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ダーク・ファンタジー小説
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- 寒帯の勇者 第一話
- 日時: 2023/12/25 20:53
- 名前: 緑柳零 (ID: 4fvD1.Kt)
少年ジャーファが目指したのは,灼熱の地と呼ばれる王国だった。
ジャーファは,生まれ故郷である村「ラッテラ」を真っ黒な肌の民族に焼き払われた。
三日三晩かけてその民族が持っていた地図を解読した結果,その民族は「焔族」と呼ばれる強国の民族らだと分かった。
ジャーファは,かつて勇者だった祖父の衣装を身につけ,旅に出ることを決心した。
しかし,厄介なのは,灼熱の地を縦断するには,「龍の國」を越えなければいけないことだ。
龍の國の民族「緑龍族」は,かつて灼熱の地と寒帯の地を戦場へと導いた一族だったと,ジャーファは祖父から聞いていた。
(ここに入れば,僕は一瞬で倒されるんだろうな。)
ジャーファは悟っていた。
彼が暮らす地は「寒帯」であるため,水を毎日かけた木は忽ち鉄も同然の硬さになる。
しかし,緑龍族は魔術を使う一族だそうなので,やろうと思えば木の剣なんて一瞬で壊せてしまうだろう。
それに,龍の國は灼熱の地の近くなので,相当暑い。氷が溶けるのも時間の問題だ。
(どうやって立ち向かおう?)
ジャーファは,簡易テントの中で一晩中考えたのだった。
この時のジャーファは知らなかった。
この一族は,彼の思っている以上に強いことを。
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