ダーク・ファンタジー小説

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青い夏の日と神様
日時: 2021/11/03 17:19
名前: ななしさん (ID: lmEZUI7z)



暑い夏の日

蝉の唄が五月蝿く響いて

貴方の声すら掻き消して

「渚!!」

耳元で私の名前を叫ぶのは親友の瑠夏だった

いきなり耳元で叫ばれた勢いで椅子から転げ落ちてしまった

周りに人がいなくてよかった……

「ちょ、ちょっと瑠夏、急に叫ばないでよ」

「だって渚が全然反応してくれないんだもん…ちゃんと聞いてる?」

「うん、聞いてるよ〜。」

「良かった。それでさーーー」

瑠夏の話は面白い。だけど急に話が変わったりして本当に言いたいことがわからないんだよね…

「ーーだったの!」

自慢気に話終えるとチャイムの音が響く

「あ、やば!今日部活だった!じゃあ渚!また明日ね!」

忙しなく部活の荷物を取って教室を出る瑠夏

「あ、ばいば……ってもう行っちゃったか」

瑠夏はいつも明るく大胆だ。

私とは性格も正反対でそこが羨ましくも思い、少し呆れることもある

ガランとした教室はいつもとは違う雰囲気でなんだか不思議に思えた

「そういえば今日暇だな……。葵センパイの手伝いもないし」

小さく一息を吐きながら窓に広がる海を眺める

葵センパイというのは家の近くに住んでいる3年生で両親がカフェをやっている

葵センパイとは仲が良かったのもあり、よくお手伝いをしていた

しかし、今日は旅行に行っているみたいでカフェはお休みだ。

「海の右にある山。すごいロマンチックだな。」

正直ロマンチックという意味は理解できてないけどね

ぼんやりしていると携帯がなった

手に取ると姉の琴からだった

「お姉ちゃんなに?電話とか珍しいね」

姉は滅多に電話をしない人なので珍しく思う

「あー、貴方、部屋が散らかってるってお母さんが怒ってたわよ?
 昨日片付けるからって言ってなかったっけ?」

その言葉にギクッとなって慌てて弁解をする

「あ、えー。言ったっけ?」

苦し紛れのとぼけに姉はケラケラと笑う

「まあ、言ってなくても言ってても今すぐ帰った方がいいわよ?
 お母さんの怒りを鎮めてよ〜」

煎餅でも食べているのか…バリバリ音が聞こえた。

「じゃあ」

何か言う前に姉がきってしまった。それだけ…?

「もう、他人事なんだから」

なんて言い訳をするか考えながら教室を出る

誰もいない廊下に流石に遅すぎか…と思いつつ早足で校門に向かう

「はい!」「はい!」

体育館から元気の良い音が鳴り響く

ああこんな暑い日でもやっているのかと思わず感心してしまった

外を出て自転車置き場についた

「あち!!」

自転車に手をかけると思わず声を出してしまった

いっぱい日光を吸った鉄が私の手を拒否する

「うう、ただでさえ日光が痛いってのに」

1人で嘆いてもしょうがないか

なんとか熱いの我慢しながらサドルに乗って勢いよくこぐ

「はあ……きもちいー。」

海風が火照った体を優しく冷やしてくれる

交互に聞こえる波はまるで会話をしているようだ

私の通学路には海があり、海の横には山がある。

すごい気持ちよくて田舎に住む私だけの特権って感じ

山の上には行ったことがないけど神社があるとかないとか

神社には神様がいるのかな……。

私自身、そういう神とかオカルトとか未知なものが好きなので

山にある神社なんてとても気になる

まあ本当にあるのかわからないし、正直神様は妄想の中だけでお腹いっぱいって感じ

そう考えていると家に着いた

自転車を止め、扉を恐る恐る開くとそこには母がいた




「随分な怒られっぷりだったね」

姉が落ち込む私を茶化してくる

正直あそこまでの怒りだとは思っていなかった

まあ普段の私のだらしなさが原因だけどね。

部屋はちゃんと片さなきゃ……

チリも積もれば山となる、これを見を持って実感した……


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昨日のこともあり、今日の朝がきちんとパジャマを洗濯機に入れたから登校した

