ダーク・ファンタジー小説
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- またいつか何処かで“待ってるよ”
- 日時: 2023/02/09 21:37
- 名前: 時雨 (ID: .LvfpM8c)
Prologue
今日も雨。
ビニール傘から滴る水滴は誰の目に映ることも無く、コンクリートに染み込んで消えた。
- Re: またいつか何処かで“待ってるよ” ( No.1 )
- 日時: 2023/02/09 23:33
- 名前: 時雨 (ID: .LvfpM8c)
“お姉ちゃんやお兄ちゃんを見習いなさい”
お姉ちゃんやお兄ちゃんと私は違うって
“わかったって言いなさい”
わかんないよ
“いい子でいなさい”
いい子って何?
“言うことを聞きなさい”
言いなりは嫌だ
“優等生でいなさい”
平凡じゃダメなの?
“現実を見なさい”
十分現実見てるから
もう、いいよ
コンコン
「ねぇ、、、澪」
「何お姉ちゃん、、、」
「辛かったら言っ」
「そう簡単に言えてたら、こんなじゃないでしょ」
「そう、、、よね」
「出てって」
ガチャ
あーあ
せっかくの休日なのに優等生だからって偏見でどこも行けないし、家でも居ずらいし。
お姉ちゃんはいいなぁ、愛されてて。
なんでボクはこんななんだろ、、、。
ねぇ、成功と失敗 マルとバツの境界線を引くとしたらどこだろう。
なんて、考えても意味ないか。
ピロン
LINE、、、誰から?
ん、あぁ同クラの暁さんか。
<宿題見せて欲しいです!>
やっぱり。そんなことか。
《いいですよ 〈写真〉》
<ありがとうございます>
《いえいえ》
<あの!今日クラスのみんなで花火大会行くんですけど、河内さんもいかがですか?開始時間は18時からです>
花火、、、でも門限が18時だからムリだな。
《ごめんなさい、門限が18時で》
<そう、ですか。お時間ありましたら今度遊びましょ。>
《はい、是非ぜひ》
<それでは>
《また学校で》
花火、、、まぁ部屋からも見れるっしょ。
そういや、生で見たの何年前だろ。
小学校が最後かな、、、
フワァ
なんか眠たいな、、、昨日から寝てないからか。
寝よ
ドオオオオオオオオオオン
「はひ!?」
なんだ、花火か。いつの間にか18時過ぎてた。
晩御飯できたかな。
「澪じゃん」
「お兄ちゃん」
「花火綺麗だよ。ベランダからならハッキリ見えるし、見てきたら?」
「そうするよ」
「潮も居るけどいいか?」
「全然、お姉ちゃんくらい気にしないよ」
「そうか」
「行ってくる」
ガラララ
「澪、おはよ」
「おはよ、お姉ちゃん」
「綺麗、、、だね」
「うん」
「お姉ちゃん最後だね、ここで花火見るの」
「そうだね、やっぱ寂しいなぁ」
「ボクのこと必要なんか思ってないくせに(ボソッ」
「必要だよ」
「嘘つけ」
「嘘じゃない」
「ああ、もういいよ。話長くなる」
朱色の花火は藍に満たされた暗闇に、“私がいる”って言うように、赤く、明るく散っていった。
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