ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ただ君のため
- 日時: 2023/07/16 19:27
- 名前: 闇見レイ (ID: BL8fZ.Pl)
朝日の注ぐ、くだり電車の中。
いつも通りガラ空きの車内。
適当なところに座り、かばんを抱き込み目を閉じる。
学校につくまでの四十分弱。
僕はいつも、すべきこともやりたいこともなく、
ただ一人、深い眠りへ身を任せる。
君がいなくなったあの日から、僕は深い深い眠りの中、君を探している。
何度探したって見つけられない。夢の中でさえ、会うことを許されないんだ。
そうわかっていても君の面影を探すことをやめられない。
君がもう死んでるなんてこととっくに理解してるはずなのに。
それでもまだ、僕は君に心を奪われているんだ。
- Re: 僕の幸せと呪縛 ( No.1 )
- 日時: 2023/07/16 19:39
- 名前: 闇見レイ (ID: BL8fZ.Pl)
二年前の秋。君と僕は出会った。
僕と君はお互い高校三年生だった。
僕通ってた高校と君の通ってた高校が共同で企画したイベントで初めて会った。
君は司会をしていた。君のその鈴のような声に僕は心つかまれたんだ。
翌年、彼女と僕は同じ大学に入った。僕は毎日、君を眺めてた。君に告白したのも、このころだ。あの夏の日のことはまだ鮮明に覚えてる。そういえば君は友達を作るのが上手だった。バレーボールサークルでも活躍してた。試合はいつも見に行って応援した。汗を流しながら真剣な表情していてとてもかわいかったな。ある試合の打ち上げで君が泣いてたのも覚えてる。
二年生に上がり授業が重なることが多くなった。僕はいつでも君を見ていた。彼女は少し目が悪くなったようで僕と目が合うとにらんでるみたいになっていた。すぐに僕は彼女のために眼鏡を買ってあげた。家でつけてるのか大学でつけてるとこは見なかった。そして僕はちょくちょく彼女の家に行くようになった。合いかぎを持っていたから彼女がいないときも遊びに行ったりした。
三年生になり君が変な男といるとこを多く目撃するようになった。君は少し天然だから騙されているんだろうとお思い、相手に殴り掛かったこともあった。それでも頭がいかれているのか相手は君の名前を読んで逃げろだのなんだのほざいていた。僕は君の腕をつかみ、唇にキスした。男に彼氏は僕だと見せつけるために。男は悔しかったのか逃げていった。君は男が去ると泣いてしまった。よほど怖かったんだろうな。彼女はえずいたので、何とかしようと僕が水を買いに行ってる間に君は消えた。それから少し、君は大学を休んだ。心配で家にも行った。毛布にくるまり君はひどくおびえていた。声も出てなかった。ただ真っ青で震えていた。僕は彼女にキスをして帰った。少しすると大学にも復帰はしたが、君は不安そうな顔をしてるので一緒に通学することにした。でもやっぱり怖いようで震えていた。電車の時間をずらしたりもしていた。よほどのトラウマらしい。僕が君のことを守るといい一緒に通学した。それから一週間後、君は自殺した。
- Re: ただ君のため ( No.2 )
- 日時: 2023/07/17 10:45
- 名前: 闇見レイ (ID: BL8fZ.Pl)
家で首吊り自殺したらしい。風のうわさで聞いた。僕は噂を聞き、君の家に行った。柱に括り付けられたロープ。踏み台。それらを目にした。生々しすぎる現場を前に君がいなくなったことを悟った。葬式には行かなかった。涙をこらえられる自信がなかった。
僕はあの時、生きる目的を見失うと同時に、あの男を呪った。
あいつのせいで自殺したんだ。
あいつのせい…
あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつの、あいつのせい。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。
あれから、僕はあいつを尾行した。毎日。朝から晩まで。合いかぎを作り家もあさった。贅沢に豪華なマンションに住んでいた。あいつの部屋は女のにおいがした。女物がいろんなとこにあった。ただ女に合うことはなかった。やはりくずだ。許せない。ただ僕には復讐することはできなかった。家に侵入した直後にあいつは引っ越ししてしまった。どこに行ったのかの検討もつかない。ほんとに僕は生きる目的を失った。
そして今は、一緒に通学してた電車に乗って、夢の中で君を探す日々だ。
- Re: ただ君のため ( No.3 )
- 日時: 2023/07/16 20:13
- 名前: 闇見レイ (ID: BL8fZ.Pl)
大学につき授業を受け、家に帰る。ただそれだけの日々を過ごしている。サークルには入っていないし、友人もいない。そもそもわざわざ遠い大学に入ったのは君がいたからなのだ。もうここにいる理由もない。俺は大学卒業後は実家のほうへ戻るつもりだ。向こうで就職する。そして君に会えずに生きていく。大学卒業も遠い話ではなく、あと二か月やそこらの話だ。それまでは今までと同じ生活を繰り返すだけだ。
- Re: ただ君のため ( No.4 )
- 日時: 2023/07/16 20:24
- 名前: 闇見レイ (ID: BL8fZ.Pl)
大学を卒業した。四年ぶりぐらいで実家に帰った。両親は変わらず元気そうだ。就職はこれからだ。稼げるまでは実家に置いといてもらうつもりだ。僕の部屋に荷物を置き、ベッドに寝転ぶ。特にすることもなくそのまま寝落ちした。夜に親に起こされ、卒業祝いと焼き肉屋へといった。親は相当浮かれてるのかだいぶお酒を飲んだので、帰りに気持ち悪くなり、俺はコンビニへ水を買ってくるよう頼まれた。コンビニへ行く途中で懐かしい声を聞いた。君の声だ。声のほうへ目をやる変わらない姿の君がいた。声を掛ける。距離があり聞こえなかったようだ。僕は君の手をつかんだ。君は…
君の顔は…
- Re: ただ君のため ( No.5 )
- 日時: 2023/07/17 10:41
- 名前: 闇見レイ (ID: BL8fZ.Pl)
無表情だった。
腕をつかまれても何の反応もない。
すぐ軽く手を払ってきた。
君はそうするとまた歩いてった。
意味が…分からない。
君は自殺したはずだ。でも僕が死体を見たわけでもなければ、葬式にも行ってない。
下記途中
Page:1