ダーク・ファンタジー小説
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- おねえちゃんとオオカミ子供。【期間限定】
- 日時: 2022/12/20 07:12
- 名前: ぷちとまと。 (ID: rdX62NDu)
目次
オオカミ子供
>>1
私の心の中
>>2
記憶とアイス店
>>3
妹の声
>>4
あらすじ
それは、ある冬の大三角形の星が見えるときのことだった。
感情すらないように見られる、中学生の女の子。
心の中に突然迷い込み、出会ったのが、オオカミ子供。
前世も、今世も、また、同じように生きるのか?
あいす!たーべーよ!
ハイキュウ持ってきたよー。
戦争と、現代がリンクする、心の中の出来事だ。
「私は…生きたい。」
おねえちゃんとオオカミ子供。
出会い
「おねえちゃん!おねえちゃん!あいす、食べようよ!ねえ……。おねえ…ちゃん…」
最近、お姉ちゃんと呼んで泣く、子供の夢を見る。
「おはよー。おばさん。」
「あら、おはよう。ご飯できてるから適当に食べちゃいなさい。」
「うん。ありがとう。」
ジョロジョロジョロ…
水道の音を聞くと頭がスッキリするので朝の習慣にしている。
朝ご飯を食べて、私は制服に着替えた。いつものラジオを聞き流しながら、ポニーテール風に髪を結んだ。今は7時半。自転車で10分かかるところに、学校はある。
「じゃあ!私、行ってくるから。学校頑張れ!」
仏壇に手を合わせたまま、私はおばさんに行ってらっしゃい、と言った。遺影の中で微笑んでいるのは私の母だ。妹をお腹にしたまま、逝ってしまった。私は当初、私の希望だった妹と、母がいなくなるのを受け取れきれずにいた。シングルマザーだった母の言葉は、今でも私の心に響き続けている。
「そろそろーーー行くか。」
私はまだ知らなかった。この時、新たな出会いが生まれると言うことを。
- Re: おねえちゃんとオオカミ子供。【期間限定】 ( No.1 )
- 日時: 2022/12/17 18:06
- 名前: ぷちとまと。 (ID: rdX62NDu)
オオカミ子供
自転車で、とても大きな坂を登っていく。ここは田舎だからだろうか。山が多いし、急斜面なんて日常の内だ。どうってことない顔でやり過ごすも、やはり体力が奪われていく。なんとかしないと。そう思っていた時。気がつくと、林の中にいた。太陽が真上にある。
木漏れ日が、どこもかしこも続いている。暑いくらいだ。しかし、何でここにきたんだ…?とりあえず、誰かいないか確認しようと思ったものの、散策しようにも最初に足音が聞こえた。
ザッ…ザッ…
迷い込んだ人だろうか。もしくは殺される…?悪寒が私を襲った、その刹那ーーー。
「こんなところにきて、どうちゃったのお?おねえちゃん。」
甘い声でささやく彼女は、頭がオオカミで、下はニンゲンの、いわゆる狼面人だった。神話に出てくるバケモノだ。
「私が聞きたい。あなたは誰?どうしてこんなところに連れてきたの?」
いいながら、私は少し震えた。制服が、風に揺られて靡く。
「なんでもなにも、ここは〝アナタの心の中〟。」
「え…」
- Re: おねえちゃんとオオカミ子供。【期間限定】 ( No.2 )
- 日時: 2022/12/18 08:12
- 名前: ぷちとまと。 (ID: rdX62NDu)
私の心の中
「どういうこと…?」
心の中…つまり、感情?狼面人の女の子は無邪気に言った。
「ほら〜、精神科医がよく使う〜〝箱庭〟?だっけ〜。それを3D化したやつだよー。」
箱庭、、、それは、自分の心の中を知ることができる精神科の療法だ。砂が入った大きい箱に、シルバニアファミリー のような家具を入れていくものだ。私も一回やった事がある。でも、ここが本当に〝私〟の心の中…?狼面人がいるのは、何でだろう。
「それより、おねえちゃん!あいす、食べに行こー!!近くにねー、美味しい遊園地のアイス店あるんだよー!」
「え、あ、う、うん。」
ここにいてもしょうがないので、とりあえずついて行くことにした。それにしても、なんで遊園地の?そう思った瞬間ーーー。
ガコンッ!!
「はっ!!」
え、あれ、ここ…どこ?……教室?
