ダーク・ファンタジー小説
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- 大嫌いだけど大好きなおばあちゃん。
- 日時: 2021/09/05 13:51
- 名前: koto// (ID: 9Kj3alWT)
母から知らせを聞いた時、俺は驚かなかった。だけど何故か涙が出た。
そのとき、ふと思い出したのは思い出でもなんでもないただの会話だった。
あー、そうだ。俺は知ってたんだった。おばあちゃんが死ぬことなんてもっと前から知ってたんだったな。
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俺の父は俺が産まれた時に事故に巻き込まれて死んだ。だから父の記憶は全くない。
そして俺を育ててくれたのは母でも父でもない。おばあちゃんだった。
実を言うと母との思い出はあまりなくて、いつも夜の11時に帰ってきては5時に仕事に戻ってしまう。
こんなの不公平だよな。周りの友達のお母さんよりしわくちゃな顔で。曲がった腰。おばあちゃんなんて大嫌いなんだ。
いや違う。大嫌いだけど大好き。
両親がほぼいないと言っても過言ではない俺をずっと育ててくれたのはおばあちゃんだ。お弁当も色はいつも茶色だったけど確かに美味しかった。
俺が帰ってきた時、おかえりと言って向かい入れてくれたのはおばあちゃんだった。
母や父よりも数百倍は大好きだった。
そんなおばあちゃんが死んだ。
おばあちゃんの最後の言葉は行ってらっしゃいだった。
- Re: 大嫌いだけど大好きなおばあちゃん。 ( No.1 )
- 日時: 2021/09/05 14:12
- 名前: koto// (ID: 9Kj3alWT)
俺が帰る途中、パトカーと救急車のサイレンと眩しく光るものが見えた。
9月7日。あの日俺は友達と遊んでいた。夜8時になって初めて気づいた。おばあちゃんに知らせてなかったなって。
でも気にしなかった。その時。瞬間が楽しかったからだ。
おばあちゃんは確かに大切だけどそんなおばあちゃんよりはるかにいて楽しいのは友達だ。
この時間が一生続けばいいのに。そんなことをずっと思ってた。
10時になって家に帰ろうとした。けど辺りは真っ暗で今までで体験したことのないようなワクワクが身体中をよぎって俺は夜の街をゆっくり帰った。
そんなとき、サイレンが。光が見えた。夜なんだからこういうこともあるよなって。当たり前のことなんだろうなって。
でも近づいたとき、初めて気づいた。あれは俺のおばあちゃんだってことに。
その人は横断歩道を通ってる途中、信号が赤に変わって車に轢かれた。
その人は信号が赤に変わった瞬間アクセルを踏んだと。その時歩行者に気付かないで走ってしまったと。そう証言した。
無意識のうちに俺は走り出していた。
おばあちゃん!おばあちゃん!って馬鹿みたいに叫んで。泣いて。
警察や病院や色々なところに回った。
でも、もう暗いから家まで送るよって警察の人に言われて俺は家に帰らされた。
時計の針が異様に気になる。
他のことが考えられない。
こんなとき、おばあちゃんが居ればなって。いつもおばあちゃんが居たから不安で仕方ない。
嫌いだったはずなのにすごく心配なんだ。
2時間経って母が帰ってきた。
母の一言目はおばあちゃんが亡くなりましただった。
母は冷静で涙一つない。本当に人間なのか?心底母が信じられない。
それと同時に涙が止まらない。分かりきってたはずなのに。
「おばあちゃんの最後の言葉はね、行ってらっしゃいじゃないんだ。『孫の。孫がいるんです。17歳の。いつもは7時までには帰ってくるんです。今日はまだ帰ってきてないんです。日向心って言います。お願いします。孫を助けて下さい。』そう言ってた。おばあちゃんは最後まであんたのことを考えてたんだね。」
- Re: 大嫌いだけど大好きなおばあちゃん。 ( No.2 )
- 日時: 2021/09/05 14:47
- 名前: koto// (ID: 9Kj3alWT)
馬鹿!馬鹿!馬鹿!俺の馬鹿!