暑さを我慢しながら自転車をこぐ。

正直暑さにはうんざりだが、暑さから感じる海風の涼しさは登校する私にとっては

格別だ。緩やかな坂を降っていると瑠夏が後ろからベルを鳴らした

「渚〜。おはよお」

「おはよ〜瑠夏」

自転車の少しスピードを落として瑠夏の速さに合わせる

「ねえ昨日の宿題やった?」

「え、やったけど…もしかして瑠夏やってないの?」

「うう……渚!学校着いたらHR始まる前に写させて!」

「もー。しょうがないなあ」

「神様!」

なんてたわいもない話をしていてふと昨日思った【山の神社】について

瑠夏に聞いてみようと思った。

「ねえ瑠夏」

「んー?」

「海の横に山があるじゃん」

「うん。あるね」

「噂によるとあそこに神社がいるらしいよ」

「ええ!そうなの?なんかすごい雰囲気あるねえ」

「だよね、なんか神秘的。もしかしたら神様とかがいるかもしれないって
 昨日思ってさ〜。」

汗が私の肌をつたり、静かに手元に落ちた

「あー渚ってそういうの好きだもんね。でもカミサマとかいたら面白いよねー!」

目を光らせる瑠夏。ただでさえ眩しいのに…

「まあ、本当にいるかどうかはわからないし、
              そもそもあるかどうかもわからないし」

なんだか無性に気になってしまう……

「あ!渚やばい!宿題する為の時間も考えて急いでいかなきゃ!」

「私宿題終わってるんだけど…」

「私のため⭐︎」

テヘと舌を出した瑠夏は向こうの学校へ風に負けじと力強くペダルをこいだ

「渚〜置いてくよ〜!」

「え、ちょ待ってよ!」

私はペダルを早くこいだ。

「もー!!瑠夏は自由人なんだからああ!!!」

私の叫びは波の音に消されてしまった

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はあ……社会の授業は本当に暇だ。

一時間目から社会だと気分が落ちてしまう。

この町の伝統を学ぶっても意味ないよ〜。

英語とか国語とか体育とかの方がまだ面白く感じる

まあ数学と理科よりはマシか……。

なんて愚痴を心の中で言っていると

「そしてこの町は自然と共に生きていくこと何より大事にした。

 昔はあの山は町のシンボルだったんだけどなあ」

と、社会担当の山田先生が呟いた

ん……!山?

そうか、伝統なら山のことも詳しく知れるチャンス?

噂は本当なのか知りたい!神社がもしあったらもしかすると神様が……なんてね。

でももしかしたら先生は山に神社があるのか、神社があったら神社について聞きたい!

「せんせー!山には神社とかあるんですか?」

私が聞く一足先に瑠夏が聞いてくれた。

瑠夏も神様とか神社とかに興味があるのか。

「ん、あるぞ?夜桜神社と言ってな。昔から夜桜様という神様がいたそうだ。」

先生が黒板に【夜桜神社】と【夜桜様】と書いた

本当に神社があったんだ。噂は本当だったんだ。

しかも神様まで言い伝えられてるのか

よく本とかに神様の話はあったけど結構身近に神様の言い伝えがあるなんて

神社があったか、神様がいたかは知れたが…逆に夜桜様について

もっと知りたくなってしまった。

「先生。夜桜様について!なんかないんですか!」

クラスのムードメーカーである悠二くんが手をあげた

いつもは少し距離置いていた存在だが共通の疑問があって意外に気が合う?なんてことも考えてしまった。

「そうだなー。先生も対して知りはしないが……昔から町に住んでいた人に聞くと、
 夜桜様は女の方で…黒髪…赤い目をしているそうだ。ただ滅多に会うことはできず
 その姿を見た人は5人も行かないみたいだ。その少ない人も今はもう亡くなってしまっていまは本当かはわからない。あと、彼女を見た人は必ず不思議な話をしたようだ。不思議なところにいったとか、妖精にあったとかあまりにも非現実で周りは信じなかったがな。」

先生が言ったことは作り話にも思えたし、本当にあったかもしれない。

「すげえ……映画みてえだな。」

「先生それ作り話じゃない?」

「夜桜様に会いたい!!」

「ほんとにあるんだ。そういうの…」

みんな口々に感想をいう。

すごい…元々私は神様について好きだったのもあり、人一倍興味が湧いた

夜桜様にはどうやったら会えるのかな。夜桜様に会うと本当に寿命が長くなるのかな…

なんて様々なことを考えていると一時間目の終わりのチャイムが鳴った

「ねえ渚!!神様とか神社とかあったんだね!」

10分休みに瑠夏と私は夜桜様について話した

「まあ神様はいるかはわからないけどね。」

夢を壊すような言い方をしてしまったかな…

「渚が1番好きなんだから渚が確かめなきゃ!」

「た、確かめる…?」

「私たちには【確かめれる機会】があるじゃん!」

瑠夏がバシッと指をさした先には【夏休みまであと一週間!】という張り紙だった

私は瑠夏の言いたいことがわかった。自由研究だ。

「瑠夏、もしかして自由研究の内容それにするの?」

「私だけじゃないんだから!渚。自由研究は共同作業オッケーなんだからね?
 2人で神様がいること。証明しよ!」

興奮気味に語る瑠夏の目には炎が燃えていた

誰に瑠夏の心に火を燃やしたのか…あ私か。

「しょうがない。付き合うよ」

ちょっと大人ぶる私だがほんとは少しワクワクしてた










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