ダーク・ファンタジー小説

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銀色の君は、
日時: 2022/01/31 10:08
名前: 名前は未だ無い。 (ID: Ch4ng4i/)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13201

-序章-
時は24世紀。
私は、荒れたこの世の中で過ごしている。
梨瞳りま、体調は大丈夫?」

そう聞いてくれたのは、銀色の君だった。

-自己紹介-
こんにちは、名前は未だ無い。です!
初めてここで小説を執筆するのでミスが何かと多いですが、読んで頂ければ幸いです!
感想を頂けるとなお良いです!

※小説を読まれる前に※
・恋愛の小説ですが、最初の方は恋愛要素ほぼありません。
・更新は不定期です。
・先に言っておきます。ハッピーエンドではありません。

《episode-銀色の君は、》
chapter1 >>01 main character:克田 梨瞳,小萩 桃羽,梅越 深華
chapter2 >>02 main character:克田 梨瞳,小萩 桃羽,梅越 深華
chapter3 >>03 main character:克田 梨瞳,升銀 ルア
chapter4 >>04 main character:克田 梨瞳,升銀 ルア,早洲 聖乃

《登場人物紹介》※登場順
克田かつた 梨瞳りま
主人公。看護師として白鐘大学附属病院に勤務しており、精神科と急患受付をしている。

小萩こはぎ 桃羽とわ
梨瞳の同期。大学の頃から優秀で、将来を期待される小児科医。

梅越うめこし 深華ふみか
梨瞳の先輩で、精神科医。女性に評判が良い。

升銀ますき ルア
社会から問題視されている銀色集団シルバーチーム(詳しくは>>02)の一員であるロボット。

早洲さきしま 聖乃せの
梨瞳の先輩で、精神科医。梅越と付き合っている。

《お知らせ・報告等》
1/29 閲覧数100突破!3話しか公開していないのに早すぎる…ありがとうございます!

Re: 銀色の君は、 ( No.1 )
日時: 2022/01/28 20:13
名前: 名前は未だ無い。 (ID: Ch4ng4i/)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「梨瞳さん、おはようございます。今日の体温と心拍数は正常です。今朝はピザトーストとバナナスムージーを摂るようにしてください」
「分かった」
私は朝起きて、O:Rangeといつものように会話を交わす。
O:Rangeは朝、昼、夜の一日3回健康についてのアトバイスをくれるマシン(機械)だ。
どの家庭にも普及されており、昔は1万円を超えるのが当然だったという事が信じられない。現在は500円くらいで購入できる商品だ。
「いただきまぁす」
パクッ、とピザトーストをかじっていく。
ホームベーカリーで作られたピザトーストは、随分昔から好まれている朝ごはんの定番だ。
最近では食物繊維が豊富なバナナスムージーもトレンドで、多くの人が愛用しているらしい。
そんな朝ごはんは、一瞬にして体に吸収された。
「ごちそうさまでした」
ヘアスタイルをセットし洋服交換室で着替えをすると、荷物をスクーターに任してスクーターに乗車した。
「仕事場までお願い」
「分かりました」
スクーターに話しかけると、スクーターは地面から浮き羽ばたいて行く。
これで毎日14kmほど離れた仕事場へ向かうのだ。
「着きました」
「ありがと」
荷物をスクーターから受け取ると、目の前にある仕事場の入口に入る。
そこの名は、「白鐘しらかね大学附属病院」と言った。
「おはよう、梨瞳」
「ああ、おはよ桃羽とわ。今日はさ、急患の受付だからお昼一緒出来ないかも」
「あー、分かった。全然大丈夫よ」
簡単に言うと、私はこの病院で看護師をしている。主に精神科を担当しているのだが、たまに急患の受付もやったりするのだ。
そして同期の桃羽は、小児科の担当をしている。
彼女は私と違い大学の頃から優秀で、将来を期待されている優れた人材だ。

ー私とは違って。

「おはようございます」
「あ、克田かつたさんもうすぐ急患来るから早く準備して」
「分かりました!」
急患に常駐されている方に無茶振りをされて動揺する。

私は知っている、急患受付は大変だってことを。

「お疲れ様でぇす…」
急患受付が一段落して、精神科に向かう。
もう私はクタクタだった。未だ3時なのに。
「あら克田ちゃんお疲れー。急患大変だったでしょ?」
「ホント、忙しすぎました…」
「弁当食べな?」
「そうですね…頂きます…」
私の事を克田ちゃんと呼んでくれるのは同じ精神科の梅越うめこし深華ふみか先生。
精神科にいる女性は私と梅越先生だけだから、梅越先生は女性からの評判が凄く良い。
私もあんな風になれたらいいのに、そう考えているとキーが鳴った。
「梨瞳、今精神科行っていい?」
「いいよ…?」
キー…いわゆる連絡装置…から桃羽の焦るような声が聞こえ、何かあったと予測。
「梨瞳ちゃん、どうしたの?」
「いや…同期がここに来たいって…」
「そうなの?じゃあ急ご」
「はい、!」

