ダーク・ファンタジー小説
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- 戦ノ印
- 日時: 2022/12/11 15:42
- 名前: ポニョのさしみ (ID: yghb58zo)
#1「コウタ」
この国は今、滅亡の危機に瀕している。
なぜなら、「戦ノ印」という特別な力を使う者が、国を支配するために悪用したためである。
「戦ノ印"闇"!!」
「うわぁぁぁ!!」
山の小さな村が、一瞬にして闇で覆われる。
そんな光景を、天涯孤独な少年「コウタ」は、山の頂上から見ていた。
急げば5分くらいで着くだろうか。
走りながらコウタは昔を思い出していた。
**
コウタがいた村の人達は、人を殺す「魔印師」が襲ってきたことを知り、逃げ惑っていた。もちろん、コウタも。
絶望の声が飛び交う村で、皆が助けを願っていた。
「フフフ、いいねその顔」
魔印師が、嫌な笑みを溢しながら村人を次々と殺していく。
「ハァハァ…!!」
一人の子供がその小さな足で、村の外へ逃げようとしていた。その子供こそが「コウタ」だった。
親が殺されたのだ。
それを、魔印師が見逃すはずが無かった__
「おいおい、マジかよ。」
[ドン!!]魔印師が一瞬でコウタの目の前に現れた。
「う、うわぁぁ!!」
「終わりだ。」
魔印師の拳が直撃する瞬間__
「戦ノ印"天"」
何者かがそう叫ぶと、コウタの目の前に天と書いてある"印"が出てきて、魔印師の拳を弾いた。
土煙から目を開けるとそこには男が立っていた。
「ゲホッ、あなたは誰?」
男は笑顔で答える。
「俺は"神印師"…君達の見方だ。」
その言葉を聞いたコウタは、初めての嬉しみで、ずっと溜めていた涙を流してしまった。
「神印師…だと…!!」
魔印師が襲いかかってくる。
すると、
「ぐっ!!」
呻き声を発したのは__
「くそっ、俺が先攻したのに…」
魔印師だった。
男は余裕の表情で技を繰り出す。
「"天"天雲星火」
男の拳が、魔印師の腹を貫く。
「ガハッ!!なん…だと…!!」
そう言って、魔印師は事切れた。
「た…倒した…!!」
「うん、良く頑張ったね。」
そう言って男は歩み去った。
その男の声をコウタは一生忘れなかった。
**
その男に会いに行くために、コウタは旅をしていた。
そしてコウタは村に着き、村人の悲鳴を聞いた。
「助けてくれぇぇぇ!!」
今度はコウタが助ける番だ。
「戦ノ印"炎"!!」
コウタは"炎"と書いてあるその手から炎を放出し、村人を飲み込む闇を消し去る。
「おっ、やっと来たか、少しは腕の立つやつが。」
魔印師は、嫌な目付きでコウタを見る。
その目はまるで威嚇する蛇のようだ。
「"闇"死禍黒斬!!」
剣に闇を纏わせながら、コウタに斬りかかる。
[キィン!!]コウタは手の印から炎の刀を出して、魔印師の剣を防ぐ。
「"炎"赫麟朱照!!」
赤い刀は、魔印師の剣を一撃で破壊した。
折れた剣を見た魔印師は憎しみの声をコウタに向ける。
「くそが…!!
"闇"堕墜叢雲ぉぉぉ!!!!」
その攻撃も虚しく、コウタには当たらなかった。
「"炎"不尽暝炎(ふじんめいえん)」
コウタの眩い爆炎が、魔印師の顔面に直撃した。
爆炎をモロに受けた魔印師は、目を開けることは無かった。
「…フー、疲れた。」
そんなコウタに壊れた家の中にいた村人が近づく。
「あの…大丈夫ですか…?」
どうやら、コウタの戦いを見ていたようだ。
「大丈夫ですよ、これくらい。無事で良かったです。では、僕はこれで。」
困惑する村人をよそに、コウタは村を立ち去った。
これからも、「男」を見つけるためにコウタの旅は続く。
#1「コウタ」了