ダーク・ファンタジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

桜日和君に告ぐ
日時: 2023/05/19 12:12
名前: いくら (ID: UIQja7kt)

春、僕は毎年決まってここに来る。満開となった桜を見に、沢山の人が集まるこの公園には、僕しか知らない場所がある。
そこは、公園のずっと奥。湖の近くだ。ここは桜の樹がないし、今の季節は花見の準備でボートの貸出もしていないから、春は誰も来ない。

今日もここには、誰もいなかった。


「想!忘れ物はない?」
「母さんしつこいな。もう高校生なんだから、それくらい自分で確認できるよ。」
僕は鞄の中を覗く。
「多分大丈夫。行ってきます!」
「気をつけるのよ。」
今日から高校生。市内の中学校だけでなく、市外からも沢山の人がここの高校に集まる。僕の中学校は小さかったから、きっと沢山の人に驚くだろう。
不思議と、緊張はしないけれど。

母さんは仕事が忙しいからと、入学式には参加できないと言われた。入学式が終わり、体育館から出ると、僕以外の人は、お父さんやらお母さんだけでなく、おじいちゃんとおばあちゃんと一緒の人までいた。なんだか恥ずかしくなり、足早に教室に入り、自分の椅子にじっと座ったまま、動かないようにした。他のみんなが楽しそうに会話している中、僕は一人窓の外を見ていた。
もう友だちを作っただとか、教室が狭いだとか、教科書が多いだとか。そんな他愛のない話を、僕の後ろで駄弁っている。
気まずくなった僕は、今度は教室の中を見回した。
壁に貼られた生活の決まり、献立、時間割。そんな中、僕は頬杖から顔を離した。
(あの子・・・)
僕と同じように、椅子にじっと座ったままの女子がいた。周りの女子はきやっきゃっと騒いでいるが、その子は背筋を伸ばし、ただ座っていた。
さっきまで頬杖をついていた自分が変な人のように思えた。無意識に背筋を伸ばしたところで、先生が入ってきた。

ガラガラッ
「皆さん、入学おめでとうございます。教科書を鞄にしまってください。明日から新しい学校生活のスタートです。今日は疲れた人もいるでしょう。家に帰り、ゆっくりと休んでください。下校時に学校の中を見て回っても構いません。以上です。」
僕は厚い教科書を一冊一冊鞄の中に入れた。今からこれを背負って帰ることに憂鬱感を覚えつつ、大半が教室を出ていくのを待った。また廊下で浮いている自分を想像すると、すぐには足が動かなかった。
「櫻葉くんっていうんだ。」
「えっ」
いきなり話しかけられ、戸惑いを隠せなかった。僕に声をかけたのは、あの子だった。
「ずっと座ってたね。みんな楽しそうにしている中、ずっと。」
貶されているのかと思い、つい言い返してしまった。
「それは君も同じじゃないか。」
「私は、好きでそうしていただけ。あんまり話すのが上手じゃないから。」
好きでそうした、彼女は微笑みながらそう言った。
「君は、景色が好き?」
「え、」
「窓の外見てたから。」
そう言えばと、僕は再び窓の外を見る。
「この学校の庭には、桜の木がないんだな、って。」
「確かに。寂しい庭だ。」
「ねえ、君の名前をまだ知らない。」
「私は、神谷桜。」
「桜・・・」
「春に生まれたから。あと、お母さんが桜好きだから。」
神谷は窓を開け、風を感じた。
「帰ろうか。怒られちゃう。」
神谷は窓を閉め、長い髪に手を通した。


帰る前に、僕は行きたいところがあった。
「中庭、行きたいんだ。」
「どうして?桜はないよ。」
「さっき少し見えたんだ、鳥小屋。」
「鳥?」
「僕さ、ペット飼えないんだ。アレルギーが酷くて。見るだけなら大丈夫だし、少しだけ。」
僕は生まれつき動物アレルギーを持っていた。犬に触れば目が赤くなり、猫を撫でれば次の日には体中に赤い斑点ができていた。小学生の頃は、犬を飼っている友達の家に行けなくて、泣いたときもあった。いつしかそれを当たり前と思うようになり、自分の口から遊びに行きたいとは言わなくなっていた。
「私は、猫に触れない。小さい頃にかっちゃかれて、ほら。」
桜は制服の袖をめくった。
「傷跡、残ってるでしょ。トラウマになって、猫は見るだけで怖いな。友達の家とか、行けなくなっちゃって。」
僕は驚いた。初対面なのに、傷跡を見せるなんて。しかも男の子に。
「友だちになりたいな。」
「僕と?」
「うん。君と。」
「いいけど、なんで?」
「そんな、理由なんてないよ。」


