ダーク・ファンタジー小説
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- ERROR_
- 日時: 2023/05/26 22:28
- 名前: 神崎 (ID: 4NhhdgqM)
2018年6月、日本は突然変異体『SIGMA』達により無差別大量殺戮が起こった。
結果日本の人口の約3分の2が失われた。
日本は東京エリア、上越エリア、大阪エリアで分断し、それぞれをモノリスで仕切った。
時は流れ西暦2029年、惨劇から11年が経過したある日、事態は動き出す。
この物語はフィクションです。実在する人物、団体とは一切関係ありません。
一気読み>>1-
人物紹介>>1
プロローグ>>2
第1章「異質」
1 >>3
2 >>4
3 >>5
- Re: ERROR_ ( No.1 )
- 日時: 2023/05/20 00:54
- 名前: 神崎 (ID: 4NhhdgqM)
主要人物
黒町風花 17歳 男
H.S.C.所属の東京藤海高校2年生。
11年前、御三家である柊木家で養子として過ごしていた。
SIGMA-DNAを0.03%組み込まれており、DNA活性化剤を投与すればすさまじい身体能力を発揮する。
柊木天汰 17歳 女
H.S.C.の社長で東京藤海高校2年生。
御三家である柊木家出身だが、当主である柊木黎之助を嫌い、嫌われ、H.C.S.を設立した。
美人。
生原蒼 11歳 女
SIGMA-DNAが組み込まれた19人の呪われた子ども(セファルキーパー)たちの一人。
知的だが、どこかあほ。
風花サイド。
富樫純儺 37歳 女
SIGMA-DNA開発者である謎の研究者。
風花たちに助言をくれる。
武蔵野風鈴 21歳 女
東京エリアを統括している首相。
御三家である武蔵野家の長女であり、次期当主。
- Re: ERROR_ ( No.2 )
- 日時: 2023/05/20 19:17
- 名前: 神崎 (ID: 4NhhdgqM)
プロローグ
ピピピピッ、という一定の間隔で機械音が鳴っている。
黒町風花は、ゆっくりとベッドから上体を起こす。スマホのディスプレイに映る自分は寝癖のついた、酷く寝ぼけている顔だった。
機械音の正体である、デジタル時計の目覚ましを止める。液晶に映っている時刻は9:10。
「...あ」
風花は一瞬で察した。今日が月曜で、学校があるということを。
慌ててスマホの電源を入れると、案の定同級生である柊木天汰からのメッセージと不在着信が大量に来ていた。
急いで制服に着替え、寝癖も直っていない酷い格好で学校まで走った。
自宅から学校までは5分で着くが、それでも既に1限目は始まっているので、急いでも意味はないのではないかという悪魔の囁きが脳裏をよぎる。
「よって、この式は成り立___」
勢いよくドアが開き、一瞬で教室は静寂に包まれた。
教室の隅の席に座る天汰は、頭を抱えていた。
「...黒町ぃ、お前遅刻とはいい度胸じゃないか...」
「あーいや、先生違うんすよ!だから許してほしいなーって...」
「あんた、今月何回目の遅刻?」
はぁ、と溜め息をつきながら言う。
屋上に二人、青春を感じるような場所かもしれないが、説教されていれば青春など感じない。
「6回」
「あのねー...あんたいい加減にしなさいよ」
「天汰さんだって遅刻してるじゃん」
天汰としては痛いところを突かれたのか、顔をしかめた。
「あ、あんたよりはしてないもん...!」
「してるなら人のこと言えないな。はい、俺の勝ちー」
「なんの勝負よ!?そんなんだったらH.S.C.解雇にするわよ」
- Re: ERROR_ ( No.3 )
- 日時: 2023/05/21 09:42
- 名前: 神崎 (ID: 4NhhdgqM)
第1章「異質」
1
時刻は18時を回った頃、空は茜色に染まり、パトカーのランプが赤く発光していた。
