ダーク・ファンタジー小説
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- 君を幸せにするために
- 日時: 2022/09/16 22:24
- 名前: 小説大好きマン (ID: 4WhFQvwe)
- 参照: kakiko.cc
春香「天使…が、倒れてる。コスプレ…?」
次の日…
ミカエル「ん…。」パチッ
春香「目が覚めた?ここは私が勤めてる病院だよ。」
ミカエル「病院…」
春香「さっき確認したんだけど…その羽、本物だよね。」
ミカエル「あぁ、これ。驚いたな。心が清らかで欲のない信仰心の厚い人にしか見えないはずなのに。」
春香「そうなんだ。それなら、私は幸せ者だね。」
ミカエル「えっ?」
春香「だって、欲もあって、信仰心もそこそこの私が、こんなに美しい羽を見られたんだから。」
ミカエル「!!」
春香「私、春香。」
ミカエル「僕はミカエル。よろしくね。春香。」
春香「うん!」
(ミカエル)それからは、何かと理由をつけて春香に会いに行くようになった。
春香「ミカエル〜。また怪我したの?」
ミカエル「猫を助けようとしたんだ。そしたら、バリッてされた。」
春香「も〜、私だって暇じゃないんだからね?」
ミカエル「これを買いに行ってたんだ。ドーナツって言うんだって。人間がこう言うの好きだって聞いたから。」
春香「わざわざ買ってきてくれたの?」
ミカエル「うん。嫌だった…?」
春香「ううん。嬉しい!ありがとう!」
(ミカエル)彼女は僕の羽を美しいと言った。でも僕は彼女の笑顔の方が何倍も美しいと思った。
天界にて
ウリエル「ミカエル、羽が小さくなってる。人間に恋でもしたか?」
ミカエル「分からない。でも、彼女のことは失いたくないんだ。」
ウリエル「…人間は主の創造物に過ぎない。人間に恋をすると言うことは、主のものに手を出すと言うことだ。お前も、彼女も、ただでは済まないぞ。」
ミカエル「分かってる。でも、確かめたいんだ!この気持ちがなんなのか!」
ウリエル「…好きにすればいい。」
ミカエル「ありがとう。ウリエル。」
ウリエル「・・・」
(ミカエル)確かめよう。彼女の気持ちも…自分の気持ちも…。
春香「わっ!?どうしたの?いつもはちゃんとノックして…」
ミカエル「春香、恋ってなに?」
春香「ずいぶん突然だなあ…。でも…」
回想
ミカエル「天使はね、人間に恋をしてはいけないんだ。」
春香「そうなの?」
ミカエル「人間に恋をすると、羽が抜けて、天界に戻れなくなる。」
春香「そっか。せっかく綺麗な羽なのにもったいないね。ミカエルは恋をするなら天使にしなよ。」
(ミカエル)君は僕を気遣ってくれたんだろうけど、僕にとってその言葉は、死刑宣告と変わらなかった。だって僕は彼女のためなら…
命をかけるつもりだったから。
回想終了
(ミカエル)この返答で僕は…
春香「たとえ自分が不幸になっても、その人が幸せならいいって思うことかな。」
(ミカエル)あぁ…やっぱり僕は紛れもなく…
ミカエル「君に恋をしてる。」
春香「…いいの?それを言ったら君は不幸になるんでしょ?」
(ミカエル)彼女は笑っていた。絶対に許されることのない恋心を向けられても。
ーーーーー数日後ーーーーー
(ミカエル)僕は羽を失わなかった。彼女がはっきり答えなかったからだ。
ミカエル「情けないなぁ…羽もこんなに小さくなった。」
ウリエル「お前が無事な理由がわかるか?」
ミカエル「ウリエル…どういうこと?」
ウリエル「まだ分からないか?彼女は主に殺された。お前の分も背負って。」
ミカエル「えっ…」
人間界
「可哀想に…心不全ですって。まだお若いのに…」
ミカエル「ウリエル…僕を嗤(わら)いにきたの?」
ウリエル「いや、彼女から伝言を預かっている。」
春香『この言葉をあなたが聞いているということは、私はきっともうこの世にはいないのでしょう。こんな形で伝えることになってしまってごめんなさい。ミカエル、あなたに好きと言ってもらえて、本当に嬉しかった。直接言ってあげられなくてごめんね…。私もーーー。
ミカエル「春香……。」
ウリエル「それと、主からも伝言を預かっている。彼女のためだ。受け入れろ。」
1 彼女の魂は美しい。故に天使に転載させることが可能。ただし、以下の条件をつける。
2 彼女は、人間の時の記憶を失い、完全な天使として生きること。
3 天使は二度と人間に恋ができないように、「恋」という感情を奪う。
それでも、彼女とまた会えるのならーー。
エリザベス「はじめまして。私、エリザベス。よろしくね。」
ミカエル「うん。よろしく。」
エリザベス「・・・」
ミカエル「? どうかした?」
エリザベス「あ、ううん。すごく綺麗な羽だなって思って。」
ミカエル「ありがとう。」
(ミカエル)これでよかったと思う。本当に大切なものは、きっと手の届かないところにある。君に恋をして失った羽も、君は綺麗だと言ってくれた。それだけで…
ミカエル『もう、なにも感じないが…』