夕食のとき、母さんに、このことを話した。そしたら母さんは、あなたにも春がきたのねと、そう言った。
「春が来た、ってどういうこと?」
「あら、言わなくてもわかると思ってた。」
母さんは鼻歌を歌いながら、食器を下げにいった。
「そんなんじゃないから!」
母さんの鼻歌で感づいた僕は、そう叫んだ。
「昔、お父さんがそういったのよ。僕にもようやく春が来たって。私の前でね。」
「母さんの目の前で?」
「そう。おかしいでしょうあの人。」
母さんは懐かしそうに笑う。でも目は、悲しそうだった。
「手、合わせてくる。」
「あ、このご飯も持っていってあげて。」
ふすまを静かに開け、仏壇の前に座る。
「父さん、母さんを悲しませないでよ。」
僕はお供物を置き、手を合わせた。
「父さんのこと、嫌いになんてなりたくないから。」



二週間後、この日はニュースになるほどの大雨で、短縮授業となった。
「櫻葉くん」
「神谷さん、どうしたの?」
「傘持ってきた?」
「ううん、玄関に置きっぱ。」
「だから朝、あんなに濡れていたのね。」
今日、神谷は長い髪を後ろで束ねていた。少し湿っていた。
「みんな帰っちゃったよ。」
「いいんだ。帰る友達いないし。」
「もう散っちゃったかな、桜。」
「流石に散ったと思うよ。それにもうすぐ5月だ。」
「葉桜も好きなんだけどね。」
神谷の声は澄んでいた。
「今度参観日だね。櫻葉くんのお母さんは来るの?」
「いや、僕のお母さんは仕事が忙しいから。」
「そっか。」
「・・・お父さんは?って聞かないの?」
「きっとお父さんも忙しいのかなって。」
「お父さんは、いないよ。」
神谷は少し動揺しているようだった。
「え?」
「お父さんは病気で死んだ。僕がまだ小さいときに。だから顔覚えていないし、どんな人かも知らない。」
「ごめんなさい!私、」
「いいよ。言われ慣れた。」
僕は窓の外を見た。相変わらず天気は悪い。
「そういうことって、言われ慣れるものなの?」
僕は思わず彼女を見た。
「え?」
神谷は不思議な顔をした。
「いや、なんでもない。」
僕はごまかすように立ち上がった。
「僕帰るから。」
「私は、もう少しここにいる。」
「傘無いの?だったら家まで送るよ。」
「ううん、大丈夫。ありがとう。」
神谷を教室に残し、僕は廊下に出た。
「お、話終わったか。」
「えっと、」
「同じクラスの宮地だ。宮地哲。」
「あ、どうも。」
「お前神谷とよく話すんだな。」
僕は彼の横をすり抜けようとしたが、腕を掴まれた。
「まあ待てよ。神谷とは仲良くしないほうがいい。俺は一応学級会長だし、警告しに来ただけだ。」
「なんでそんな事言うんですか。」
「あいつの父親捕まってんだよ、警察に。」
一瞬動揺した。けど一瞬。
「だからなんですか。」
「神谷いじめられてんの。このクラスの女子から。見てわかんない?」
いじめられている?神谷が?
「そんな素振り見せませんでした、神谷さんは。」
「バレないようにやってんの。ネットとかでね。このままだと君もいじめられる。だからそれを止めるためにこうして会いに来たってわけ。」
あまり、最初の時期に口喧嘩なんてしたくない。それに、相手が会長ならなおさら。この宮地哲とかいうやつは、陽キャグループからノリで会長になると言ったのだ。
「止めるべきはいじめであって、僕ではないはずです。神谷さんと僕が話していようが、何をしようが、僕の勝手でしょ。」

「ふーん、じゃあいっか。」

その発言で確信した。判断をミスったということ。主犯はこいつだ。そう、だから。これは僕のための警告じゃない。歯向かうようなら無関係である僕もいじめの標的にするぞ、そういうことだ。
宮地は僕の肩を叩き、その場を離れた。
「あー、なんでこうなるかな・・・。」
まだ一ヶ月もしてないのに、もういじめか。そんなの真っ平御免なんだけどな。
「それより・・・」
気になるのは神谷の父親について。
「何をして捕まったんだろう。」
「殺人。」
僕はとっさに振り返る。
「神谷さん、聞いていたの?」
「ごめん、盗み聞きなんかして。」
「いや、それよりなんて言ったの、今。」
「驚いた?」
彼女がくすりと笑う姿を見て、腹立たしくなった。僕の気持ちが踏みにじられたようで。
「なんでかな、櫻葉くんには知られたくなかった。」
「僕も知りたくなかった。どうして?どうして君のお父さんはそんなことを、」
「私を守るため。」
「・・・。」
「美談だと思う?」
「聞かせて。雨はまだ止まない。」
神谷は悲しそうな顔をした。

桜日和君に告ぐ ( No.1 )
日時: 2023/05/19 12:30
名前: いくら (ID: UIQja7kt)

