ダーク・ファンタジー小説
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- お母さんへ
- 日時: 2021/09/28 22:24
- 名前: さかな (ID: oKgfAMd9)
お母さんへ
こうして手紙を書くのは初めてだね。
いきなり娘からの手紙が来て驚いていると思う。見てるかわかんないけど(笑)
特別な日なので思い出を振り返ってみようと思う。
こんなことがあったなって思ってくれたら嬉しいな。
お母さんは私を産む時大変な思いをしたと思う。それでも諦めずに私を産んでくれたのは間違いなくお母さんです。
私が生まれてからは育児で忙しかったと思う。その忙しさは学校で習ったけどそれ以上なんだろうな。
お父さんは全てお母さんに育児を任せていたよね。
4歳の時には小さいながらも二人は仲悪いんだって思ってたよ。嘘であって欲しかったけど。
小学生の時に改めて思ったよ。5年生くらいかな?
両親の仲が悪いんだって。
もうお母さんは限界だったんだね。お母さんの部屋にあった離婚届をたまたま見ちゃった。
悲しくはなかったよ。だって私はお母さんのこと大好きだから。
その次の年から離婚して引っ越してお母さんとの生活が始まったね。
お母さんは仕事で忙しいからご飯は毎日私が作ってたよね。夜まで働いてるお母さんのことを考えるとこんなことキツくも何ともないなって。
時々帰ってこないこともあったよね?飲み会行く時は連絡してって言ってるのに、しなかったことが多かったね。
楽しいことが目の前にあるとやるべきことが忘れちゃうのはよくわかるよ。
中学生の頃かな?お母さんが家に帰ってくるのが少なくなってきたよね(笑)
飲み会多かったんでしょ?帰ってくる度顔が赤くなってたもん。
たまに見るお母さんの顔が私にとっては嬉しかった。
私ね、その時いじめられてたんだよ。だからお母さんのこと見ると元気になれたの。明日も頑張ろうって思えたよ。
中学2年生の時、近所のおばさんに心配されたんだよ。
お母さんに変なことされてない?って
何もないですって言ったんだけどその人しつこくて。キツい言葉出ちゃったけど大丈夫だったかな?
お母さんがよく家にいるようになってしつけされることが多くなったけど、私が変なことしたからだよね。
親と会話するのも大事って先生が言ってたから。親のするしつけは愛だって。
私ずっと愛もらっちゃってたね。ありがとう。
高校入ってすぐの頃警察が家に来たよね。その警察はお母さんを悪者だって言ってた。
そんなことないのに。
世間からはそう見られてるのかな。
お母さんはなぜかもがかなかったよね。警察相手だからだと思うけど。
でも私はいっぱいもがいたよ。
やめて。私のお母さんを連れてかないでって。
世間は警察が正義みたいに言うけど、私にとっては警察が悪だったよ。
結局お金もないからお母さんは刑務所に行っちゃったね。何も罪を犯してないのにね。
私は私で施設に預けられた。お母さんがいない毎日はすごく辛かった。寂しかった。
周りからは心配されたよ。同情された時もあった。
私はそれが嫌で嫌で、学校の屋上で飛び降りることを決めたよ。
学校ならそれなりに高さあるし。
私が死ぬことで変わることはないけれど、お母さんが悲しんでくれることを私は願ってる。
ありがとう。お母さん。
のぞみより
- Re: お母さんへ ( No.1 )
- 日時: 2021/09/29 22:44
- 名前: さかな (ID: oKgfAMd9)
「お母さんとお父さんはいつも喧嘩をしてるの」
って保育園の先生に言ったら
「何かあったら言ってね」
っていってたの。私はお父さんと喧嘩してないのに。
「あれ、お母さんの部屋のドア開いてる」
少しだけ部屋を覗いてみた。
すると、机の上に離婚届が見えた。
「………そっか」
しょうがない。これはお母さんが決めたもしくは二人で決めたんだから。
私はその結果に納得しなきゃ。
お母さんの部屋のドアを閉めて真実を受け止めるようにしゃがんで両手を胸に近づける。
………たくさんの涙を流しながら。
「今日は早く帰ってくるかな」
お母さんが仕事で忙しいから私がご飯を作る担当。
早く帰ってくる日はおいしいって言ってくれるからそれが嬉しくて、どんなことも大丈夫だってなるよ
「また飲み会かなぁ」
連絡してっていってるのにお母さんはいつもしない。
目の前に楽しいことがあるもんね。やらないとダメなことを忘れるのは私でもあるよ。
「お母さんの顔また赤かったな」
最近飲み会多いな。
でもお母さんの顔が見れたらそれでいいや。明日も頑張ろ。
「お母さんに変なことされてない?」
下校途中に近所のおばさんに心配されながら話しかけてきた
「何もされてないですよ。どうしてですか?」
「見かける度に怪我が増えてる気がして。あのお母さんならやりかねないと思ってね」
「何もないですよ。心配しすぎでは?」
「そうかもしれないけど、でも・・・」
「しつこいですよ。何もされてないっていってるじゃないですか。お節介です」
「あ、ちょっと!」
大丈夫かな。ついキツい言葉が出ちゃったけど。
前と何か変わったことがないとも言えない。
お母さんが家にいるようになってからしつけされることが多くなったけど、私が変なことしたからお母さんは怒ってくれてるんだよ。
親と会話するのも大事って、怒られるのも愛って先生が言ってたし。
きっと愛なんだ。
高校入ってすぐ。
家のチャイムがなった。
「もしもし、警察です。開けてもらいますか?」
なんで警察が・・・?
お母さんは何も言わずに玄関を開けた。
「あなたを虐待罪で現行犯逮捕します」
虐待罪?お母さんがいつ罪を犯したの?
「待ってよ!なんでお母さんが逮捕されるの?」
警察は少し驚いた顔をした後に言った。
「いいか?お母さんは君を痛い目に遭わせたんだ。痛かっただろう。でももう大丈夫。誰も君を痛い目に遭わす人はいないよ」
痛い痛くない関係ない。お母さんを取らないで。
なんでお母さんは無抵抗なの?連れて行かれるのに。
警察相手だからかな。
「やだ!!やめて!!私のお母さんを連れて行かないで!!」
この時は警察が悪者に見えた。
お母さんが連れて行かれた後の家は今までよりもずっと静かだった
結局お金もないからお母さんは刑務所に行った。
私の納得がいかないまま。
私は私で施設に預けられた。お母さんがいない毎日はすごく辛くて寂しい。
私は毎日と言っていいほど夜な夜な泣いていた。
「大丈夫?私もお母さんいないけど、全然寂しくないよ!だから大丈夫だよ!」
周りからは心配され、同情されの日々。
………そうだ。学校の屋上から飛び降りればいいんだ。
そうすれば心配も同情もないしお母さんとは会えなくなるけど時間が経てば会えるから平気だ。
そして私は翌日の昼休みに屋上まで行った。柵を乗り越え柵の間にある少しの足場に足を置く。
またね、お母さん。
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