ダーク・ファンタジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

君に捧げる花言葉を
日時: 2023/05/06 17:08
名前: みなみ (ID: 4NhhdgqM)

初めましてみなみです
花言葉なんて詳しくないんですけどね

Re: 君に捧げる花言葉を ( No.1 )
日時: 2023/05/06 19:09
名前: みなみ (ID: 4NhhdgqM)

人物紹介


白河刹那しらかわせつな 男 16歳
一家惨殺事件の被害者であり、死亡したことになっているが、生き返った
呪いを扱うことができるが、呪力量が0に等しいので使用はほぼできない

翠娜あきな
刹那の呪力量が0に等しいので、刹那に呪力量を供給している
禁忌の存在だが、肉体はすでに崩壊しており、人間の死体に魂を憑依させている

東雲月海しののめるな 女 18歳
通り魔に姉を殺され、その憎しみなどの負の感情が募り呪いを獲得した
清楚な見た目とは裏腹に、復讐に燃える

戸張斎とばりいつき 男 16歳
幼い頃に特級呪物「コトリバコ」の汚染を受け呪いを獲得した
そのため斎は戸張家で避けられていた

Re: 君に捧げる花言葉を ( No.2 )
日時: 2023/05/07 14:31
名前: みなみ (ID: 4NhhdgqM)

第1話「朝焼け」


「ここから先は立ち入り禁止です」
ガタイのいい強面の男性は、こちらに気付くとKEEP OUTと書かれた規制線の前で両手を広げた。
灰色がかった髪のスーツを着ている少年、白河刹那しらかわせつなと長く青い髪のスーツを着ている少女、翠娜あきなは胸ポケットから手帳を見せた。
「怪異対策4課の白河です」
「同じく翠娜だ」
すると一瞬だけ驚いたような表情を浮かべ、規制線を上げた。
「よろしくお願いします」
「...」
規制線を潜ると、日本家屋が見えた。屋敷はかなりの大きさで、豪邸と言えるほどだった。
敷地内に入ると、空気が重くなった。
「結構ひでえな...」
「かなりの怨念が溜まってる、こりゃ相当な主だな」
屋敷の外から伝わる重い気に、刹那は深呼吸をする。
「...怖いか?」
「...今さら、怖いなんて言ってられないさ」
「そうこなくっちゃ、刹那と契約した意味がないってもんさ」
刹那は翠娜と手を繋ぐ。
右腕にどろどろとした嫌な感覚が走る。熱い、痛い。
刹那は思わず顔をしかめてしまった。もう何度も、何年も体験している。知っている感覚なのに、それでも嫌なものは嫌だった。
「...制限時間は?」
「140秒、行けるか?」
刹那は左手で村正を抜く。
現存する村正は刹那なものとは他に2本ある。
「じゃあ行くぞ。...3、2、1」
____0。
聞こえたかは分からないが、勢いよく刹那は走り出し、窓を割って中に侵入した。
ぐちゃぐちゃという、不快な音が耳に入る。
近い。
「...」
残り87秒、早いところ片付けなければまずい。
____コッチニ、オイデ?
「!?っぐ!」
女性の声が聞こえた直後、横の壁が破壊されて吹き飛ばされた。
「っつつ...」
『まずい!刹那!』
インカムから翠娜の焦ったような声が聞こえた。
刹那の返事を待たず、翠娜は続ける。
『別の怨霊が目標を殺した!特級!人型で白色!背中に6本蜘蛛みたいななのが____』
「あー...今目の前に居るなぁ」
村正を構え、片目を閉じて集中する。
残り57秒、時間はない。
「っ!!!」
震える奥歯を噛みしめ、思い切り刀を振り下ろす。
しかしかする程度で、怯む様子はない。
怨霊は背中の腕のようなもので、刹那に襲いかかる。速いが捌ききれないわけではない。
「っ!」
刀から火花が激しく散り、両腕が悲鳴をあげる。
『刹那!無理な交戦は避けろ!今すぐそこから離脱しろ!』
「了解!」
刀で腕のようなものを払い、蹴り飛ばして距離をとる。
そのまま屋敷から出ようとした。
____コッチニ、オイデ?
「っ!?」
首を掴まれ、刹那は屋敷の外まで投げ飛ばされた。
「刹那ぁ!?」
「かはっ...!」
首には強く掴まれた痕がついており、左腕が無惨にも千切られていた。
出血が酷く、全身が痙攣している。
「こちら翠娜!白河が瀕死!至急救護班を要請する!っち、こんなときに...!」
強く奥歯を噛み、ぎりぃという音が耳に入る。
結界の外に出たため、ひとまずは安全だ。
「救護班だ!」
「刹那を頼んだ」
ものの1分で救護班が到着し、刹那は救急車へと運ばれた。

