ダーク・ファンタジー小説

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選ばれし者
日時: 2023/11/29 18:27
名前: t (ID: 7Dfda974)

秘密が今、導かれる。

Re: 選ばれし者 ( No.1 )
日時: 2023/11/29 18:39
名前: t (ID: 7Dfda974)

1
学校を終えると、僕は家路を歩いた。
日差しは落ち、夕闇がもうすぐやってくる、そんな午後の気配を感じながら、バスを待つ。
そのさなか、僕は今日あった出来事を思い返した。
友人の佐山が新しいジャケットを買った。それを聞かされ、僕は大して興味はないが頷き興味のあるふりをした。本人からすれば、バイト代をはたいて買った服だ、特別なものに違いない。
今日の出来事は、こんなものか。あとは、大したことはない、いつもの平日だった。
バスが来ると、ゆっくり乗り込んだ。

自宅に着くと、宿題をさっさと終わらせ、適当にテレビを流しながらスマホを操作した。今日の佐山の出来事があったので、ジャケットのオンラインショップを見ていた。しかし、僕には分からなかった。ファストファッションの方が明らかに安いのに。
最近好きなバンドがアルバムを出したこともあり、ネットで音楽を流した。軽快でありながらも、重厚感がある、唯一無二のバンドだ。と、僕は思っていた。SNSを見たり、音楽を聴いているうちに、時間は流れた。
ふと、テレビに視線を移すと、ニュースをやっていた。アナウンサーが話す。
「続いてのニュースです。通り魔が現在都内に出没しており、警察は行方を追っています」

Re: 選ばれし者 ( No.2 )
日時: 2023/11/30 10:55
名前: t (ID: 7Dfda974)

2
ニュース番組が終わると、バラエティ番組になった。もう7時か。夕飯を食べるため、自分の部屋を出て、台所へ移動する。僕の両親は、20時まで帰ってこない。働きすぎだとは思うが、僕の自由な時間が増えるからむしろ好都合だった。テーブルの上にある、ラップに包まれた料理の乗った皿を電子レンジで温め、ご飯と一緒に食べた。
夕食を食べ終え、食器を流しに置くと、自分の部屋へ移動しようと体の向きを変えた、その時だった。インターホンが鳴った。僕は体を止め、玄関の方を見た。そして、右に視線を移し、居間にある時計を見た。7時15分。両親がこの時間に帰ってくることは今までなかったが、今日は早く終わったのか。玄関に移動し、鍵を開けた。ドアを開けようと取っ手に手を添えた時に、「両親なら鍵を持っているから、呼び鈴を鳴らす必要はないんじゃないか」と思った。だが、ドアを開けた時にはもう遅かった。右手に赤く染まったナイフを持った男が中に入ってきた。僕は羽交い締めにされ、何が何だか分からぬまま、身を任せた。後方から、男が僕にナイフを突き付けたまま、言う。
「声を出せば、刺す。オレをかくまうんだ。分かったな」

Re: 選ばれし者 ( No.3 )
日時: 2023/12/01 16:46
名前: t (ID: 7Dfda974)

3
午後7時30分。僕は台所の隅に追いやられた。目の前には、ナイフを持った40代くらいの、中肉の男性が立っている。灰色のパーカーは少し赤く染まっている。既に被害者がいるのだろう。だが、最終的に籠城する場所に選んだのが僕の自宅とは、不運だとしか言いようがない。男性はスマホを操作しながら、「動くと刺すからな」と独り言のように言っている。僕は従い、動かないようにしていた。何かを喋ろうか、とも思ったが、何をするか分からないから、黙秘する他なかった。次第に時間は過ぎていく。体感で10分ほど経っただろうか。男性が「動くんじゃねえぞ!」と怒鳴った。僕は頷いた。男性は辺りを見回すと、冷蔵庫を開けた。中を物色すると、ゼリーを取り、食器棚からスプーンを取り出すと、食べ始めた。ものの3分くらいで食べ終えると、カップを床に投げた。スプーンを流し台に置くと、再び僕の方に近寄り、ナイフを向けた。
「今、警察に追われてるんだ、明日の朝まではここに居させてもらうぜ」


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