ダーク・ファンタジー小説
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- 黒と白の彩りを添えて SEAZON1
- 日時: 2022/02/19 20:47
- 名前: 白男 (ID: nRfTLgd9)
はじめまして、白男です。今回から、気合を入れて書いていこうと思います。
宜しくおねがいします。
さて、物語の舞台ですが、2020年という現代社会です。
つまり、コロナウイルスにおいて初の緊急事態宣言発令がされた年です。
因みに、ファンタジーです。
できれば、イラスト(趣味でしか無いので、上手さは期待しないでくださいね)も随時書いていきたいと思います。
それでは、お楽しみください。
本文目次(随時更新)↓
2/19 20:45 ; 第1話→「怠け者」
; 第2話→「働き者」
イラスト目次(随時更新)↓
[今の所無し]
- Re: 黒と白の彩りを添えて SEAZON1 ( No.1 )
- 日時: 2022/02/19 20:45
- 名前: 白男 (ID: nRfTLgd9)
第一話 「怠け者」
※
ああ、面倒くさい。全てが面倒くさい。
一歩も動きたくない。もう、出前すらも取りたくない。床でもいいから、寝転がっていたい。
もう無理。寝たい。
「いやぁ、今日はいい日っすね」
まぁ、いい日といえばいい日だろう。
柔らかな日差しが優しく部屋を照らしている。開いている窓から、そよ風を感じる。
それらの嵐が、余計に眠気を誘うのだ。
あまりの眠気に、返事をする余裕すらも失われてしまった。
ある種の病なのではないか、と疑ってしまう。
まぁ、人間は日曜日は朝でも昼でも夜でも寝る権利を持っているから大丈夫か。
・・・・・・と信じている。うん。
「ほらほら、いつまでねてるんすか〜っと」
「うぐぁッ!!」
瞬間、布団を剥ぎ取られた。
簀巻きのようにして身体を布団で包んでいたので、布団を剥がれると、必然的に一定距離を転がることになるのだが、コイツ、何も考えないでやりやがった。
ころころと転がり、その末に近くのソファに頭を強打。というより激突した。
こんな強い衝撃は、寝起きの頭には響きやすい。危うく死にかけた。
「あ、ごめんごめん。大丈夫っすか〜?」
さらに、コイツ、大したことだと思ってないぞ。───殺意が湧く。
「痛えな!俺が寝不足なのは知ってるだろ・・・・・・」
「いや、朝っぱらから怠け者の友達の世話を焼いてる俺の気持ちにもなってくださいよ〜。
朝、LINEで『ヤバい!!助けてくれ!!』ってLINEが届いて、何があったか聞こうとしても返信ど
ころか既読すらなかったんで急いで家に来てみたら、堂々とリビングのど真ん中でねてるんすも
ん。結局、何があったんですか?」
「なかなか、起きれんくてあせった」
「そんなことで車で1時間かけてここまで来たのか、俺・・・・・・」
「感謝だわ〜マジ」
「心の内から殺意が・・・・・・」
『殺意が・・・・・・」とは言っているものの、こいつはかなり面倒見がいい。
というか、よくキレないな。流石、現役東大生。午前12時に起こされてキレそうになるどこかの怠け者とは世界が違う。
※
2020年8月のとある日曜日。まさか、こんなことになろうとは思わなかった。
「あ〜家で寝ていたかった・・・・・・」
「『働かざる者食うべからず』っすよ。冷蔵庫には何もまともなものは入ってなかったし、俺も久々
に外出したかったんで、ちょうどいいっす」
EATスーパー。全国で最大量の食材を取り扱うと言われる大型スーパーだ。
まさか、折角の休日に普段行かないところに行かされるとは。
大げさだと思われるだろうが、自分のような運動部が活躍するような系統の大学に通っている学生は一般の予想を超えて身体的に大変なのだ。
それなのに、部活動のない折角の休日に寝不足の身体を酷使されるとは。
まぁ、彼を呼んだのは自分なのだが。
兎に角、早く帰って二度寝したい。
「おい、買うならさっさと買って帰るぞ」
「いや、俺を呼びつけたのは先輩なんすけど」
会話もそこそこに、なんとなく周りの色とりどりの商品を眺める。
すると、一つの商品に目を思わず奪われた。
「なぁ、これ・・・・・・」
「ん?なんすか?」
手に取ったのは、虹色のパッケージの商品。
商品名は、
「『レインボー・フラワー』?『これであなたも寝不足知らず!!』?」
どうやら、安眠用の商品のようだ。紅茶パックのような形状で、安眠に良い香りがするらしい。
この頃、疲れも溜まっているし、ちょうどいい気がした。
「使い捨てなのか。じゃあ、試しに5つ買っておくか。お前も要るか?」
「う〜ん、先輩の奢りなら、よろこんでもらいますよ」
コイツと合わせて10パックも購入することにした。
キャッチコピーは明らかに安っぽいが、この頃買い物にも行かず金が溜まっていたので問題ない。
ただし、不良品だったら工場に乗り込む。
派手な虹色のパッケージを強く握りしめた。
※
「ふぅ〜。やっと終わったっすね。っていうか、何ボーッとしてるんすか?」
「いや、別に何もないけど」
「あ、さっきの安眠グッズが気になってるんすか?先輩、子供みたいっすよ」
「うっせぇよ。買い物終わったし、ちゃっちゃと帰るぞ」
「はーい」
※
「じゃ、また来ますね〜。っていうか、こんな下らないことでもう呼ばないでくださいよ!?」
「はいはい、さっさと帰れ」
勢いよく玄関の扉を閉める。
──────何故だろう。
『あの商品』のことが気になって仕方が無い。
なんとも落ち着かない。
早速、袋から5つのパックを取り出し、その一つを開封した。
見た目はもはやティーバックそのものだ。
「ええと・・・・・・『枕の下に置いて使用してください』か」
枕の下に置き、セッティングを完了する。
「確かにいい香りだ。ん、なんか眠くなってきたな」
異常な程の眠気が体全身を襲う。まだ風呂も入っていない。ここで寝てしまっては──────。
次の瞬間、彼の意識は失われてしまった。
そして、もうひとり、時を同じくして眠りに着いた者が居た。
今、彼らの物語が、始まる。
※
第一話; 怠け者 END
次話; 働き者
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