ダーク・ファンタジー小説

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春が眠る 死んだように〈前半〉
日時: 2022/03/19 13:03
名前: ゆあん (ID: ANX68i3k)

僕は人と話すのが苦手だ。
それでも学校には行く。今日から2年生とてなにもない。桜はおちてもきれいだ。
僕には外が少し眩しすぎるんだ。
 
私は呼春。中2です。
「こは、おはよー」
「あっ、響だ。おはよ」
小3の時からの友達の響だ。
響は私の横を通り“あいつ”のところに行く
「春夜どんな感じ?」
「んー。まあまあだよ。」
「そっか。それなら良かった。そういえばさ...」
「なになに...」
春夜は響の親友だ。
あいつはいつもノートになにか書いていて、響以外と話すことは殆ど無い。二人は本当に仲がいい。
響の親友のあいつを、私は、好きになれない。

僕が教室に忘れ物を取りに来たのは、ただの偶然だ。夕日の差し込む教室には誰もいない。...はずなのだが、
あいつが制服の上着をかけて寝ていた。
起きられて、目でもあったら気まずい。
そう、寝ている間に忘れ物を取って教室から出てしまおう。
焦ってしまった。ぶつかったロッカーがすごい音をたてた。
それはあいつの耳にも届く。起き上がったあいつは荷物を持ち急いで教室を出た。
...このノートはあいつのか?
『ぼくは小説家になる!』
それは春夜の夢だった。
『なれたらだけど!!』
それは書かなくていいって!
そのノートには小説のシナリオが書いてあった。
(これをずっと書いていたのか...)
自分の死が近いと知った主人公の少年が、旅に出て生きる意味を見つけたという話だ。
(すごい...)
僕と同学年のしかも、あいつ――じゃない、春夜が考えたんだ。しっかりとした夢も持って、それを実現しようとしてるんだ。
僕はそんなもの待っていない。
抑えきれないこの感情は何だ? 劣等感、悔しさ...何? 一人の時間。僕は、満たされないんだろう。

春夜の席の隣に来た。
「これは、君のノート?」
「あ、はい。そうです。」
それはたしかに春夜のものだ。
春夜にノートを渡した。そして席に戻ろうとしたとき、
「あのっ!このノートの中を見たりしましたか?!」
「ん? わたしは見ていないわよ。」
「そ、そうですかぁ...」
私は、君に悪いことをしたよ、でも嘘はついていない。
後ろに春夜と隣に響が見えた。
「こはるちゃん、こっち来て来て!」
「今、行く」

「なんだ?春夜嬉しそうだな。」
「えっ」
さっきまで春夜と呼春が話していた。2人が話しているのは見たことがなかったから驚いた。
「そ、そんなに嬉しそうに見えるー?!」
「うん、とても。」
見たことないくらい嬉しそうだよ。今の春夜は。

(わー!あるある!)
それは僕が春夜に提案した場所。
図書室の語学の棚1段目、右から4つ目の本。
その間にそれは挟まっていた。あのときに拾った春夜ノートだ。
『君の小説をもっと読ませてくれないか』
そう書いた紙を挟んでいたのだ。受け入れてくれるかはあまり期待していなかった。僕が目を見開くと、。その歯車が動き出した。
『あなたの意見を聞かせてくれませんか?』


歯車は動きだした。少しづつ、だが確実に終演に向けて
        

僕は図書室に行くのが楽しみになっていた。
もちろん勉強するような優等生になったわけでは無い。
(あった!)
いつもどおりノートを抜き取った。
それを見ている者がいるとは知る由もない。
     
僕は家の階段を駆け自分の部屋に入った。
「五月蠅。静かにしてよ。」
すまん。妹よ。僕は早くノートを読みたいんだ。
「まったくもー。おね...」
彼の小説に没頭して、妹の声は届かなくなった。
  
 余命を知ってしまった主人公の――――夜。
 最後に世界を見てみようと思った。旅にでた。
 そこで、少年、糸音と出会う。
 彼は夜に1つの小説「命の証明」を教えた。   
 余命を知った探偵。
 命とは何なのか、を探し歩くという話。            
 夜は読み進めて行った。
 寝たきりになっていたとき
 「最後どうなるの?」夜は聞いた。
 「死んでしまうよ」糸音は応える。
 小説の探偵がとも、夜がとも言わなかった。   
 「そうか」自分が死ぬ一番最後、命の素晴ら  
 しさを知った。   

(すごい。)
本当にそう思う。僕は感想を書いた
『すごいと思う!でも、、、僕が言えることでじゃないけど、みんなにはハッピーエンドを迎えてほしいです!』
感想を書いた紙を挟んだ。

それから何日たっても連絡は無い

やっぱり余計なお世話だったかな。
そして心配なのは、春夜がちょくちょく学校を休んでいることだ。体調が悪くて連絡できないなら、しょうがないよな。でも、2週間だぞ! 
...流石に落ち込むよ。

今日は春夜が学校に来た。
もしかしたら、ノートがあるかもという期待を胸に放課後の図書室に行った。 そこには何もなかった。否、たくさんの本だけはたくさんあった。僕のほしいものは無い。
「探しものはこれかな?」
その声は響だった。その手には私の探し求める物が確かにあった。ここは誰でも利用できる図書室だ。きっと、このノートは図書室のものだと思ったんだろう。誰かが間違えて持っていった、という可能性を忘れていた。
「そう! 響ありがとー」
受け取ろう取ろうとしたが、響は、私からノートを遠ざけるようにして、
「ついてきて」
そう言って図書室を出てしまった。
(僕、いや私?)は追いかける。

体育館裏に呼び出される(呼び出しではないかも?)ことになるとは。

「春夜と交換ノートやってるの?」
「まあ、そうだけど。だからそのノート返してくれない? 響」
「ごめん、俺がね、意図的に盗ったんだよ。」
(えっ?...)
「だからね、返すことはできないの。」
いうことを聞かない子供に言い聞かせるように響は言う。
「春夜が休みがちなの知ってるよな。そして授業中も寝ていたりするよな」
たしかにそうだけど、、、
「春夜は死ぬんだよ。」
世間話をするかのように響は軽く言った。

家に帰ってもう一度まとめてみた。
①春夜は難病
②それは眠ってしまう時間が日に日に長くなるというものだ。
③あまり大変そうには見えないが、寝るじかんが24時間以上になったとき文字通り永遠の眠りとなってしまう
④これから活動できる時間は少なくなる
⑤だから夢を見せないでほしい 
 交換ノートも、もう書かないでほしい

ノートは返してもらった僕の選択は...

「どうしたの春夜?前まですごく嬉しそうだったのに、今は死にそうだよ?」
「あーなんでもないよ。」
(こは、言ったとおりにしてくれたようだね。)
「なあ、気はらしに夏祭りに行こう。」
「...そーだね。今年が最後になるかもしれないしね」


「ねえ、お姉ちゃん。夏祭り行こう!」
《明日だったよな? 行こう》
ノートに書いた文字を見せた。


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