「ただいま、お父さん。」
「桜!今日は・・・大丈夫だったか?」
お父さんは心配症だ。私の細かいところまで目を配って、心配する。それがお父さんの愛情なんだろうけど。
「全然大丈夫。こんな日は珍しいや。」
「ならいいんだ。何かあったらすぐに言うんだ。お父さんが守ってやるからな。」
「もう、大袈裟だな。」
私は笑ってみせたけど、お父さんは悲しい顔をした。
「お前まで奪われてなるものか。」
「お父さん、その話はしない約束でしょう。」
「すまん・・・。」
「今日はハンバーグにしよう。お父さん好きでしょ?」
お父さんは軽く微笑むと、自室へ入っていった。
(またお母さんと話すのか。)
線香の匂いは好きじゃない。お葬式の日を思い出してしまうから。あの日のお父さんの顔も、声も、この先一生忘れることはできないと思う。
コンロの火をつけて、フライパンを温める。


あの日、お母さんが帰ってきた日は雨だった。


ドアの音がして、真っ先に玄関へ走ったのは私だった。。
「お母さん、今日は遅かったのね。お仕事お疲れ様。」
そう言いたかった。でも、喉が引きつって、声すらまともに出せなかった。目の前のお母さんは、血まみれだった。お腹には包丁が刺さっていて、お母さんは必死に包丁が抜けないように抑えていた。
私と一緒に買いに行った白いコートは、疑うほど赤く染まって、申し訳無さそうな顔をするお母さんに、そんな顔してる場合じゃないよと言いたくて。
「お、お母、さ、」
お母さんは私の頬に触れ、優しく撫でた。いつものお母さんのように。きっと、死を悟ったのだろう。お母さんは看護師だったから、大量出血を防ぐために包丁を抑えていたんだと思う。
異変に気づいたお父さんは、玄関を覗きに来た。
「どうした、桜。」
お父さんの顔がみるみる青くなって、その先のことはよく覚えていない。ただ、手が真っ赤だったことだけ覚えていた。
もう中学生なのに、警察の前ではまるで小学生のような言葉使いしかできなかった。でも、わかっていたことは、お母さんが殺されたということ。犯人がまだ捕まっていないこと。
「ごめんな・・・守ってやれなくてごめんな・・・友梨佳・・・」
ずっと謝るお父さんを見たくなくて、お葬式の日はすきあらばトイレに篭った。

トイレから出て部屋に帰ろうとしたとき、喫煙所にお父さんがいるのを見つけた。

「許さない・・・許さないぞ・・・絶対に捕まえてやるからな・・・」

お父さんはブツブツと唱えていた。
怖かった。




「お父さん、ハンバーグできたよ。温かいうちに食べよう?」
私は扉をノックする。
「お父さん?入るよ。」
お父さんは眠っていた。仏壇の前で。
私はリビングに戻り、お父さんの分にラップをかけてから、ご飯を食べた。

ピンポーン

チャイム?こんな遅い時間に。
(どうしよう、あの人だったら)
そっとモニターを見る。
黒いパーカー、フード、正しくあの人だった。

私のストーカー

「桜」
「!」
「誰か来たのか。早く出ないと失礼だろう。」
「待ってお父さん!あの人なの!」
お父さんは血相を変えた。
「部屋に行っていなさい。」
声こそ静かだったけど、お父さんの顔はまるで鬼のようだった。
言われるがままに自室へ避難した。
(警察呼ばなきゃ!)
そう思って電話をかけたとき。

ドンッ ドタッ

大きな音が下からして、嫌な予感がした。
「お父さん・・・?」
急いで下に降りる。
「お父さん・・・」
あの音は、お父さんとこの人が揉み合っていた音だった。
「もう大丈夫だ桜。お父さんが守ってやるからな。」
お父さんは私を抱きしめた。
「お母さんを殺したのもこいつだ。お母さんが死ぬ間際に言ったんだ。顔の頬に大きな傷があると。見てみろ。」
恐る恐る見ると、たしかに女の人の顔には大きな傷があった。
「整形医療ミスの恨みを、お母さんに押し付けたんだ。担当看護師がお母さんだったから。でももう大丈夫だ。」
何も大丈夫じゃない。お父さんは捕まる。私は一人ぼっち。この先、どう生きていけばいいのかわからない。お父さんだって。

女の人は、お母さんみたいに、お腹を包丁で刺されていた。
でも、お母さんが私に見せた、柔らかい死に顔ではなかった。
「お、お父さん、」
泣きそうだった。いろんな事が起こりすぎて。
「大丈夫だ。大丈夫。」
そう言ってくれたけど、目の前のお父さんが怖かった。
「離してっ・・・」
お父さんを突き放した。
「桜・・・」
「私の知ってるお父さんじゃない・・・怖いよ、お父さん・・・」
お父さんは力なく座り込んだ。
私が呼んだ警察が到着して、事情を話したけれどお父さんは連行された。物的証拠が一つもなかったから。はたから見れば女の人を殺害した男とその娘。きっとかばっていると思われたに違いない。
「お父さん!」
お父さんはもう私の方を見ることはなく、パトカーに乗って行ってしまった。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
いくら謝っても、お父さんは帰ってこなかった。





