誰も文句言わねえって」
「少なくともハーメルンは怒るよ」
「あいつは例外、何しても文句言いそう」
「大正解」

...行くにしても、どうすんのさ。

「どこ行くつもりなの?」
「命の泉のすぐ側の喫茶店にでも」
「あんなところに喫茶店できてたんだ」

命の泉。それは一雫落とすとあたり一面に花が咲くような聖水が湧き出る泉である。

ガブリエラがまだ幼かった頃、よく一人でぼーっとしていた場所。

「...いいけど、服どうすんの。このままってわけにも...」
「これでいい?」

彼が持っていたのは白いワンピースとグレーのカーディガン。そんなのまで用意してたんだ。

「仕事は?」
「今日休み。意外と休みもらえるし」

「...口元隠せるものある?」

「一応こんなのが」

黒いマスクを取り出す。ここは予想されてたんだろう。

「...いいよ、行こ」

「まじ?よっしゃ、んじゃ俺も着替えてくるわ」


ガチャリと音を立て扉が閉まる。

久しぶりの王国。

どうなったんだろう、なんて考えながら先程手渡された服に袖を通す。

温かい。

...ふと、気がつく。



これ、手作りじゃん。すごい縫い目きれいだから気づかなかった。

素直に尊敬する。今度なにかお礼でもしよう。

「おーい、着替え終わったー?」

ドアの向こうから声がする。

「うん、終わった」

「んじゃ行こーぜー」

おでかけ、だ

〜閲覧数150突破記念番外編 逢引と温かい紅茶 前編〜


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