ダーク・ファンタジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

木曜日、私は。
日時: 2023/09/08 09:34
名前: 木兎 (ID: l6vzVUz4)

下校時間を告げるチャイムが鳴り、クラスメイトの8割が教室を出る。
「ねぇ、今日公園行く?」
「それよりさ、駅前のカフェ、オープンしたらしいから行こうよ!」
「えっ!行きた〜い!」
廊下から聞こえる声はいつも楽しそうな声ばかり。明るい声を聞けば聞くほど、自分が学校に馴染めていないことを思い知らされる。公立の高校だから中学からの友達がいると思えば、中学や小学校の友達は殆ど私立高校に通っていた。そして、無駄なぐらい話したことのない中学のクラスメイトがいた。
机にかけてある鞄を手に取って教室を出ようとした時、高い、可愛らしい声が耳元で喋るのが聞こえた。
「あれ〜?高橋さん、帰っちゃうの〜?」クラスの一軍女子の北野さんだ。北野さんの友達の前田さんが席に座りながら「この後、用事ないなら一緒に遊ぼうと思ってたんだけど」と半笑いで言う。
この人たちの「遊ぶ」は理解できない。どこが楽しいのかも。人のことをいじって、笑って。何が楽しいんだろう。「あぁ、ごめんなさい。私…」
「あ、そうなの…ごめんね。じゃあまた明日」北野さんが微笑んで私から離れる。
「皆さん、また明日」先生が微笑みながら教室を出た。
「また明日、先生」北野さんが返事をする。
先生が教室を出て、先生が近くにいないことを確認した途端、北野さんの顔から笑顔が完全に消え、「覚悟しとけよ」さっきと比べものにならないぐらいの低い声で北野さんが言った。意味がわからなかった。何に対して覚悟しなければいけないのか。


『東京都の緑ヶ丘高校の生徒が屋上から飛び降り死亡しました。警察、当高校の先生方は原因を調査中の模様です』
テレビに映されたニュースで、アナウンサーの女性が校舎の前でマイクを持ちながら喋っている。
『死亡した生徒の同級生などにインタビューを伺いました』アナウンサーの声が入り、画面が変わり、その学校の生徒らしき人が泣きながらインタビューに答えている姿が映し出された。
『本当に、悲しいことです。彼女はほんっとうに元気な子で、元気のない日なんて無いぐらいでした。自らの行為とは思いにくいです。ですが、その子のことをよく思っていなかったような方もいるので友達の間では他殺ではないかと話しています』映し出された人は制服の袖で涙を拭いたり、顔を覆ったりしていた。
他の人が映し出される。『信じられません。◼︎◼︎ちゃんがいないなんて。なんでこうなったのかは見当すらつきません。本当に……まだいて欲しかった。私の命を◼︎◼︎ちゃんにあげたい程です』その人も顔を覆ったり、涙を拭いたりしていた。
再び画面が切り替わり、アナウンサーの人が口を開け、『や…』と言った瞬間、

「…………っ!!」目が覚め、布団から飛び出してしまった。いつも、その日見た夢のことはどうしても思い出せないのに、不思議と、今日の夢ははっきりと覚えている。時計を見ると、時針はまだ4を指していた。
まだ学校まで時間がある。でもまた寝るのには時間が少ない。夢のことをノートに書いて暇つぶししよう、と思った。
未使用のノートを取り出し、今日の日付を書く。自然と手が動き、今日見た夢を書く。1時間って長いと思いきや意外の短いものだ。書き終わった頃にはもう2時間が経過していた。
こんな書くのに時間かかる内容だっけ…?
もう一度ページを読み返してみる。「緑ヶ丘高校」書いてる時は意識しなかったけど、緑ヶ丘高校は私が通っている高校の名前だ。あくまでもこれは夢だ。実際かはわからないんだ。どこかで北野さんでありますように、と願いながら。


小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。