ダーク・ファンタジー小説

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踏まれた蝶
日時: 2022/10/05 19:40
名前: トルティーヤ松本 (ID: TNiD2WXY)

「あ〜、暑っ」
じりじりと太陽が音を立てているように感じる真夏のテニスコートでは、
女子中学生 やまだ夏菜 はソフトテニス部の活動に励んだ。
「夏菜ー、そこのボール取ってー」
「はーい」
少しだらけているようにも思える真夏の下での部活では汗水垂らした中学生が山ほど居る。
その中でも特に目立つのが夏菜。
1人だけ異常に肌が白く、目と髪は茶色。体は細く脚は長い。聞いた話によるとどうやら色素が薄く何をしなくても肌が白かったり、髪の毛や目が茶色らしい。頭も良く、みんなに優しい。笑顔が可愛く、運動もできる。趣味は読書で偏頭痛持ちとか弱い部分もある。天然で美術の才能があり、何度も賞を受賞している。
引くところが全くなく、モテる要素しかない。学年一のモテ男をも虜にする美女であった。
そんな夏菜がみんな羨ましかった。
夏菜は毎日部活に行き、休む事なく毎日毎日ラケットと向き合った。
そのおかげか秋季大会の団体、個人に出れることとなった。いわばレギュラーだ。
「凄いね夏菜ちゃん。」
「おめでとう。」
「私たちの分までよろしくね。」
そんな上辺だけの言葉を並べた嘘の理由を作りすぐに休むテニス部のメンバーに気付いたのは、夏菜の頑張りを欠かさず見ていた、黒とエメラルドグリーンを綺麗に輝かせながら羽ばたいていたアオスジアゲハだ。
「全くこいつらは。夏菜の頑張りも知らんというのに。気色悪い女どもだな。」
羽をバサバサと動かしながらアゲハは考えた。口に出したくても出せないような苦痛をずっと味わってきたアゲハはもう限界に近かった。
動かし疲れた羽を休めるように地面から咲いているシロツメグサに体を置いた。
「うん。ありがとね。頑張る。」
近くで聞こえる気合いの入った夏菜の声にアゲハは聞き惚れていた。
わざとかのように置いてあったソフトテニスのぷにぷにのボールに夏菜は思わず足を滑らせた。
「わっ。」
可愛い声と共に足を下ろした先にはアゲハがいた。
ぷちっ
何かがこわれる音がした。
「あー、あー。」
「どうかしたの?夏菜。」
「ううん。なんでもない。」
いつも通りの会話。こんなことがしてみたかった。思っていた事を口に出したかった。

「せいぜい頑張れよ。人生の負け組どもが。
あ、自分もか。」


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