ダーク・ファンタジー小説
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- 無色透明ダンシング
- 日時: 2022/06/10 20:27
- 名前: みーいん (ID: xWBX68QI)
色が認識できなかったら
- Re: 無色透明ダンシング ( No.1 )
- 日時: 2022/06/11 14:30
- 名前: みーいん (ID: xWBX68QI)
期待を胸に始まった高校生活は、とてもじゃ言い切れないほど味気なかった。
いつも同じ時間に起き、登校。難しくもない授業を受け、部活もやらずに帰る。
寮に帰ったらひたすら課題と向き合う。
特に友達も作らず、趣味もないに等しい。
高校入学してから2年間、ただただ生きてるだけだった。
「はぁ・・・。榛村。お前ふざけてるのか…?」
生徒指導の教師がため息交じりに俺に問いかけた。
よっぽどあきれてるのかもはや笑ってしまってる。
「なんで学年上位のお前が大学に進学しないんだ・・・。」
教師は進路希望調査表を見ながら眉間にしわを寄せている。
ーいやこっちのせりふだよ・・・。なんで大学進学が当たり前なんだよ!
「とりあえずこのパンフレットみとけ。じゃぁな。」
教師は名門大学のパンフレットを俺に押しつけて、指導室から出ていった。
俺は教師が遠のいたのを確認して、静かに指導室から出ていった。
次の日、学校に行ったら、何やら中庭が騒がしかった。
「うわっ。キショ。」
「放っておいたら~?」
「キンモ・・・。」
中庭から聞こえる声は気味悪がるものばかりだった。
俺が中庭についたころには、人も疎らになり、気味悪がられていたものがあらわになっていた。
どうやら何かの鳥のひなで、けがをしているのか、血塗れになっている。
「きっも…。」
俺もついつい口に出してしまった。
しばらくすると、視界の中に女性の細い手が入ってきた。
何の躊躇もなく、ひなを手に取り、血をぬぐってあげるその姿は、俺にはとても奇妙に見えた。
「君はこの子を助けないの?」
女は唐突に聞いてきた。
「そりゃ、きもいし・・・。」
俺は正直に答えた。
「君さ、5組の榛村千晶だよねー。学年上位の。ま、僕とはクラス違うけどね。」
女は俺を知っているようだ。
「なんで助けるんだ。それ。」
俺はスルーして女に問いかけた。
「だって、別に気持ち悪いわけでもないし、かわいそうでしょ?」
女は信じられない発言をした。
「いや、色的にきもいだろ・・・。」
「私、この色見えないもん。」
「は?」
女はさらに衝撃的な発言をした。
「無色病って知ってる?だんだん見える色が減る病気。僕はそれだから既に血の色が認識できないの。」
「僕の名前は七瀬臨。じゃ、バイバーイ。」
女こと七瀬臨は意味不明な発言を残して、中庭から去っていった。
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