ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- マリオネット
- 日時: 2022/12/24 11:47
- 名前: @いなりちゃん (ID: 8kWkLzD1)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13290
これは孤児院で暮らす少女の物語。
街の闇。
少女の秘密。
全てが、解き明かされていくーー
****
低浮上な作者ですが、首を長くしてお待ちください。
語彙力無な所は申し訳ないですが、
最後まで、よろしくお願いします。
****
【目次】/table of contents
第1話 >>01
第2話 >>02
第3話 >>03
第4話 >>04
第5話 >>05
第6話 >>06
第7話 >>07
第8話 >>08
第9話 >>09
- Re:マリオネット ( No.1 )
- 日時: 2022/11/19 10:25
- 名前: @いなりちゃん (ID: 8kWkLzD1)
第1話『目覚め』
朝。
ピヨピヨと小鳥のさえずりが聞こえる。木や草、川などの大自然に囲まれながら目を覚ます。
「おはようと」呟いても返事はない。
聞こえるのはやっぱり小鳥の声と木の葉が揺れる音だけ。
静かな部屋の窓から景色を眺めて考える。
ここから見える大自然のその先にあるのは、どんなところなんだろう。
もし町があるなら。町にはどんな人が居て、そんなものがあるんだろう。
もし、森が続いているなら。どこまで森が続いているのかな。
外に出てみたいなあ…
なんて想像しながら着替えていると、リリリン、リリリンとベルの音がして
「朝食の時間でーす。」と大きな声がした。
慌てて部屋から飛び出すと、廊下にはもう列ができていた。
急いで列の最後尾に並ぶと後ろからふわあとあくびがした。
「おはよお〜。リリコ、…みんな起きるの早いねえ。私、まだ寝てたいのになあ。」
「おはよう。リン。私だって、まだちょっと眠いよ…」
私はリンと同じようにふわあとあくびをした。
「しっかり並んで。はい、進んで、ほら〜朝食だよ〜。」
と係の人は手に持ったベルをリリリンとまた鳴らし始める。
この廊下に並んでいるのは、みんな、それぞれ事情があって両親と離れてしまった子供達。
私もその1人。4歳の時にこの施設に来たらしいけど、まだ幼かったからか、親の顔さえ忘れちゃった。
でも捨てられた時の記憶なんて覚えていない方が幸せだよね…。
それより私は施設の外が気になってしょうがないんだよなあ。
「ちょっと。そこ、トレーを持って。列が詰まっていますよー。」
はっ!列に並んでいたことを忘れてた!!
慌ててトレーを持つと、後ろからリンの声がした。
「リリコー。寝ぼけてるの?あっはは!」
えへへへ…。
【つづく】
- Re: マリオネット ( No.2 )
- 日時: 2022/11/19 10:26
- 名前: @いなりちゃん (ID: 8kWkLzD1)
第2話『朝食』
焼きたてのロールパンとみかん1つ。
そしてコップ一杯のミルク。
これが今日の朝食。
「リリコ〜。今日は何する〜?私はねえ、モグモグ
これ食べ終わったら〜モグモグ部屋で二度寝するつもり…モグモグ…なんだけど」
「…食べ終わってから喋ったら?」
「…モグモグ…そうする。」
うーん。今日は何しようかな。
この施設には図書室や園芸部屋などがあって、
自由時間に本を読んだり、お花を鑑賞したりできる。
施設で暮らすみんなと話すのも楽しい。
自由時間以外は服の洗濯や
食器洗いとかをしないといけないけれど、
充実した生活を送れている。
私って幸せ者だなあ…。
「リリコー。ねえ聞いてる??またボーっとしてる。大丈夫?」
「っ!!ああ、ごめんごめん…。考え事してただけ…。」
「フウン…?あ、それで私、もう食べ終わったから二度寝してくるねー!!」
「あっ…うん。」
行っちゃった…。
リンってば、どんだけ眠いんだろう。
っていうか、リン、食べ終わるの早っ!!
あっ。
そろそろ食べないと!!
【つづく】
- Re: マリオネット ( No.3 )
- 日時: 2022/11/19 10:26
- 名前: @いなりちゃん (ID: 8kWkLzD1)
第3話『質問』
グースーピー…グースーピー…グースー……
はあ。リンってばいびき、かきすぎ…。
うるさすぎて本が読めない!!
気持ちよさそうに寝てる…。
起こすのはかわいそうな気がするし、
図書室にでも行って端っこで読んでこようかなあ。
そう思って私が椅子から立ち上がると、
コン、コン、とドアをノックする音が聞こえた。
「?…誰だろ。」
気になってドアを開けると、
背の高くて綺麗な女性が立っていた。
「あ!マーマード、さん!?」
その綺麗な女性はマーマードさんと言って、
私が小さい頃、お世話になった人だった。
今、私が読んでいたこの本も、この施設に来た頃、
マーマードさんにもらったものだ。
私が施設に来た時、初めての場所に連れてこられて、
泣き出す私をマーマードさんは優しく撫でてくれた。
夕食に出てきたトマトが嫌いでわめいた時は、
「食べられないものは誰だってあるのよね。私はクルミが苦手なのよ〜。」
と笑いながら食べてくれた。
懐かしいなあ。
「ふふ。リリコ、よね。覚えているわ。久しぶり。」
覚えてくれていたんだ!!
「マーマードさん!お、お久しぶりですっ!」
「緊張しているの?可愛いわねえ。…ああ、それでね。リリコに聞きたい事があって…」
【つづく】
- Re: マリオネット ( No.4 )
- 日時: 2022/11/19 10:26
- 名前: @いなりちゃん (ID: 8kWkLzD1)
第4話『お願い』
マーマードさんが私に、質問?なんだろう…。
「質問なんだけど…次の誕生日、何が欲しい?」
「!!」
た、誕生日!!
「あれ?忘れてたの?やだあ。しっかりしてよね、もうすぐで13歳になるんだから。」
そうだ。
私、今月誕生日だった…。
大事な事を忘れていた。
この孤児院では、誕生日に1つお願いを叶えてくれる。
去年は…「孤児院の近くの町の写真が欲しい」って頼んだっけ。
「それで?今年のお願いは何かしら?」
「…うーんと、、」
どうしようかな…。
お願いって言っても特に…。
「外に出たいんじゃないの??」
「!!」
びっくりして振り向くと、さっきまで快眠していたリンが、
ベットから降りてきた。
「リリコ、外に出たがってたじゃん。」
「えっでも…。」
そりゃ、外に出たいっていうのはずっと思ってた事だけど…。
いくら誕生日でも、さすがに“外に出る”のは…無理じゃない??
「ねえ、マーマードさん。リリコ、ずっと外出たがってたし…いいよね!?」
「リ、リン…。さすがにそれは…。」
私がずっと思ってた願い。
“外に出てみたい!!!”
自然や街の中に出てみたい。
そして、自分が生まれた故郷にも、いつか—。
「…いいわよ。」
「「!?」」
うそっ!いいの?
「マーマードさん。ほ、本当にいいんですか!?」
「OK!可愛いリリコのお願いなら叶えてあげるわ!!」
「やったね!!リリコ。」
「…ありがとうございます。」
こんなに嬉しい気持ちになったのは、初めて。
ついに、願いが叶うんだ—!!
【つづく】
Page:1 2