ダーク・ファンタジー小説
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- 衝動〜Lost Destiny〜
- 日時: 2022/08/13 01:59
- 名前: しいら! (ID: Yp4ltYEW)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13106
【あらすじ】
2024年、私立泥場法明高校に入学した佐倉智晴は、同じクラスの戸塚穂波と共に、学校内に侵入した謎の獣に遭遇する。そこで智晴と穂波は獣に襲われそうになるも、間一髪で同じ泥場法明高校の3年、喜多川透真に助けられる。そこで智晴が放った衝動により、喜多川は何かを察し、智晴と一部始終を見ていた穂波を攫っていく。ここから、彼らの狩人としての人生が始まり、同時に彼の失われた運命が蘇っていく。
1話 >>1
【作者より】
お久しぶりです。以前ここで「渇望の死察」と言う小説を書かせていただいていたしいら!です。遅くなりましたが、最新話を…と、言いたいのですが、大変申し訳ありません。以前まで書いていたデータが全て消えてしまいました。なので、ここでは新作を書かせていただこうと思います。ただ、これで「渇望の死察」が完全に終わったという訳ではなく、またどこかで続きを書きたいと思っています。長くなりました、それでは、お楽しみください。
- 1 ( No.1 )
- 日時: 2022/08/13 02:00
- 名前: しいら! (ID: Yp4ltYEW)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13106
#1 失われた運命
———運命とは、既に決まっているものなのだろうか。
逆らうことのできない、曲がることのできない一本だけの道なのだろうか。
それとも、何かがきっかけで、突然変異するものなのだろうか。
例えば、何か……衝動に駆られるとか。
「……………!」
……僕にはまだよく分かっていない。
「………….君!」
……これから、ゆっくりと分かっていくのだろう。
「……佐倉君!」
「うわっ!?」
「はあ、やっと気づいた……もう7回も呼んでたんだよ?」
女は、呆れながらそう言った。
「ご、ごめん……えっと、何の用?」
「同じ3組の、佐倉智晴君だよね?私、戸塚。戸塚穂波。よろしくね」
戸塚は微笑みながらそう言った。
「え……あ、ああ、こちらこそ、よろしく……」
佐倉は戸惑いつつも何とか返事をすると、戸塚がまたもや呆れながら、
「んもう、つれないわね……もうちょっとこう、ゆるーく出来ない?」
「すいません、僕、あまり人と馴れ馴れしくするの苦手で……」
「その敬語もいらない!同級生だよ?」
困惑しながら、どう返そうか佐倉が迷っていると、まるで今までの話がなかったように、戸塚が突然話し出した。
「そんなことよりさ、いい学校だよね〜!私立泥場法明高等学校!ほんと受験苦労した甲斐があったわ〜!」
何やら話が長くなりそうだと思った矢先、校内放送が入った。
「まもなく、入学式を開式します。新一年生は体育館に集まってください」
「あ、そろそろ行かなきゃ……」
「一緒に行こうよ。いろいろ聞きたいこともあるし」
若干面倒臭そうに受け入れ、一緒に体育館に向かおうとした時、
ガサッ
「……え?」
「ん?どうしたの?」
「いや、今何かいた気がしたんですけど……」
何か音が鳴った。
「気のせいじゃない?早く行こうよ」
急かすように戸塚が腕を引っ張ろうとするも、
「……やっぱり、気になる。ちょっと、見てきます」
腕を掴む前に、佐倉は颯爽と行ってしまった。
「え?ちょ、ちょっと!もう、私も行くから待って!」
—————————————————————
「はぁ……はぁ……佐倉君、速いって……いや、私が運動神経悪いだけかな……佐倉君?」
そこには、呆然と立ち尽くす佐倉と、
ポタッ ポタッ
「ウグウウ……ギチャアアア……」
「あ……あ……」
「え……?なに、あれ……」
よだれを垂らす、黒い毛に染まった獣がいた。
「うあああああああああ!!!!」
「グギュギアアアアアアアアアアアアア!!!」
「え……」
「戸塚さん、逃げ……!」
ドスッ
「ぐあっ……」
佐倉が必死に叫ぼうとするも、獣に体当たりをされ突き飛ばされてしまった。
「あ……あ……」
「と、づか……さん、にげ……て……」
「駄目……足が……動かないっ……!」
獣は刻一刻と戸塚に近づいていった。
(クソッ……このままじゃ……戸塚さんが……!)
(……だめ……だ……もう……)
スパッ
「グギァ?」
もう駄目だと諦めかけていたその時、
パリン……
近くにあった壺が、静かに音を立てて割れた。
そこには、粉々になった壺と、一本の矢があった。
「全く……とんだ始業式……いや、入学式になったな」
そこには、弓を構えた、1人の青年が立っていた。
2話→
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