「失礼しまーす…」
フラフラとした足取りで来た桃羽は、顔が真っ白だった。
「どうしたの桃羽!?」
「それが…


銀色集団シルバーチームについてなの」

私と梅越先生は息を飲んだ。


next >>02

Re: 銀色の君は、 ( No.2 )
日時: 2022/01/29 18:30
名前: 名前は未だ無い。 (ID: Ch4ng4i/)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「失礼しまーす…」
フラフラとした足取りで来た桃羽は、顔が真っ白だった。
「どうしたの桃羽!?」
「それが…


銀色集団シルバーチームについてなの」

私と梅越先生は息を飲んだ。

銀色集団シルバーチーム!?」
銀色集団は、最近問題視されている“ロボット”の集団だ。その起源は、昔に遡る。

22世紀末に大量のロボットが生産され、世界の発達が期待されていたのだが、ロボット開発の為に作られた研究品サンプルの廃棄が問題となっていた。
そこで効率的な廃棄をするために、銀色土地シルバーランドという場所を制定し研究品サンプルを埋めていったのだ。
その廃棄法は確実に成功を遂げ、その埋め立て地に住宅街が建っていった。
ただ、銀色土地の面積は世界の陸地の2割にも昇る。
それから銀色土地は更に増加し、世界は益々発達していくようになったのだ。

しかし問題はその“未来”だった。
2年前くらいに、銀色土地2番地の住宅街が全壊した。
それも、不明の原因で。
最初はそこ一帯が揺れたことから地震だと思われていた。
ただ、家が壊れたのは銀色土地のエリアだけ。
その10日後に見つかった、94体の銀色集団は。
銀色集団は、銀色土地から10km離れた地域に身を隠していた。
しかも銀色集団は、言葉を認識し、発する事ができていた。
社会はこれを問題視し、銀色土地の住宅街を次々取り壊していく。
でも、手遅れだった。

銀色集団は、埋められていた間に銀色土地の人々の生活を真似し始めたのだから。

桃羽は、小児科に銀色集団の子供が来たと話している。
銀色集団も子供を人間と同じように産み育てるから、最近は産婦人科に来る銀色集団が増加しているそうだ。
そんな銀色集団に頭を悩ませ精神科に来る人も増えてきた。
「もう…どう対応したらいいのか分からないのよ。銀色集団も人間と同じように生活はするけど、別の生物だからね。それで銀色集団の人が死ぬのも可哀想だし」
はぁ、と桃羽は溜め息をついた。
「そうなんだったら、死なせればいいのに」
カフェオレの入ったマグカップを桃羽に差し出しながら、梅越先生は言った。
「え…?」
「銀色集団はさ、人間にとって邪魔者なんでしょう?だから、放っておいて絶滅させたらいいのにねって話。銀色集団を人間と同じように扱う小萩さんは偉いと思うけどなぁ」
「そう、ですかね…」
同じ出来事を他の観点から見つめてアドバイスするのは梅越先生の尊敬できる所だ。
「まあ政府から具体的な指示が出るまでは保留ね」
「そうですよね…あ、私入院してる子見てくるので行きますね!ありがとうございました!」
「いえいえ。頑張ってね!」
「はい!梨瞳も、頑張れ!」
「うん!」
振った手に、少し重みを感じた。

「次の方、どうぞ」
梅越さんが退勤して精神科を一人でやりくりしていると、私は悟った。
ーこの患者さん、銀色集団だ。

next >>03

Re: 銀色の君は、 ( No.3 )
日時: 2022/01/31 10:08
名前: 名前は未だ無い。 (ID: Ch4ng4i/)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「次の方、どうぞ」
梅越さんが退勤して精神科を一人でやりくりしていると、私は悟った。
ーこの患者さん、銀色集団だ。

一瞬戸惑った。どう対応をすれば良いのだろうか。
「お、おおおお名前を教えてく、ください゛」
「…俺の名前は、升銀ますきルア」
「升銀さん、ですねっ」
ここに来たとき最初に教えてもらったこと。それは、
“どんな人、事、時でも必ず平常心を保っておく。それが出来ないのなら、それは精神科医ではないのだ”
という事だった。
だから私はその約束を守った。平常心を保つ。人間と同じように接する。桃羽が言ってた。