なんで言わなかったんだよっ。
なんで友達優先させたんだよっ。
なんで、、なんでだよ、、、
朝が来ても次の夜が来ても次の朝が来ても立ち直れなかった。信じられなかった。自分が許せなかった。
あの日から1週間が経った。
お葬式をやるらしい。けど行きたくない。俺には合わせる顔がないんだ。
ピンポーン♪
玄関のチャイムが鳴る。
「おっす!心〜1週間も学校休んで心配してるんdって、おい、お前どうしちゃったんだよ。顔も洗ってないだろ?髪もボサボサ。洋服もあのときと同じ服。なにがあった?教えてくれよ。」
「無理だよ。教えるわけがない。もう帰れよ。お前らのせいで。お前のせいで、、」
ドンッ!とっさにドアを閉めた。
2時間くらいたったのだろうか。またチャイムが鳴る。
「うるせーよ。何度来ても俺は変わらねえから。帰ってくれ。」
『心、、ちゃん?おかえり。』
この声は、。優しくて心地良くて。包み込んでくれるようなこの声。おばあちゃんの声だ。けどなんで?なんで轢かれたはずのおばあちゃんがいるんだ?
「そうだよ。心だよ。おばあちゃん、ごめん。ごめんなぁ。ただいま」
なんでか分からないけどまた泣いていた。目からポロポロ溢れてくるんだ。
『どうして謝るの?泣いてるの?ごめんねぇ。遅れちゃったねぇ。』
「だって、だっておばあちゃんは俺が、、俺が殺したも同然なんだよ。もし俺が遊んでくるって言えばおばあちゃんはまだ生きててそれで、それで・・・」
出てきた言葉を飲み込む。
『またね。時間が来ちゃった。これは秘密だよ。誰のせいでもない。おばあちゃんは心ちゃんのおかげで楽しい人生でした。ありがとうね。』
信じがたい話だ。けど実際に話してる。顔は見えないけど声は聞こえる。いたずらだったとしても嬉しかった。
- Re: 大嫌いだけど大好きなおばあちゃん。 ( No.3 )
- 日時: 2021/09/05 15:00
- 名前: koto// (ID: 9Kj3alWT)
この話の74年後。俺は安らかに息を引き取った。
幽霊になって。空を舞う。不思議だけど周りには見えてないらしくて。けど本当に生きてるみたいで。死んでることが信じられないけど。
親族がお葬式を開いてくれて俺は空でそれを見守る。
そうしたら神様が迎えに来てくれて天国の扉に足を踏み入れる。
天国は本当に天国で好きなことが沢山出来る。
天国には神様と俺の他に天使さん達や亡くなってしまった人達、これから生まれる赤ちゃんがいる。
なんとも不思議だ。
『心ちゃん!おかえり』
この声はおばあちゃんだ、。
「おばあちゃん!おばあちゃん!ありがとう。ずっと。ずっと。」
『?』
「ただいま」
くしゃっとした笑顔でおばあちゃんが笑う。
今度は俺もくしゃっとした笑顔で笑う。
そして俺はおばあちゃんからある話を聞いた。
天国の住人は手紙を書けるんだと。
それは生きてる人宛だということ。
それは1通しか書けないということ。
でも時々手紙じゃなくて話せる人がいると。
その原因は天国の住人がその人をとても想っているということ。
「ばっかじゃないの!そんな原因っ(笑)でも俺、嬉しかったよ。勇気が出たよ。あの声で失ったものが報われた気がした。あの声で人生が楽しかったから。」
- Re: 大嫌いだけど大好きなおばあちゃん。 ( No.4 )
- 日時: 2021/09/05 15:05
- 名前: koto// (ID: 9Kj3alWT)
これで終わりです!
見てくれてありがとうございます!!
小説はあまり書いたことがなかったのですが、小説を書いていて楽しかったです!
不定期ですがまた小説を書いてみようと思います!
まだ初心者で、初めて小説が完結したので話が変かもしれませんがこれから、優しい目で見ていて下さい。
そして感想があれば言って欲しいです!
ここが良かった。こうしたほうがいいよ。など感想が欲しいです、、
必ずその感想の指摘や褒めて下さったことを実践したり、伸ばしていきます!
よろしくお願いします!
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