ダーク・ファンタジー小説

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死して賢者となる
日時: 2023/09/27 17:07
名前: 111匹の猫 (ID: CDmrGdY1)

目の前に飛び散る血。

死してなおこのじごくから開放されないどうし

俺には、同士とどうしが殺し合う音がただぼんやりと聞こえる。

「見にくい世界よのぉ、勇者。」

もはや動けぬ俺の首に、魔王は剣を突き立てる。

「貴様はなんのためにこの世に存在している?何故こんな事を平然と行う?貴様が存在することで、一体何億人の人生を壊したッ!」

「...。私は、救えなかったのだ。」

「...は?」

「まだ何も知らず、勇者勇者ともてはやされ死ぬお前ごときには分からぬだろう。」

「俺は絶対に貴様を許さない。」

「フッフッフッ。なんとも皮肉よのぉ。」

笑いながら、魔王は剣を持ち上げる。

「何がおかしい。」

「お前は、この天命から逃れることはできない。もがき、苦しみ、絶望し、、、」

魔王が剣を振り下ろす。

「救え。」

そこで、俺の意識は途絶えた。



ここはどこだ?

眩しい。天界というところに来たのか?

パリーン

目の前には女が俺のことを見て棒立ちする。メイド服を着た若い女。

「旦那様!レオ様が眼をお覚ましになられました!」

レオ?俺のことか?

バターン

扉が勢いよく開く。

「レオ!良かった!このまま目を覚まさぬものかと!」

立派な髭をはやした初老の男が、俺に抱きついてきた。

ここはどこだ?お前は誰だ?

声を出そうとしたがうまく喋られない。

「なんだ?どうしたんだ?」

「旦那様。長らくおしゃべりになられていなかったので、声が出ないのですよ。」

「そうか、よかった。」

何も良くない。俺はどうすればいいんだ。

「ん?どうしたその手の痣は!?」

右の手の甲を見る。そこには俺が勇者である証が刻まれている。いやまて、人間なのにこの紋章を知らないのか?

「きっと奥様が神に祈り御曹司様をお助けになられたのです。」

「そうか、ステラ。ありがとう。神よ!感謝いたします!私共はこの子を後世大事に育て、この国の立派な王にしてみせましょうぞ。」

国?なんのことだ?訳がわからない。

「アスヴァル様!報告します!隣国のルーメン王国の王子が生まれたので、ルーメン王からスロマニア帝国からの祝辞をいただきたいとのことです!」

「分かった。今日陛下にお伝えしよう。」

ルーメン?スロマニア?そんなもの俺の生まれる6年前、跡形もなく滅んだだろう。

...!

「いま、なんね...んだっ...。」

「レン様!今は天暦1437年、あなた様が眠りについてから2年半ほどです。」

おいおいまじか。だんだんわかってきた。つまりコレはこういうことだ。

俺は自身の生まれる22年前、全く別人の体に、勇者の力を持ったまま、

転生した。


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