気づくと雨は上がっていた。
「止んだね、雨。」
「神谷さんのお父さんは、間違ってないよ。だから」
「本当にそう思ってる?ただの慰めでしょう。もういいの。十分だよ。いじめられていること、お父さんのせいにしたくない。」
「・・・」
「仕方ないよなんて、言おうとしないで・・・。」
神谷さんは泣いた。僕は初めて、お父さんが死んだ時の記憶がなくてよかったと思った。お父さんと遊んだ記憶、過ごした記憶がなくて。
神谷さんはお母さんとお父さんとの幸せな記憶、そして家族として過ごした記憶があったから、その分苦しみも大きかっただろうに。
「ごめん、軽はずみだった。」
「もうすぐ出所するんだ。相手がストーカーだったこと、家にまで来たこと、凶器を持っていたこともあって、刑はそれほど重くならなかったから。」
神谷は下を向く。
「お父さんが戻ってきたら、二人で遠いところへ行くの。」
「遠いところって?」
「わからない。でも、手紙でお父さんはそう言ったから、きっとすごく遠いところなんだと思う。」
僕はふと、窓の外を見た。空は雲に覆われ、光が地上に届いていない。同時に嫌な予感が頭をかすめた。
「最後に友だちを作りたかった。ただそれだけなの。いじめられることにはもう慣れた。でも、友達をつくることには慣れてなくて。」
だからいきなり話しかけてきたのか。きっと、どうすればいいのかわからなくて。クラスにただ一人残っていた僕に、決死の思いで話しかけたんだろう。
「高校生になったら変わると思ってたけど、馬鹿な奴は馬鹿なまんまだし、幼稚なやつは幼稚なまんま。結局変わらないんだよ。高校生にもなっていじめなんてくだらないことするの、少し残念だった。」
「君が認識している世界は間違っている。こんな狭い世界にいて、すべてを分かった気になっちゃだめだよ。」
神谷はムスッとした。そりゃあそうだ。こんなことを言われたくて、辛い胸の内を明かしたわけじゃないことぐらいわかっている。
でも、これだけはどうしても聞きたかった。
「神谷さんは本当に、またお父さんと暮らしたいの?」
「え・・・」
「友だちを作りたかった、って、もう全部諦めたような言い方にしか聞こえない。お父さんと遠いところに行くからって、そこでも友達は作れるはず。」
僕は一気に喋った。時々、息継ぎをしながら。
「本当はわかっているんでしょ。遠いところなんて言い方をするのは、きっともう誰にも会えないから。それは友達にじゃなくて、なんの関係もない人達とも関わる機会がなくなるってこと。これが何を意味するかなんて、神谷さんにはわかっているはずだ。」
前に僕の母もそう言った。一緒に行きましょう、と。僕がどこへ行くのかと何度聞いても、答えてはくれず、その代わりに悲しい顔をするばかりで。根気強く聞き続けていたら、母さんはやっと口を開いてくれた。でもそのときに僕に言った言葉は、「遠いところ」だった。




「遠いところってどこ?母さん、ちゃんと答えてよ。」
「大丈夫。お母さんがいるから。一緒に行きましょう。」
「・・・母さん、まだ小さいからって、僕のこと馬鹿にしないで。」
母さんは困った顔をした。
「ねえ、お母さんの言うことを聞いて。お願い。」
「嫌だ!」
「想!!」」
「僕は死にたくない!!」
僕は泣きながら叫んだ。勝手に足が震え、声も上ずる。けど、どうしても言わなければならなかった。
「死んだって父さんに会えるわけじゃない!母さんはどうして受け入れないの?父さんが母さんに言ったこと、覚えていないの!?」
母さんも泣いていた。でも、僕みたいな涙じゃなくて、すっと流れていくような涙。
「父さんは母さんに、生きてほしいと言ったんでしょ?僕のことを頼んだぞ、って言ったんでしょ!?どうして父さんの思いを踏みにじろうとするんだよ!!」
「想・・・」
「母さんに死んでほしくない、父さんにだって生きていてほしかった!父さんの記憶は僕にはないけれど、些細なことでもあってほしかったんだ!父さんのことを覚えていたかった。世界でたった一人のお父さんだから。なのに母さんが裏切るようなこと、言わないでよ!」
母さんはもう僕を説得することはなかった。その代わりに、僕を強く抱きしめた。
母さんは、優しく微笑んでいた。それは感謝の笑みだった。






