ダーク・ファンタジー小説

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神様の落とし物~機械少女と行くぶらり旅~
日時: 2022/11/19 19:13
名前: 鱈むすび (ID: pRqGJiiJ)

こんにちは!初投稿です!めっちゃめちゃ初心者です!もうなんかこれ変じゃねってなっても許してください。一話ごとに約1000~1500文字くらいです。

 第一章〈レイルの町編〉←いまここ

 第二章…かくつもり

 第三章…かくつもり

神様の落とし物~機械少女と行くぶらり旅~ 1話 ( No.1 )
日時: 2022/11/19 19:16
名前: 鱈むすび (ID: pRqGJiiJ)

――この世界には『魔法』がある。手品師のマジックなどでは断じてない。
 何もないところから火が生まれ、水が溢れ、風がおこる。そんな誰もが一度は夢に見るファンタジーが少年の目の前には広がっていた。

 「…『炎よ 灯れ』」

 前に手を出し、興奮しながら彼がそういった瞬間、彼は体の中から何かが抜けていく感覚がした。そして、彼ははゆっくりと首を動かし自分の手へと視線を向けた。すると、手のひらには小さな、ロウソクの火にも満たないような炎が浮いていた。

 「…はは…ッ!すっげぇ…!」

 思わず少年から感嘆の声が漏れてしまう。しかし、それも仕方のないことであろう。なぜならそんな無から火が起きるなんていう摩訶不思議な現象が目の前で発生しているのだ。
 いや、正確にはこの世界では別に特別な現象ではない。そこら辺の近所の子供たちですら手から火や水や風や土が出てくる世界なのだ、ここは。
 しかし、少年にとってはそうではなかった。
 今朝目覚めたら別の世界の人間の記憶が自分の頭の中に芽生えていたのだ。その人間がいた世界では魔法なんていう便利な代物は無かった。いや、実はあったのかもしれないがとりあえずその人間は見たことが無いようであった。代わりと言うわけではないが、その世界では『科学』とやらが発展していた。
 とにかく、その記憶を持っている彼からするとこの世界は異質も異質。まさにファンタジーなのだ。

 「ほんとにすげぇな…。魔法…」

 そして、少年は少し考えたそぶりを見せたあと、高らかにあるひとつの宣言した。

 「よし!俺はこの世界で最強の大魔導士になってみせる!」

 ――大魔導士。
 それは別の向こうの世界では無かった位だ。まあ魔法が無いのだ、当たり前だろう。この位はまさに魔法を極めた者に送られるものだ。この位についた者たちは例外なく数多くの逸話を残している。
 曰く、国を攻めてきた魔物数千頭を片手間で滅した。
 曰く、国の近くの山を占拠した龍を威圧のみで平伏させた。
 曰く、深海の王クラーケンを魔法一つで瞬殺した。
 などなど数え始めたらキリがない程度には逸話の数は多い。そしてこの少年もまた、歴史に自分の逸話を残すことを夢に見た者の一人なのだ。

 「…ん?お前も最強になりたい?よーし、そうと決まったら早速特訓だ!」

 そう言って彼、いや彼らは夢の大魔導士に至るための訓練に没頭する――。




 ――そんな大魔導士に恋い焦がれた日から20年が経った。

神様の落とし物~機械少女と行くぶらり旅~ 2話 ( No.2 )
日時: 2022/11/19 19:32
名前: 鱈むすび (ID: pRqGJiiJ)

 昼下がり、ある一人の男が大通りを抜けていく。誰もが彼の近くによると思わず顔をしかめてしまう。周りの人間が鼻をつまみながら彼の横を通り抜けていく。

 「おいッ!お前、止まりやがれ!」

 だがそんな中にも彼の匂いに耐えて立ち向かってくる勇敢なものはいた。通り抜けていこうとするところで肩をつかみ引き留めたのだ。しかし、立ち向かってきた歳二十くらいの男は振り向いてきた匂いの発生源である男の顔を見た瞬間、急に背中をなにか冷たいものがつう、と通り落ちてゆくのを感じた。
 ――目の前にあった顔自体に別におかしいところはない。しかし、その男の眼はどうしようもないほど濁り切っていた。そこには光は無く、ただただ黒く、黒く、淀んでいた。

 「ひいッ!?な、なんなんだよお前ぇ!?」

 そしてついには恐怖のあまりか腰を抜かして後ろへ、後ろへと急ぐように後ずさっていった。この青年は特段こわがりというわけでも無かった。少し幽霊などその手のものが苦手な程度だ。しかし、男の濁っているとしか形容できない瞳を見た瞬間、少しの焦燥感と大きな不安感に襲われたのだ。

 「なにか、俺に用か?」

ついに男が口を開いた。彼の声は、別に普通の声であった。やはりこの男は目だけが異質であった。そんな男に対して、青年は恐怖を抱きながらも、それでも立ち向かった。

 「お、お前のその匂いのせいで周りのやつらが迷惑してんだッ!き、汚ねぇんだよ!」
 「ん?ああ、確かに風呂にはもう数か月は入ってないな。だが、すまないな、如何せん今はあんまり金がないんだ。」

 話してみると別に普通で、何の変哲もない男だ。しかしその声は話し始めてみると気づいたが、ひどく抑揚がない。まったく申し訳ないと思っていないようであった。いや、そもそも男はさっきから一度も感情を出していない。もしかしたら感情表現が苦手なだけなのかもしれないが。
 とにかく、青年はまるで感情のない絡繰りと話している気分になった。

 「で、でもその匂いをどうにかしろ!風呂じゃなくてもいいからッ!」
 「だから言っただろう、今は金がない。とにかく無理なんだ。」
 「…お、お前!俺についてこい!」

 このままじゃ埒が明かないと思った青年は男に自分についてこいと言った。男は素直にその言葉に従い青年の後をつけていった。勿論、二人が歩いている間に人とすれ違うことはあり、そのたびに嫌な顔をされていた。そうして歩くこと十分。彼らの前には一つの大きな施設があった。

 「…これは銭湯…?なんで俺をこんなところに連れてきたんだ?」

 男が不思議そうに青年に対して問いかけると男は少し忌々しそうにしながら声を荒げて言った。

 「お前が臭いから連れてきたんだよッ!」
 「それはいい、だが今俺に金は無いと――」
 「俺がおまえの分の料金も払ってやるんだよ!」

 そう吐き捨てて青年は店の中へと入っていった。おそらくこの青年は少し口が悪いだけで根はやさしいのだろう。だから唯一男に話しかけることができたのだ。

 「…じゃあ遠慮なく使わせてもらう」

 そう言って男は青年のあとを追いかけるようにして店へと入っていった。


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