ダーク・ファンタジー小説

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右足④
日時: 2023/12/24 10:42
名前: 螺旋兎−lasemu− (ID: biJQLDUz)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13874

走って走って走り続けた僕は、へとへとだった。
やっと雨野の家に辿り着いたその時、僕は目を見開いた。倒れていたのは雨野ではなくて、航だった。
その横に雨野が果物ナイフを持っていた。
くだらない話だが、この星では果物ナイフで人は殺せない。
航も、血を流しているわけでもなく、ただ倒れているだけだった。
生きろ。
何かがそう航に言いかけた。言いかけたとこで、やめた。
航の声がした。「私は」
「私は…ワ゛ダジは…ッ!」

でも、航の声がしたのは雨野からだった。
雨野が、千鶴が、涙を流して僕に訴えていた。
周りのラクガキが全て雨野の仕業に見えた。

「大丈夫。僕が今、楽にしてあげるから。」

そう言って僕は航の体を、背負って、雨野の手を引っ張って、病院へと向かった。
どうしようか…とりあえず「ワタル」は精神科で…「チヅル」は皮膚科か…?
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これが当たり前になっていた。
「アシタ」も、「アサッテ」も、ずっと同じことが続いた。
でも毎日、朝になると航も雨野も元気で僕を待っているのだ。〝ベランダ〟から。