「僕は、もう神谷さんに会えなくなるのは嫌だ。」
「でも、私は、」
「関係ないよ。だって嬉しかったんだ。あの日、僕に話しかけてくれたから、最悪だと思っていた一日も良く思えたんだ。」
僕の顔は酷いことになっているだろう。
「神谷さん、本当の気持ちを僕に吐き出して。君の友達だから、放っておけないんだ。」
神谷は束ねていた髪を下ろした。
「櫻葉くん、本当にいいの?」
「うん。」
「本当に聞いてくれるの?」
「うん。」
「受け止めてくれる・・・?」
「大丈夫。信じて。」
神谷は今にも泣き出しそうな顔をした。


「怖い。」



静かに彼女の話を聞く。
「お父さんには会いたい。でも、お父さんが人を殺したという事実は変わらない。だからお父さんの隣りにいることがすごく怖い。怒りで人を殺せてしまうから、大切な人を守るためならなんだってできる人だから、それが怖くて怖くてどうしようもないの・・・。いつか私も殺されるんじゃないかって、思ってしまう。そんなこと思いたくないのに、どうしても考えてしまう。」
神谷の目からは涙が溢れ出していた。
「幸せな日常が壊されてから、わからなくなった。お父さんは正しいことをしたのか、間違っていたのか。考えても考えても、涙が溢れるばかりで、悲しくなるばっかりで。」
神谷は膝から崩れ落ちた。
「ごめんなさい・・・お父さんは私を守ってくれたのに、お父さんのこと大好きなはずなのに、出所するってわかってから、その日が来るのが怖くてたまらない・・・。」
すべてを吐き出した神谷は、僕を見た。
「ありがとう、聞いてくれて。」
「ううん、言ってくれてありがとう。神谷さんは間違っていないよ。自分の気持ちがわからないのなら、一緒に考えるよ。まだ時間はあるんだから。」
「本当・・・?」
「神谷さんが納得するまで、一緒に考える。誓うよ。」
彼女の泣き腫らした目は、澄んでいた。気がつくと雲は消えていて、夕焼け空が広がっていた。
「神谷さんと行きたい場所があるんだ。」
僕は彼女の手を引き、学校を出た。


「公園・・・」
「もう日が暮れるから、人通りも少なくて静かだけど、昼間は花見に来る人で溢れかえっているんだ。」
「でも、もう葉桜だよ?まだ見に来る人なんているの?」
「この地域は子供連れが多いから、ついでに遊ばせることもできる。僕が見せたいのはここじゃない。」
僕は先導して、奥へ奥へと進んでいった。
「まだ、進むの?」
「もう少し。」
「あれって、池?」
「ううん、あれは湖。着いたよ、ここだ。」
「どうしてここに?」
「見て。」
僕は上を指差した。それにつられ、彼女は上を見、息を呑んだ。

空には見事な桜の大木が、花のついた枝をこれでもかと広げていた。
一面に広がる満開の桜。

「すごい・・・」
「でしょ。この木は葉桜になるまでが、他の木と比べて遅いんだ。この場所を知っているのは、僕だけだけど。ボートの貸出が始まる頃には、もうこの景色は拝めないから。」
「これを見せるために、私を?」
風が一際強く吹いた。
「君は、ここを知っていた?」
「え?ううん、知らなかった。」
「僕はね、もっとたくさんのことを知っているんだ。この街には、国には、世界には、たっくさんの美しいが溢れているんだよ。」
もう、日が暮れる。帰らないと、僕は母さんに叱られる。けど、神谷には叱ってくれる親さえいないんだ。おかえりと言ってくれる存在が、神谷にはいない。
今、言わなければ、一生このチャンスは巡ってこない。そんな気がした。
「父さんが死んでからずっと怖かったんだ。いや、今も怖い。母さんがいつ突然心が壊れるかなんて、わからないから。」
「櫻葉くんの、お母さんが・・・?」
「強いんだ。母さんはその強さで、僕を守ってくれる。だけど、自分のことは守れないんだ。自分の心までは、どうしようもないんだ。」
あたりは暗くなり、街灯が点き始めた。
「僕は、死んでほしくないんだ。また神谷さんと話したい。他愛も無い話を、何気ない日常の一コマとして。」
神谷は黙って聞いてくれた。きっと感情が爆発しそうでたまらないはずなのに。でもそれはきっと、僕を信じてくれているからだろう。ただの慰めなんかじゃないってことにどうにかして気づいてほしいという僕の思いに、気づいたからなんだろう。
その信頼に応えるために、僕は何が何でも、しっかり最後まで言い切らなければならない。
「だから、これは僕の勝手な願望になってしまうけど・・・」
僕は言った。