KEEP OUTと書かれた黄色のテープの前では警官と刑事が立っていた。
「ん?H.C.S.に害虫駆除を頼んだつもりはねえんだがな」
強面にしゃがれたか声は、背筋を震え上がらせる。
鮫島翔太だ。
「悪いな。でも依頼なんで仕方がねえ」
「っち、いつまでも警察の邪魔しやがって。民間の警備会社のくせに」
不機嫌そうに舌打ちをしながら、風花の方を睨み付ける。
今回の依頼は、神社の敷地内に突然変異体『SIGMA』の駆除。
「社長さんは来ねえわけだ」
「ウチの社長は忙しいんでな」
「その代わり私だ」
「なんだこのガキ」
目を見開いて驚く翔太に、ガキ呼ばわりされて生原蒼は怒った。
「誰がガキだ!私はもう11歳、ガキと呼ばれる筋合いはない!」
テープの内側に入り、風花は対SIGMA拳銃を装備した。
「そんなんでいいのかよ」
「これは対SIGMA戦を想定して作られた銃だ。見た目はただの拳銃でも、威力は下手すりゃショットガンにまで匹敵する。それに銃弾はカースヴァーナコーティング弾だから、折り紙つきってわけだ」
「ほー」
翔太は話を聞いていたのか聞いていなかったのか分からないような返事で答える。
鳥居を潜ると、そこには5mはある大型の蜘蛛が境内を破壊していた。
「こちら鮫島、SIGMAレベル2を確認。これより殲滅作戦を開始す___」
「っ!」
翔太が無線で連絡している間に、風花と蒼はSIGMAに向かって攻撃を仕掛けた。
風花は照準を合わせ、マガジン内の16発を全弾命中させた。
「おい!全然効いてねえじゃねえか!」
「っち!やっぱりか!」
「風花、来るぞ!」
蒼からの警告で、SIGMAの長い脚から繰り出される攻撃は回避できたが、地面は抉られ余計に足場が悪くなってしまった。
風花はロングマガジンを装填し、蒼に指示を仰ぐ。
「蒼!俺がヤツの気を引かせるから、お前が攻撃しろ!」
蒼は返事をせずに頷くだけで、恐ろしい速さで移動した。
セファルキーパーの身体能力には驚かされるばかりだが、風花もSIGMA-DNA組み込まれた死に損ないなので、負けていられない。
スライドを引いて、狙いを合わせる。トリガーに指をかけた。
すると、辺りに炸裂音が鳴り響き、火薬の臭いが充満する。思わず咳き込みそうになるが、そんなことをしている場合ではない。
「今だ!蒼!」
風花が叫ぶと、上空から蒼が踵落としをしながら落下し、SIGMAの頭部を叩きつけた。
「はぁぁぁぁぁ!!」
金属と金属がぶつかり合ったような甲高い音が響き渡り、紫色の体液を撒き散らしながらSIGMAは活動を停止した。
戦闘が終わったことによる疲労なのか、息が上がり肩で呼吸する。
「...もしもし、天汰さん。ああ、終わったよ」
天汰に連絡を取り、任務が終わったことを知らせると、通話を終了させてそのまま死体処理の手伝いもせずに帰った。
「ただいまー」
いつもなら返事が帰ってこないはずだが、電気が点いており誰かが部屋のなかに居るということが想定できる。
「おかえりなさい」
しかし不審者だとか、そういう心配をする必要はなかった。
漆黒の長い髪を、後ろでまとめている少女。
「悪いな天汰さん、夕飯まで作ってもらって」
「いいのよ、どうせ私は前線に立てないんだから」
その言葉に、少しだけ風花は悲しい顔を浮かべた。
天汰は中学生の頃両親をSIGMAに殺され、その時に腎臓の半分が機能を停止し、そのため短時間でもスピードとパワーを生かした刀を使う戦闘スタイルの天汰は、もう前線には立てない。
「でも私は見たいぞ、天汰が刀を使っているところ。免許皆伝なのだろ?」
「あのな、蒼___」
天汰は風花の言葉を遮り、優しく微笑みを浮かべて言った。
「じゃあ今度、私と風花くんが模擬戦するから、審判よろしくね」
「おー!やったー!」
無邪気に喜ぶ蒼を横目に、風花は勝ち目がないと心の底で思った。