ダーク・ファンタジー小説
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- 人狼 ゲーム
- 日時: 2021/10/12 19:42
- 名前: なっちゃん (ID: wxZ0SJGK)
「ただいまより、人狼ゲームを始めます!」
そんな能天気な声が響いた時、役職を見て、絶句した。
- Re: 人狼 ゲーム ( No.2 )
- 日時: 2021/10/13 17:36
- 名前: なっちゃん (ID: wxZ0SJGK)
2番、と書いているイスに座っていたのは小柄な女の子だった。
その子は恐怖に歪んだ顔で立ち上がった。
「えっと…。岩上心音です…」
心音さん…
「……俺、如月優斗。」
優斗さん…
「今野愛瀬です!よろしく!」
この状況に合わない元気さで挨拶をしたのは、愛瀬さん。
「そんな顔してたらもっと怖いじゃん!明るく明るく!」
そんな風に言ってはいるけれど、愛瀬さんだって怖いんだ。
顔が、微妙に引きつっていた。
「そうだな」
へへっと笑いながらそう言ったのは
「俺、山本奏太!よろしくな!」
奏太さん…
あ、次私だ!
「あ、えっと、あの…。小島結乃です。」
自己紹介とか苦手…
いつもの人見知りが出ちゃって罪悪感が残る。
「えっと、僕は、田中翔大です。」
誰も座っていない1番のとなりに座っているのは、翔大さん。
奇妙な私たちのゲームが今、始まろうとしていた。
- Re: 人狼 ゲーム ( No.3 )
- 日時: 2021/10/13 21:36
- 名前: なっちゃん (ID: wxZ0SJGK)
1日目
『ではルール説明をします。まず、あなたたちに配られる役職は4種類。市民、人狼、占い師、騎士です。市民は3人いて、なんの意味もないただの人です。人狼は夜になると人を襲う狼です。占い師は夜に知りたい人の役職を見ることが出来ます。騎士は夜に護りたい人を選びます。選ばれた人は、人狼に襲われることはありません。昼の10分の話し合いの後人狼をつれば市民の勝利です。では、そろそろ始めますか!』
嫌。帰りたい。
私が何をしたって言うの…
『ただいまより、人狼ゲームを始めます!』
目の前に小さなタブレットが出てきた。
そこに書かれていたのは。
「あなたの役職は、」
そこまでしか書かれていなくて、下にスクロールした瞬間、
「!」
『それでは、話し合い、スタート!』
開始から30秒たっても誰も、何も喋らなかった。
そんな中口を開いたのは。
「俺、人狼。」
優斗さんだった。
みんなが息を呑む。
いきなり人狼なんて。
「で?占い師と騎士はCOなしでいいの?」
みんなが黙り込む。
一人だけ、愛瀬さんが口を開いた。
「私、占い師でした。今日占ったところ、心音さんは、白でした。」
心音さんがホッとしたようにため息を溢す。
でも10分なんてあっという間で、
『終了〜!じゃあつりたい人の写真を選んでタッチしてください。』
でも、最初にあんな発言があったら、こうするしか…
『投票が終わりました。優斗さん、5票。結乃さん、1票。よって、今日の犠牲者は優斗さんです。』
私に、1票?
誰が……。優斗さんかな。
なんで、分かったの…
私が人狼だって。
- Re: 人狼 ゲーム ( No.4 )
- 日時: 2021/10/14 17:37
- 名前: なっちゃん (ID: wxZ0SJGK)
『それでは夜になります。参加者の皆様は、自分の部屋でおやすみください。』
今日の犠牲者が決まり、優斗さんが別室に連れて行かれた後、込み上げてくる吐き気を堪えながら、言われるままに5番の部屋に入る。
質素な部屋で、中にはベットと時計しかない。
さっきのタブレットを見ると『役職のない人は眠ってください。人狼、占い師、騎士以外の方が眠ったのを確認した後、活動を始めます。』
そんな…
つまり人狼に喰べられる人は寝ていて、自分の最期に怯えながら毎夜過ごすんだ。
そんなのって、残酷だ。
それから10分くらい経ってから、声が聞こえた。
『それでは騎士の方、護りたい方を、画面から選択してください。』
もちろん、私のタブレットの画面は動かない。
それから少しすると、『占い師の方、占いたい方を、画面から選択してください。』
私は、自分が占い師に占われないといいなと思いながら待つ。
『それでは最後に人狼の方、殺したい方を、画面から選択してください。』
そう言われた瞬間、私のタブレットが振動し、「選択してください。」と言う文字と、全員の顔写真が映る。
どうすればいいの…
嫌だ。誰も殺したくない。
嫌だ…
それでもやっぱり、押すしかなくて…。
押した瞬間、叫び声が聞こえた。
『朝になりました。会場にお集まりください。』
ゆっくりと自分の部屋を出て、5番の椅子に座る。
空いた1番と3番と、6番の席を見ながら思った。
本当に殺ってしまったんだ…
- Re: 人狼 ゲーム ( No.5 )
- 日時: 2021/10/16 11:43
- 名前: なっちゃん (ID: wxZ0SJGK)
2日目
『それでは、話し合い、スタート!』
「あの、まずは占い結果いいですか?」
その場が静かになる。
どうか、私じゃありませんように…
「私が今日占ったのは、結乃さんです。」
あ…
私だったんだ…
今日、死ぬの…?
嫌だ。まだ死にたくないよ…
「結乃さんは、白でした。」
え…?
嘘。私はたしかに、昨日翔太さんを殺した、人狼。
愛瀬さんは、嘘をついている。
なんのために…?
疑問が押し寄せて来た時、 心音さんが口を開く。
「ねえ、カミングアウトしてよ。人狼。私、死にたくないもん。みんなそうでしょ?だったら人狼ひとりで死んだ方がいいじゃん。」
声は震えていたけど、その声にははっきりとした芯があった。
「とにかく今いない奴と、占いを信じるなら、心音と愛瀬と結乃は違うだろ?怪しいのは俺だけだけど。」
奏太さんが言い終わった瞬間、あの声が聞こえた。
『それでは、つりたい人を選んでください』
- Re: 人狼 ゲーム ( No.6 )
- 日時: 2021/10/16 16:51
- 名前: なっちゃん (ID: wxZ0SJGK)
タブレットにみんなの顔が映る。
『投票が終わりました。奏太さん、2票、愛瀬さん、2票、よって、今日は無しになります。』
私は、奏太さんに投票した。
だってこの流れだったら1番自然だから。
私、最低だな…
『それでは夜になります。参加者の皆様は、自分の部屋でおやすみください。』
よかった…誰も死ななくて。
5番の部屋に入り、自分の番を待つ。
『それでは最後に人狼の方、殺したい方を、画面から選択してください。』
でも…
昨日と違った。叫び声が聞こえなかった。
『朝になりました。会場にお集まりください。』