「神谷さん、僕と、一緒に生きてくれないかな。」

その時、風が優しく頬を撫でた。






「なあ、愛。想はどんどん大きくなっていくな。」
「そんなに触っていたら、起きちゃうわ。」
「大きくなったら、どんな男になるんだろうな。」
「彼女とか、案外早く作ったりしてね。」
「俺は構わないさ。・・・でも、強くて優しい人に成長してほしい。」
「きっと大丈夫。私達が着いているもの。」
「想が困ったときは、俺たちでいくつも道を示すんだ。正しいだとか間違いだとか、そういう観念に縛られてほしくないから。」
「あなたらしいこと言うじゃない。」
「ああ。俺は父親だからな。想、どんなに辛くても、苦しくても、諦めちゃいけないぞ。」
「ふふっ、聞こえているかしら。」
「覚えていなくてもいいんだ。ただ、俺が言いたかっただけだから。大好きだぞ、想。」





なんだろうこの記憶は。

父さんは、こんな人だったのか。こんなに大きくて、頼もしくて、それでいて優しくて。

「櫻葉くん、」
僕はハッとした。
「ありがとう、本当に。そう言ってくれて、とても安心した。」
感覚的に、僕は泣いていたと思う。神谷と話していると、僕は僕をさらけ出せる。
「櫻葉くんと話しているときはね、なんだか私が私で入れるような気がした。」
神谷は微笑んだ。
「お父さんとも会えそう。怖くなくなった。」
つい僕はうつむいた。
「そんな顔しないで。たった一人の家族なの。でも、死なないよ。お父さんも死なせない。しっかり生きる。」
顔をあげると、神谷が指で僕の顔をなぞった。
「泣いてばかり、櫻葉くんったら。」
そういう神谷も、涙を流していた。でも、表情は柔らかくなった。

桜日和君に告ぐ ( No.2 )
日時: 2023/05/19 12:19
名前: いくら (ID: UIQja7kt)

僕は考えることを辞めていた。
彼女が教室に来なくても、僕はただ窓の外を眺め、一日を過ごしていた。
待っていれば、そのうち帰ってくると信じて。

「櫻葉、先生が呼んでるぞ。」
帰りのホームルームが終わったとき、宮地はそう言った。
起こると思っていた僕へのいじめは起こらず、無駄な心配をしただけだった。でも、相変わらず神谷のロッカーは汚れていた。
「今行くと、伝えてくれるかな。」
考えることを辞めた僕は、いつもよりも気が楽だったが、何かが欠けていた。

先生は廊下で僕を待っていた。
「ああ、櫻葉さん。君、神谷さんとよく話すんだって?」
「はい。」
「少しこっちの部屋で話そうか。」
と言われ連れて行かれたのは、教室から何メートルも離れた空き部屋だった。

胸騒ぎがしたのは、言うまでもない。

「さて、これは君宛の手紙だ。神谷さんからの。」
「あの、どうして神谷さんは何日も学校を休んでいるんですか。」
「彼女の家は訳ありでね。まあ、色々あるんだよ。」
この教師の発言は腹立たしい。ただそれだけだった。
「まあ、読んで。話はそれからにしよう。」
僕は封筒を開ける。一枚の紙が綺麗に折りたたんであった。

『櫻葉くんへ
お父さんとは明日会うの。時間が経てば、また前みたいに暮らせるかなって思ってる。
櫻葉くんなら、甘い考えだって言うかもしれないけど、希望くらい持ってもいいでしょ?
それに、今は援助してくれる大人がたくさんいるから、どうしようもなくなったときはその人達に頼ろうと思っているの。
櫻葉くんには本当に感謝しているけど、もうきっと会えない。学校には行かないことにしたから、
家でも勉強はできるし、お父さんのそばにいてあげたいから。
不本意だけど、この手紙を先生に頼んで櫻葉くんに渡してもらうね。私が学校に行かなくなったことを櫻葉くんが悟った頃に渡してもらう。
また会える日があると信じてる。
神谷より』

「先生、これは・・・?」
(希望くらいって、どういうことだ?)
「彼女にきつく口止めされていてね。申し訳ない。どんな事が書いてあるのかは知らないけど、用件はこれで終わり。さ、下校時間だ。」
わけがわからないまま、廊下に取り残された。その日、何日かぶりに雨が降った。

蒸し暑い夜、僕は久しぶりに夢を見た。



ぼんやりとする意識の中、時間が朝だということだけはわかった。ふと、テレビに目をやる。
「え?」
テレビに写っていたのは、神谷の顔写真。慌ててニュースの音量を上げる。
『今朝未明、〇〇高校の神谷桜さん十六歳が、自宅で亡くなっているのが発見されました。殺害したのは神谷守四十二歳。自ら交番に行き、自首したということです。彼は過去にも殺人を犯しており、二週間ほど前に出所したばかりだということでした。神谷容疑者は、「自分も死ぬつもりだった。怖くて死ねなかった。」と供述しています。警察は、現在事情聴取を進めています。』
頭が痛くなる。心做しか体が軋む音もする。
「なんで・・・?」
あの日僕は確かに聞いた。彼女は、死なないと言った。死なせないと。
何度も手紙を読み返すが、結論は同じ。
僕は間違ったんだ。
手紙のあの部分、僕が違和感を覚えた場所。

