ダーク・ファンタジー小説

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最弱異世界ライフは最強勇者と共に
日時: 2022/10/27 17:06
名前: ペンネーム (ID: 5F3AYJJ3)

「お前、ほんとそのマンガ好きだよな」

聞き慣れた声がする

「しょうがないだろ、面白いんだから」
何回同じことを言ったろうか

「俺よりマンガの方が好きなら置いてくぞ!」

「まって!それは困る…」

「じゃ、早く来いよ」

「まって!」

僕はマンガをリュックに押し込み、急いで廊下を駆け抜けた。

毎日、この鬼ごっこだ

だけど、こんな日常が幸せなのだ

「家帰れなくなってもいいのか!」

何を隠そう、僕は重度の方向音痴なのだ。
だからこうして毎日家が近くて幼馴染のケンタに一緒に帰ってもらっている。

けど、ほんとはケンタと何気ない話をするための口実だ。
…家に帰れなくなるのはほんとだけど。


カンカンカン…
「やっと追いついた…」

荒い息をする

「踏切サマのおかげだな」

茶化す様にいわれ、少し腹が立った。

「なくても追いついてたよ!」

「ウソつけ〜」

「うっせ」

「ところで、次、いつ遊ぶ?」

「えっと…」




「危ない!」




「え?」





ドンっ


体が飛んだ


一瞬、鳥になった気がした


ピーポーピーポー…


意識が遠のいて行く…


「来世は、マンガの最強主人公に…」
なれたらいいな。

そんな、淡い夢を抱いて、僕は、深い深い意識の底へ
沈んでいった。






ん…ん〜ん

「そうか、オレ死んだんだ」

そう思い、起き上がった


やけにあっさりそう思えた
あんな世界に未練なんてない…



いや、強いて言うなら、ケンタのことだ。

無事だったのかな?
そうであってほしい

「探してみるか」

あたりを見回した


死に方に同情の余地があったのだろうか?
どうやら地獄ではない様だ

死んだにしてはやけにリアルな草原だ。
青く澄んだ空が一面に広がっている。
空気も美味しい。

「さて、天国探検と行きますか!」

僕は歩き出した。

だが、何かおかしい。

そういえば、起き上がっているはずなのに、目線が低い。
どんな体になっているんだろう。

マンガで見た天使みたいに、翼でも生えているのだろうか。

そう思い、体を見てみた。

「えぇ!……ウソ…だ、ろ?」

ゼリーの様な、やわらかい体。

歩くたびになる、ピチャピチャした音。

手も、足もない。


僕の脳裏にある考えが浮かんだ。

信じ難い。


ありえない。


死んだ、そのはずなのに





「スライムになってる…!」



一方その頃…


「危ない!」

ドンっ





あったかい。

まるで、布団みたいに。

死んだんだ.ここは、きっと天国なんだ。






「ぉ……!………起きて!」

そう言われ、目を開けようとした。

死に損なったのだろうか。


「起きて!勇者様!」


そのことばにおどろいて、思わず体を起こした

「よかった!勇者様が目を覚まされて…」

あたりを見てみると、どうやら沢山の人が囲んでいた。


「すいません…なんのことですか?勇者様って」


「忘れてしまったのですか!貴方はこの
アルケー村の誇るべき勇者、
クシポス様じゃありませんか!」

違う、違う。

オレの名前はケンタで、
勇者なんかじゃなくて、
ただの人間なのに。


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