「翠娜だ、入るぞ」
ノックもなしに病室に入った。
「悪いな、迷惑かけて」
刹那の左腕は元に戻っており、いい方向へと回復していった。
後の調査で、刹那を襲った怨霊は確認されず、屋敷も破壊される前の状態へと戻っていた。
「なるほど...怨霊は居なくなってたと」
「結果の外に出た痕跡もないし、しばらくは安心ってとこ」
「...」
「?どうした」
いきなり資料の一枚を見つめたまま刹那は黙った。
「これ、このタンスの染み。これ、門じゃねえか?」
「...」
翠娜は黙った。
門とは、生者が干渉することのできない異界へと繋がるゲートを担っているものだ。
「最悪の事態になっちまったな」
「ああ、300年前と同じだ」
病室に二人、静かに声が響いた。

Re: 君に捧げる花言葉を ( No.3 )
日時: 2023/05/08 23:23
名前: みなみ (ID: 4NhhdgqM)

第2話「呪縛」


「じゃあ、いくぞ」
「ああ。...っぐ!」
「だめか...」
「まさか私からの呪力供給ができなくなったとは...」
翠娜からの呪力供給を必要としていた刹那は、供給を拒絶し始めた。
しかしながら相変わらず刹那から呪力を感知することができない。
「刹那、体の調子はどうだ」
「まあまあってとこかな。そっちは収穫あったか?いつき
「特にない。門が開いた反応もこの前からない」
目の前に立っている青と黄色のオッドアイの少年は、戸張斎とばりいつき。怪異対策4課所属の警察官だ。
「俺はなぜか呪力供給ができなくなった」
「...」
「斎、刹那からの呪力量は」
「最大値+0.0002、平均値は...っ!?」
「どうした」
「-7.8...」
斎がその数字に驚く。
「?どういうことだよ」
刹那が訝しげに首を傾げると、今まで表情ひとつ変えなかった翠娜が眉間に皺を寄せながら答えた。
「本来、呪力量が-値にいくことはない。お前の呪力量がいくら少ないとはいえ、+値で留まっているはずなんだ。だが...今のお前は-値で安定している。-値ならば私みたいな怨霊モドキからの呪力供給を拒絶したのにも納得が行く」
「ちょちょちょ、話なげえって!結論を言ってくれ」
「お前は人間と怨霊の境目の存在、いわば爆弾さ」
刹那は動揺した。
「俺が...怨霊...?」
「そう断言ができる訳じゃない。あくまで憶測の話だ。これから月海のとこに行くぞ、準備しと___」
突如として土煙と轟音が鳴り響いた。
土煙が晴れると、能面のような顔に人の腕が無数に生えている異形が浮遊していた。その隣には同じ能面を着けた男性が立っていた。
「...」
無言で対怨霊拳銃を構える刹那たちと、男の間に緊張感が走る。
「...白河刹那くん」
「っ!?」
「君を迎えにきた」
機械音声のような不自然な声で刹那は名前を呼ばれ、動揺する。
「お前、何者だ。刹那に何の用だ」
「私はいばら、白河刹那くんには天埜負怪呪縛あまのふかいじゅばくの兆候がある。それと君たちはとても興味深い。戸張斎くんはコトリバコの汚染を受けて半怨霊、そこの君は...あぁ禁忌の一人か。オリジナルの体はどうした?」
「お前に答える筋合いはない」
すると蕀と名乗った人物は、腕時計のない左手首を見て、「そろそろ時間なのであとはこいつに任せよう」と言って、異形を残してどこかに消えていった。
すると異形はゆっくりと、けれども3人を確実に圧だけで殺しにきていた。
「...刹那、翠娜、術式を展開するから時間稼ぎを頼む」
斎がそう言うと、返事をせずに刹那と翠娜は異形に向かって歩いた。
斎が術式の準備をしている間に、刹那は村正を抜刀し全体重を乗せて斬りかかる。
呪力供給がなくても元々の身体能力が高い刹那にとっては不利な要因にはならない。
翠娜は銃で刹那の援護。翠娜には近接戦闘ができるほどの呪力量が貯蓄されていないので、後衛に回ることが多い。
「っはぁぁぁ!!」
刃は異形に当たり、火花が散るとともにキィィン!という甲高い音が響いた。カタカタと震える音が鳴り、刀身が限界を向かえようとしている。
「...っ」
翠娜はトリガーを引き、銃弾を命中させるが傷一つ付かない。
「なんて固さだ」
そしてついに村正が折れた。
そのまま宙に舞った刹那は、異形の腕に腹を貫かれた。
ぐしゃりと不快な音と、粘性を帯びて落下が遅い血液が滴る。
「刹那ぁ!」
翠娜の呼び掛けには応答しない。
「翠娜、下がってろ!」
術式詠唱が終わった斎が、青白い光の線「白夜」を放った。
異形に命中し、能力の半分を破壊した。
「刹那!」
刹那は放り出され、異形は活動を停止した。
翠娜が駆け寄るが、刹那の出血は止まらない。
「くそが!なんで刹那ばっかり...!」
その呪縛は誰かを殺す刃となる。


Page:1



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。