『希望くらい持ってもいいでしょ?』

これは、神谷は覚悟して父親と暮らすということだ。父親の罪悪感は、きっと僕が思うよりも凄まじい。
それは、娘に対する後ろめたい気持ちも同じはず。
神谷の父は恥じている。自身を、これでもかと言うほどに責めている。だがそれ以上に神谷を愛しているから・・・

停止していた思考は、激しく、目まぐるしく動き出す。
自分の頭を絞るように考える。
「くそっ!考えればわかったのに・・・考えれば!!」
後悔の念が尽きず、たちまち苦しくなった。
「神谷さんは、わざと・・・」
それがわかったとき、僕は僕の無能さを恨んだ。
「なんで僕は・・・」
神谷を信じていた。だから考えなかったんだ。そう、彼女を信頼していたから。
でも、見落としていた。
神谷がどんなに拒もうとも、父親がそれを許さないことを。
神谷がどんなに抵抗しても、大人の権限でねじ伏せられることを。

突然、視界がぼやけ始める。そんな中聞こえたのは、父さんの声だった。

「想、どんなに辛くても、苦しくても、諦めちゃいけないぞ。」

浅い記憶の中の言葉は、どんどん薄れていった。
「待って、父さん、待って!」

「想、大好きだぞ。」

「父さん!!」




「想!!」
母さんの声で目を覚ます。
自分の呼吸は荒くなっていて、脂汗が額に浮き出ていることがわかる。
「どうしたの、ずっと唸っていたのよ。」
「母さん・・・父さんが・・・」
母さんは「父さん」というワードを聞いて、少し動揺しているようだった。
「お父さんがどうしたの?」
造られた笑みで、母さんは布団をかけ直そうとした。
「父さんのこと、覚えていた。」
母さんははっとしたように僕を見る。
「父さんが、僕に、」
そこまで言いかけて、僕は止めた。

母さんが、泣いている。

それだけで僕の鼓動は早くなる。また、またあの時みたいになってしまうのではないかと。心配でたまらなくなってしまう。
そんな僕の心の内を読み取ったのか、母さんは慌てて言った。
「想、違うのよ。お母さん嬉しいの。ずっと、想にはお父さんの記憶がないと思っていたから、想は寂しい思いをしているだろうなって。させてしまっているだろうなって。だから、安心したの。お父さんのことを私が話せていたら良かったんだけどね。」
わかっていた。母さんが父さんのことを話そうとすると、たまらなく悲しくなってしまうこと。勝手に涙が溢れてしまうこと。
「ごめんね。」
母さんは小さく言った。
けど、僕の胸には大きく突き刺さった。
「何も謝ることなんてないよ。母さん、僕は父さんのことを思い出したんだ。もともと僕の頭の中にはあったんだ。父さんがいたんだよ。」
そう、僕は誰かに父さんを見つけてもらったんじゃない。自分で、こじ開けたんだ。硬い記憶のドアを。
死のうとする母さんを見て、怖くなって、僕は父さんの記憶を奥底に閉じ込めたんだ。忘れたんだ、父さんを。
「父さんは、僕に諦めるなって、言ったんだ。だから、もう言い訳にしない。ごめん、母さんには言っていないことがたくさんある。けど、これは僕の問題だから。」
母さんが最近、僕のことを探るように話しかけてくることにも気づいていた。
「もう少し、いや、もっと長くなってしまうかもしれないけど、いつか話すよ。全部、話す。約束するから。」
母さんはもう泣いていなかった。
「お父さんに似たわね、想。」
母さんは、僕の頭を撫でようと伸ばした手を引っ込めた。
「おやすみなさい。」
「おやすみ、想。」
母さんが部屋を出てから、僕は頬を叩いた。
(休んでいる暇なんてない。考えろ。どうしたら神谷さんを救えるか。)
なんてことない日常の中に、いくつもヒントは隠れていた。
手紙の封筒の裏を見る。


翌日、学校をサボって、住所を頼りに神谷の家に向かった。
「えっと、ここを左?」
道が複雑に入り組んでいた。郵便局を目印に進み、交番の角を曲がり、ようやくたどり着いた頃には日が高く昇っていた。

早まる鼓動をしっかり抑え、チャイムを鳴らした。


が、



「まさか・・・!」
悪い夢を思い出した。ドアを開けようとするが、鍵がかかっている。
「くそっ!!」
決死の覚悟でドアを蹴飛ばした。
バキッという音がしたと思うと、ドアは簡単に開いた。
「神谷さん!!」
部屋は薄気味悪かった。リビングの中心には、男が立っていた。