「全く〜、次4時間全部寝てたら生徒指導室なァ。ということで、昼飯やー、行ってええぞー。」
先生がいった瞬間、クラスメート達は一斉に立ち上がって、食堂のほうへかけて行った。
10分後
「全くー、全部寝てるんなんて、よっぽど寝るのがお好きなんやなー。」
「そやなー、夢で好きな人と出会ったから、起きられなくなったんとちゃうん?」
双子の2人は、喋り方もほぼ一緒。いつものお弁当グループだ。
「そんなんじゃない。…大丈夫。」
「最近変やよなぁ。ほんまに大丈夫なのか?」
「そやよ。4時間全部のノートみしたろか?」
ノート見せるのは、少し違う気がする。
それにしても、私はいったい、どういう夢を見てたんだろう……。
- Re: おねえちゃんとオオカミ子供。【期間限定】 ( No.3 )
- 日時: 2022/12/19 07:16
- 名前: ぷちとまと。 (ID: rdX62NDu)
記憶とアイス店
私はおばさんがいない間に、メモを残して夜のお散歩をしに行った。狼面人、あの天国かのような林。そして、遊園地のアイス店。なんらかのものと関係があるのだろう。
でも、いったい何と関係があるんだろう…。
ふと空を見上げると、星がとっても綺麗だ。いくつものいくつもの星が、きらきら光っている。ここが田舎のいいところ。そう思っていると、どこからか私を呼ぶ声がした。
「ね、■■■ちゃん。〝アナタはずっとアナタだもの。〟」
「■■■〜!ご飯できたけん、テーブル片付けたって〜。」
「おー、■■■ちゃん、おはようなあ〜。ハイキュウ持ってきたぞー。」
「■■■おねえちゃん!あいす、あいす!遊園地行こうや!」
アナタはずっとアナタだもの。私が好きだった、あの物語の言葉。
優しか語りかける母の声。
ハイキュウを持ってきてくれた、あのおじさん。
そして、、、
いるはずたった、妹の声。
なんで?なんでいないの?
どうして、いなくなったの?
アナタはずっとアナターーーおねえちゃん!!ーーーュウ持ってきたぞー。ーーー
もう母さんはいないんだ!ーーーごめんね、ごめん、おばちゃんのせいでーーー
ああああああ、やっぱり、〝私はワタシ。〟〝私は、■■■。〟
「ねぇ、そんなこと、いわないで。」
「……だ……れ…?」
涙目になっている私の頭を、彼女が、狼面人が、ぽんぽんと優しく撫でた。
「アナタは確かにあなただけど、■■■は■■■。もう、この世界にはいないもの。」
「ほら、狼面人は狼面人。でしょお?」
いるはずだった、妹の声。
いるはずだった、妹の声で。
- Re: おねえちゃんとオオカミ子供。【期間限定】 ( No.4 )
- 日時: 2022/12/20 06:52
- 名前: ぷちとまと。 (ID: rdX62NDu)
妹の声
「どうして…狼面人がいるの?どうして…化物がいるの?」
私は、今まで口にしたかった言葉を、遂に言ってしまった。
「う、うゥ〜ん、、、」
「気がついたかな。よかった。僕は諸星星麻。君について、少し聞きたい事がある。10分後、また来るから、よく考えておいで。」
また、だ。心の中の箱庭に行くと、やっぱり倒れてたり寝てたりしている。きっと、あの道路で倒れたのだろう。
私は気がつくと、病院にいた。
あんな質問、しなきゃ良かった……。
心の中の箱庭にある日突然来てしまって、もう1ヶ月。
狼面人と会って、もう1ヶ月なんだ。ズキッと、心が傷んだ。つい切羽詰まっても、あんなことは言っちゃいけない。狼面人の女の子も、絶対傷ついてるだろうな…。そう考えているうちに、諸星先生ならぬイケメン先生が来て、こう質問したんだ。
「君は…〝心の中の箱庭〟に行った事があるかな。」
え。…………!!
「な、なんで、先生、知ってるんですか!?」
しーー、そう指を立てた諸星先生に、私は咄嗟に口を塞いだ。
「僕〝も〟行った事があるんだよ。そして、狼面人と出会ったんだ。」
自然に僕〝も〟と言った先生に、今度は私が質問することにした。
「心の中の箱庭って、何なんでしょうか。」
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