「今回は、どのような理由で?」
「あ、実は…私…」
ルアさんは言葉を詰まらせてうつむいた。
精神科に来る人は、来るだけでも精一杯だから追い詰めるのは良くない。
「その、…」
「ゆっくりで大丈夫ですよ。自分のペースで話して下さいね。」
ルアさんは微動だにしない。
「お水…飲まれますか?」
「銀色集団の1人なんです」
私の質問とは違う答えだったが、充分気持ちは理解できた。
「そうなんですね。ここに来るのも一苦労でしたか?どうぞゆっくりしていってください。」
「あ、ありがとうございます…!」
その人は、人間みたいだった。

「ルアさんの名字その漢字なんですね!いい名前ですね。」
精神科の診療室裏には庭園が広がっていて、患者が医師と話をしながらリラックスをできるスペースがある。
そこで会話を繰り広げていると、段々場が和んできた。
ルアさんはまるで人間で、ロボットと信じられないくらいに人間に近かった。
ルアさんの家族は、いないそうだ。

「ところで、なんですけどね。何で精神科に来られたんですか。無理には聞かないですけど」
「あ…それは、」
ルアさんは和んだ空間の中で、事情を話してくれた。

ルアさんは言っていたように銀色集団で、最近は人間から追い詰められ人目のつかない所に身を潜めていたらしい。
しかし、暫くしてからそこに人間が侵入し、危機を乗り越えなんとか命を保っていたそうだ。
ただ、それだけの生活は苦しく、誰かに助けを求めていたが銀色集団にすがる暇はなく、唯一の頼り相手が人間だったんだとか。
他の精神科に行き、事情を説明しようとしても捕まえかけられたり、殺されかけたりと不安な毎日だった、とルアさんは話す。
そこで最後の頼みとやって来たのがこの精神科。
「だから、ここに来て良かった」
そう、ルアさんは語ってくれた。
その目許めもとには透明な水溜まりができていて、今にも溢れだしそうだった。

いつしか私の心には、ルアさんを放っておけないという気持ちが芽生えていた。

next >>04

Re: 銀色の君は、 ( No.4 )
日時: 2022/01/31 10:03
名前: 名前は未だ無い。 (ID: Ch4ng4i/)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「俺はただ、そんな話を聞いてもらうためにここに来たんです。ありがとうございました、帰りますね」
ルアさんは突如そんな事を言い出してしまった。
「え、ちょっと待ってください」
「…はい?」
「この後どうするんですか。私に話を聴いてもらって、それだけなんですか。あなたは誰かに助けを求めていたのに?」
「え、っとそれは…」
「ここに助けを求めたのにそれであなたを帰らせるなんて、私はできません」
思った事を存分に言って、ルアさんの手を取る。
銀色集団と人間の容姿の違いは首に銀色のパーツがあるかないかだけだから、その手は人間のように暖かい。
「でも、俺はどこに住めばいいんですか」
「え…」
現実を見せつけられ、少し動揺した。
確かに、銀色集団は思うように動けなくなっている。スクーターや施設、道路のあちこちに銀色集団を感知するアラームが取り付けられているからだ。アラームが鳴ると銀色集団はもちろん、近くにいた人間も場合によっては逮捕される。
「なので、俺は居所がありません。なので、では。」
「ここに住みなさいよ」
「えっ…!?」
思わず口から出たそんな言葉。でも、いけるかもしれない。
私はよく休憩に来るし、様子も見れる。
「ね?」
微笑みかけて、庭の見つかりにくい茂みに案内をしていると、早洲さきしま先生がやって来た。
「克田ー?あ、いた。おい、何してるんだよ?」
「隠れて!」と小さな声で言った。
「あ、さ、早洲先生!じ、実はお気に入りのエアーペンを無くしたんですよー…」
エアーペンとは、空気中や紙、地面などどこにでも自由自在にタッチが書けるものだ。
「あー、小萩に貰ったやつか?」
「そうなんです…」
早洲先生に嘘をついてしまった。何だか申し訳ない。
「もう8時だからそろそろ帰れ。探し物があるならいいが。今日は退勤だぞ」
「お疲れ様です。お仕事、頑張って下さい!」
「頑張る事なんてないよ。夜勤だから呼び出し食らわなければ寝るだけだ」
「悲しいんでしょ?梅越先生と一緒に寝れないんですもんね」
「そ、そんな事あるか」
「ありますよ。じゃあ、お疲れ様です」
「おうよ」
早洲先生はドアを閉めた。
「内緒にしてくれて…ありがとう…」
ルアが言った。
「全然。じゃあ、また明日ね」
「あ、その前に…さっきの人、何て人?」
「あの先生は先輩の早洲さきしま聖乃せの先生よ。体は大きい人だけど、すごく優しいから。もう一人の梅越先生の彼氏なの」
「へぇ、いいねぇ…」
「あ、そうだ連絡先とかある?」
「うん、キー持ってる」
「じゃあ連絡先交換しようね…OK。また明日」
「うん」
ルアさんを背後に、少し浮わついていた。


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