「助けてくれ・・・警察を・・・」




僕は無我夢中で神谷を抱きかかえた。神谷は冷たい。
「神谷!!」
自分の携帯で救急車を呼ぶ。
「すまない・・・桜・・・」
神谷の父親は、ただ呆然と立ち尽くしていた。
「桜・・・桜・・・」
「神谷を助けたいなら!!周りに助けを求めてください!!血が止まらないんだ!!」
父親の足元には、包丁が落ちていた。
「少年・・・桜を・・・任せた・・・私は交番に・・・・」
父親は、笑った。
怖い。その一言に尽きた。彼は急に走り出し、家を飛び出していった。
それを黙って見送ることしかできなかった。
「早く・・・早く・・・!!」
「櫻葉くん・・・?」
僕はハッとした。
(まだ生きている!)
「神谷さん!」
「櫻葉くん・・・来てくれたんだ。」
「今、いま救急車を呼んだ!もう少し頑張って!」
「もうだめだよ。だって今も眠いの。」
神谷の額に僕の涙が溢れ落ちる。
「ありがとう。気づいてくれたんだね。私のサイン。」
「ごめん、もう少し早く気づけていたら、僕は・・・」
「ううん、大丈夫。だって誰も私のことなんて助けようとしなかったから。櫻葉くんだけ、が、」
僕は強く手を握る。

「お父さん、また、捕まっちゃうな・・・」

神谷がそれ以上喋ることはなかった。




警察の事情聴取から開放され、母さんが呼ばれる前に僕は警察署を抜け出した。
僕はひたすら歩いた。
生きている心地がしなかった。

公園に立ち寄る。
少しでも油断すると神谷の事を忘れてしまいそうで、怖かった。

桜はとうに散って、青々とした葉が一面に広がっていた。
僕はそれを見続けることはできずに、近くのベンチに腰掛けた。

「想!」
「母さん・・・!?」
「やっぱりここだと思った。」
「なんで・・・」
母さんは僕を抱きしめた。
「ごめんね、気づいてあげられなくて。想が生きててよかった・・・。」
「母さん、なんでわかったの。」
「・・・お父さんと、よくここに来たの。春は毎年来たわ。桜が一番キレイに見えるところなのに、誰も来ないから穴場なんだって、よく言ってた。」
母さんは穏やかに微笑んでいた。僕は一頻り泣いたから、もう涙は出ないと思っていた。最近は泣いてばかりだ。
「想、どうして話さなかったの。お母さん、なにかできたはずよ。」
「ごめんなさい・・・。僕は、お母さんがまだ立ち直っていないと思ってたんだ。だから、心配をかけたくなくて。」
本音だった。何も偽っていなかったけど、僕はまだ母さんに罪悪感を感じていた。

その日、僕は初めて気づいた。
僕は子供だったことを。この世界の、何も知らなかったことを。

神谷の葬式には、僕と母さんと、担任の先生しかいなかった。
「この度はご愁傷様です。」
と声をかけてきたお坊さんと話をしている母さんを見つつ、きれいに整えられた神谷の顔を見た。
死体はもう喋らないし、笑わない。なんて、よく聞くけど、本当にそうだと実感した。

つい最近まで話していた。
ほんの少し前まで生きていた。

その事実が、僕をこれでもかと苦しめた。

「想、移動するわよ。」
「わかった。」
「そんなに見つめたら、桜ちゃん照れちゃうわよ。」
「いいんだ。いつも、ちゃんと顔見れていなかったから。」
「そんなに大切だったのね、桜ちゃんのこと。」
僕はハッとした。母さんは当たり前のことを言うように僕の顔を見ていたけど、ずっと、僕はその気持ちを伝えられないでいた。

神谷が焼かれていくのを感じながら、僕はそれ以上の参加は拒んだ。
外に出ると、煙突から煙が出ていた。
あれは神谷のだろうか。
漫画みたいに、神谷に囁かれることはなかった。



ここに来る度、思い出す。神谷のあの顔。
棺桶に入った、血色のない青白い顔。
でも、もう一つの顔も思い出す。ここに始めてきたときの神谷の顔。
未来を信じた、屈託のない笑顔と涙。

目の前にいなくたって、この世のどこにもいなくたって、ここにさえくれば、僕と彼女は繋がれる。
そう信じているから、僕は神谷とのことを忘れずにいられる。

十八の春。僕は覚悟を胸にやってきた。
「やっと成人したよ、神谷さん。」
息を呑むような桜の樹の下で、僕は根元にしゃがみこむ。

「一生君を愛します。」

桜日和君に告ぐ。


end

Re: 桜日和君に告ぐ ( No.3 )
日時: 2023/05/19 18:10
名前: いくら (ID: UIQja7kt)

追記書くの遅れました、すいません(汗)
改めまして、作者のいくらです!
この度は作品を読んでくださりありがとうございます!不慣れな中、無事に投稿し終えることが出来ました。これからも作品を投稿していくつもりです。不定期になってはしまいますが、見つけた際には読んでくださるとありがたいです!


Page:1



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。