ダーク・ファンタジー小説

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希望にも寿命がある
日時: 2023/11/05 00:43
名前: 夜霧聖奈 (ID: 7GPkHSud)

あれからどれだけ経っただろうか。10?100?いや、1000かもしれない、不死という地獄に陥ってしまっては時間も解らなくなるのだ。
「雫〜!どうにかして~!!」
仲間の助けを呼ぶ声に私はすぐさま駆けつける。嗚呼、こんな事が永遠続いていたはずなら私は何をしていたんだろう…そんな事を考え私はナイフのように鋭く尖った眼で奴をみた。そんなことで奴は怯むわけがない、だってこいつは私を作り替えた"創造神"だから。すぐさま奴は私の方に眼を向けた。向けられた眼は余裕たっぷりの眼差し、だがどこか不気味さを感じる。その瞬間眼の前がクラッと一瞬歪む、それと同時に頭痛も感じた。大した頭痛ではないが、私にとってその頭痛には恐怖が混じっていた。
「アハッ、怖かったかな?」
自分でやったくせに自分で励まそうとする。ただただ怒りが湧いてくる、私の頭を撫でようとする手を私はガンッと振り払った。
「逆らう姿も綺麗だなぁ…」
全身に寒気が走る、今まで感じたことのない悪寒。気持ちが悪い……!
眼の前から奴が消えたら私はすぐさま扉を開け、館を徘徊する。ふとすれ違った、私と同じような子がこっちに眼を向ける。
「……?」
生憎私は奴のせいで喋れない、でもこの子は私に喋る。
「…ねぇ、貴方も"造り替えられた"子?」
「……!!!」咄嗟に手に文字を書く。「「そうです。あなたも造りかえられたのですね。」」
手に文字を書く私も見て喋れないのね、と察知してくれた。優しく笑顔を向けてくれた彼女は私に光を見せるような気がした。その笑顔につられて私も思わず笑ってしまう。
「っと、もう時間だね。さようなら、会いたいなら同じ所に来てね。」「「コクッ」」
フフッと笑う彼女は其の儘手を振り別れを告げた。
彼女が去った後、私も嫌嫌奴の所へ帰る。時間だからだ。
「おかえりシズク、彼女と話すのは嬉しかった?」
「っ…!」
バレてるとは思わなかった、向けられた視線には余裕と殺意が写り込んでいた。怖い、嫌な予感がする。咄嗟に奴を睨んだがさっきの殺意は無くなっていた。

〜翌日〜

「おはよう、シズク」
「……」
また夜はやってきた。いつも通りの生活がまた繰り返される。記憶には彼女が残っていた。
((会いたいなら同じ所に来てね。))
だが彼女は奴にバレている、気に入らないものは壊す、それが奴の脅威。なら殺意を向けられた彼女は?俺に唯一希望を見せてくれたあの子は?昨日の嫌な予感を覚え同じ時間になればできるだけ早く昨日の所へ行く。
「おっ、来たんだ〜そんなに話したかったか〜♪」
「……」「…?なんでそんな不安な眼でみてるの?」
「「君が壊されてしまうかもしれない」」
「…ッえ?」
驚くのも仕方がない、自分に危機が迫っていることを伝えられたんだ。
「「だからお願い、一緒に逃げよう」」
「……いいよ。ありがとう、伝えてくれッ…!?
彼女は後ろからする殺意に硬直した。咄嗟にの反応でなんとか守れた。やはり殺意の正体は奴だった。嫌な予感は当たってた、急かすように彼女の手を引っ張りやつから逃げる。奴は一気に距離を縮め眼の前に立つ。私は死ぬ気で彼女を守りながら窓に飛び込んだ、彼女は今何が起きているか解らない状態で引っ張られるまま硬直していた。彼女は奴とは別のやつに造られたはずだ、奴が一番上なのは知っていたから当然技術力も変わってくるだろう。その差だ。なんとか逃げれた、とりあえず一安心、油断は出来ない、私を造り替えた本人が見つけられない訳が無いもの。
「っ…ハァ、ハァ…」
「ありがとう、助けてくれて、また借りが出来ちゃった。」「「油断は出来ない。君がいつ襲われるかも解らない」」「わかってるよ!そのくらい〜!」ふざけるような高い声で彼女は話す。その声はたちまち低くなる。
「アルカ・ヴァーレ、最高権力者って言うのかな。…なんでこんな事するんだろう…」
ごもっともだ、変哲もない人を造り替え何がしたいんだ。そのせいで日が出ている時は出歩けない。
「ッ…!!危なぃ゙‼」キィィン 
また彼女の後ろからした殺意に俺は抜けた体を奮い立たせる。だがそのせいで咄嗟に声が出てしまった、あぁ…最悪だ。私が声を出してはいけない理由、"逆らうな"
同時に精神が歪み頭が割れるほどの頭痛を喰らう。
「ッ…!!ア、ガッ…グッ、や…メ…アァァァァァァァァァ""!!!!」
「あーあ、言ったでしょう、逆らうなと。」
「ッ~!!!アルカ・ヴァーレ…!!」
「ヤァ…メ…イカ…ナグッ…アグゥ……オネ…ガ…」
彼女は自身の武器メリケンサックを持ち出し奴と戦おうとした。私は止められない、何も出来ない。奴は俺を後ろに彼女に目を向ける、あの時と同じ、余裕たっぷりの笑みで。彼女はそれだけで震えていた、眼にもどこか恐怖が混じっていた。
「早く終わらせようか。」「ッ!!」
彼女が切り刻もうとした腕は空気になっていた。瞬時に後ろに振り翳すもあっさり避けられてしまうそうすると奴は彼女の頭を潰す。何も発すること無く彼女は壊されてしまった。返り血を浴びながら何も考えられない自分がいた。満足そうな奴の眼を見るだけで震えが走る。同時に頭痛も酷くなり意識が無くなりそうになる。必死に掴んでもそれは歪み暗くなる。
「シズクには孤独が似合う。希望の寿命は短い。そんなものを追うなら最初から孤独な方がいいだろう?」
「っ…!!フザ…ケヤ…ガッ…ア、グッ!!や、め」
奴は私の首に手を伸ばし爪が食い込むまで力を強くした。私の意識はそこで途切れた。





ーアルカ様の仰せのままに。






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