ダーク・ファンタジー小説

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欠陥少女と花探しの旅
日時: 2021/12/17 11:58
名前:    (ID: KDl0fyQj)

≪Side A≫
――実験結果ノ報告。
#0001改めフィールには感情や感覚器官に異常があることを確認。
一部の記憶も失われていますがトラウマ関連の記憶かと思われます。
その他の能力は人間離れしていると言っても過言ではないほど高いです。
 【体力SS 力SS 身体能力SS 技術力SS 感情・感覚器官×】
感覚系の神経が戻る可能性は0に近いですが、感情や記憶を与えるのなら
多大な効果と種類の"想花そうか"を集める必要があります。

彼は報告書にざっと目を通していく。
「コノヨウナ結果デシタガドウシマスカ?
 私達ハ善人デハナク研究者デス、判断ハ主ニ任セマスガ……。」
「決まっているだろう?
 彼女が望むなら彼女に集めさせる、私は冒険が嫌いなんだ。
 #0001をここへ呼んできてくれるかい?」
「承知致シマシタ。」


≪Side F≫
謎の機械に連れていかれ、謎の実験をさせられ、謎の部屋に入れられ……
やることが無くなった私はただ無機質な壁を眺め続けていた。
「失礼シマス#0001、私ニ付イテキテクダサイ。」
ここでの私の名前は#0001なのだろうか。
案内役のようなロボットに言われるがまま付いていく。
しばらく歩いていると狭い個室に着いたのでドアを開けると……
性別が分かりにくい一人の長髪を括った人間が座っていた。

「私が君を見るのは二度目だけど、君は初めましてだよね。
 はじめましてフィール、私はアルメリアだ。」
「……どうして私はここにいるの。」
「その答えはまだ言えない、けど君が"じぶん探し"の旅に出て
 全ての想花じぶんを集めることが出来たなら
 私から話さなくても……きっと思い出せるだろう。」

彼は何を言っているのだろうか。
花を探して、全ての花を集めたら思い出せる?
考えていてもどうにもならない、引き受けたら良いのだろう。
「花を探したら良いんですね、引き受けます。」
「引き受ける……というか、君は全てを思い出したい?」
「分からないです、けど思い出せるならそうしたいかもしれません。」


≪Side A≫
案外彼女の決断は早かったようだ、感情がないからだろうか。
度重なる実験で偶然できた便利な道具などを彼女に預ける。
あの言葉から出発までにそう時間はかからなかった。

「想花の反応が見つかったら私がそちらへ連絡します。
 想花を摘むときは必ず手袋を着けてください。
 あと、貴女が何処にいるか何をしているかはこちらに筒抜けなので気を付けてくださいね。」
「とりあえず理解しました、行ってきます。」
「えぇ、(外は危険ですが)貴女なら大丈夫です。
 (死んでしまわないように)気を付けて行ってくださいね。」




フィールは感情や感覚がなく、人の表情を読み取るのも困難だった。
アルメリアはそれを利用してフィールを冒険に行かせたのだ。
想花を扱った調薬が得意だが、わざわざ危険な場所に行くほど勇敢ではなかった。
そんな彼は「自分の病を治したければ自分で材料を集めてこい」という
条件で調薬師の仕事をやっていたのだ。

材料さえ全部集めれば本当に効果のある薬は作るが
材料を集める道中で死んでくれれば仕事が少なくなる、
これがアルメリアの本音ではあったのだが。
だが実は彼は彼女のことを誰よりも信頼していて、心配をしていた。



――これは欠陥がある少女がじぶんを探すために
     危険な冒険を繰り広げる不思議な物語となる……。

欠陥少女と花探しの旅[2] ( No.1 )
日時: 2021/12/21 09:42
名前:    (ID: KDl0fyQj)

≪Side F≫
暗くて広い研究施設から私は解放された。
アルメリアという人に"外へ出たらこの宝石を砕け"と言われている。
海のように透き通る青色の宝石を日の光に翳してみると、
宝石の中に小さくて黒い何かが入っていることに気が付いた。
「どうやって砕いたらいいんだろう。」
『簡単だよ、地面に投げればいいだけ。』
何処からかアルメリアの声が鮮明に聞こえてくる。
フィールは宝石を勢い良く地面に叩きつけた。
『叩きつけなくても割れるんだけどなぁ……。』

「いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

フィールが宝石を叩きつけると煙が出てきて、謎の声が聞こえた。
辺りを覆う白い煙が晴れる頃に、ようやく声の主が判明する。
「……魔物。」
「確かに魔物だが分類が別だ。
 我を解放したのはお前だろう、今日から我がお前の使い魔だ。」
「偉そうな魔物。」
「魔物ではない、使い魔だ!!!」


≪Side A≫
フィールとその使い魔"ラティス"の様子を観察する。
やはりラティスはフィールには扱いにくかっただろうか。
小さな体に秘める膨大な魔力や使い魔としての能力は素晴らしいのだが。

「珍シイデスネ、貴方ガ研究対象ニ興味ヲ持ツナンテ。」
「彼女が特別なだけだ、可哀想だが思い出してもらわないと私が困る。
 それに私は彼女がいなければ、この施設で過ごすこともなかったからな。」
「ソレハ#0001ヘノ感謝デスカ?」
「そうだな、考えを改めさせてくれた恩人フィールへの感謝だ。」


≪Side F≫
「お前の使い魔になるんだ、我に名前ぐらい教えんか。」
「先に貴方が名乗るべき。」
「確かに理に適っておるな、良かろう我はラティスだ。」
「私はフィール、貴方のことはラティって呼ぶ。」
「好きにするがよい。」

どうやら使い魔と主の契約条件が"互いの名前を知ること"と
"主従関係を双方が認めること"らしい。
使い魔側が逃げたければ使い魔にならずに逃げれるらしい。
ラティはこう見えてとても優しい魔物だったのだろう。
私は新しく出来た使い魔"ラティス"を連れて冒険を始めることになる……。


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