ダーク・ファンタジー小説

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魔界にうまれた僕達の、
日時: 2024/04/14 07:06
名前: のゆり (ID: 7NQZ9fev)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13818

 はじめまして、お久しぶりです、のゆりです。

 今回は前作と打って変わってファンタジー小説を執筆させていただきます。




 ここは魔界。魔力があって当然の社会。
 そこでうまれた全く魔力を持たない同性愛者の少女と、莫大な魔力を持つ王女の、淡い恋の物語。
 「魔界にうまれた僕達の、」開幕___。

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Re: 魔界にうまれた僕達の、 ( No.1 )
日時: 2024/03/10 06:55
名前: のゆり (ID: 7NQZ9fev)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13818

 <設定>

 魔界では、すべての人間が魔力を持ち、魔法や魔術が扱えます。
 魔法属性は5種類+α。(火、水、氷、風、雷)
 魔法属性は、家系のものを受け継ぎます。
 武器は杖、ステッキ。防具はローブで、各属性の象徴である色(赤、水、青、緑、黄)
 を身に纏っています。
 王族だけは異属性で、光・闇を扱います。

Re: 魔界にうまれた僕達の、 ( No.2 )
日時: 2024/01/14 11:05
名前: のゆり (ID: 7NQZ9fev)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13818

 !百合要素&性的少数者注意

 この世界すべての人間が魔力を持つ魔界。
 そう、私以外の人間はみんな、魔力があるのにね。


 空の色は紫。大きな月が浮かび、コウモリが宙を舞っていく。
 視点を少しずらせば、黒や紫を基調にした大きな城が建っている。
 地面は黒レンガで、道の横には美しい薔薇の花が咲いている。
 大魔法王国____通称、魔界。
 今作はこの魔界を舞台に、様々な奮闘を描いた魔女のお話。

 魔カ検査______約1歳になった子、全員が受ける検査。
 魔力があるか、魔法耐性はあるか、魔法属性は遺伝しているか、魔法使いなのか、魔術師なのかを調べる。
 ほぼ全員が1歳までには魔力をつけているため、早い段階での検査が可能なのだ。

 そこで私は、魔力が1ミリも無い事を伝えられた。
 両親が雷属性なので私もそうだろうと、知人が言っていたのに。
 私の魔力が無いという事が分かっても、両親は変わらず接してくれた。
 ただ、同じ雷村に暮らしていた人達にもその噂は広まり、私が通るたびに影口を言っているようだった。
 でもそれが段々悪化し、終いには面と向かって大人数に罵られ、魔力あげると言われて雷魔法を当てられた事もあった。
 ボロボロになって帰ってくる私に、両親は心配し、もう外に出ない方がいいかもね、と言われて以来、外に出る事は無かった。

 ある日のこと。
 いつも通り村の一角、小さな自宅で両親の帰りを待つ。
 魔力が無いので魔法学校なんて行けないし、将来はのんびり暮らすつもりなので、
 やる事も無く、ただただ時間経過を待つだけ。
 の、はずだった。
 窓の外を眺めていたら突然、可憐な少女が現れた。
 思わず逃げようとしたが、
 「私は国王の娘のローズ。敵では無いので安心して。」
 と言われ、取り敢えず家の中に入れた。
 ローズ姫…を座らせて、お茶を用意しようと立ち上がったら、またまた止められてしまう。
 何の話題かは見当が付く。私は吐き気を必死に抑えながら、ローズ姫と向かい合う。
 「トワ・マディカさんで良いかしら」
 「はい」
 「マディカさん、貴女魔力が無いと聞いたわ」
 「……そう、ですね」
 「私には普通に魔力がありそうに感じるのに、不思議…」
 「…」
 「魔力が無いからって、悪く言われたりもするの?」
 「外に出てた頃は、そうですね。言われてました」
 へぇ、と真面目な顔で呟くと、また明るい顔に戻った。
 「私ね、魔法は才能だと思うの」
 「つまり、私には才能が無いと?」
 「違うわ!私が言いたいのは…」
 ローズ姫は立ち上がって、私の手を握る。
 「才能があれば、魔法は使えるって事よ」
 その時のローズ姫のステンドグラスの様に輝いた瞳を見て、
 私は恋に落ちてしまった。

Re: 魔界にうまれた僕達の、 ( No.3 )
日時: 2024/01/21 09:01
名前: のゆり (ID: 7NQZ9fev)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13818


 __あれから、何年経つだろう。
 ローズ姫はたまに私の家を訪れるようになり、その度に元気を貰っていた。
 活発的で、でも上品で。会う度会う度、好きになっていく。


 でもその日は急に訪れた。

 ある日を境に、ローズ姫は来なくなった。
 もう大丈夫だと思われたのだろう。でも、そんな訳がない。
 私は、____私は、ローズ姫が好きだったから。

 あれから、何年経つだろう。
 あの日、ローズ姫がローズ女王に変わった。
 莫大な魔力を持ち、ついにその手で抑え込む事が出来なくなった彼女。
 その手の中にある物は黒く光り、部屋中を覆う。
 心配して部屋を覗きに行った執事や兵士はその光に呑まれ、帰って来なくなった。
 どうしたものかと王や妃が見に行くと、胸を押さえて泣きながら何かを叫ぶ彼女の姿が。
 「___で」
 「__いで」
 「_ないで…!」
 「来ない…で…!」
 そこで王と妃は亡くなった。
 今になっても終わらないローズ女王の暴走。



 ……って言うのを聞いた。
 最初はびっくりしたけど、少しずつ受け入れる事にした。
 点と点が繋がる。
 私の家を訪れなくなったのは、彼女自身、違和感を抱いていたのではと思う。
 きっとローズ女王の事、迷惑かけたくないと思ったのではないか。
 それで彼女は城の外に出なくなったのだろう。
 でも現状は悪化し、最後には部屋を出るのも困難になったのだと思う。
 彼女が私を見捨てた訳ではないと思いたいのか、考察が捗ってしまった。
 でも、ここまで予想できてしまうと、どうしてもこう思ってしまう。
 私に光をくれたローズ女王のように、私もローズ女王に光をあげたい。
 無理だとは思う。だって、私はこの魔界で唯一、全く魔力が無いんだから。
 それでも助けたい。助けてもらった私だから、助けたい。
 何か方法を考えよう、私が女王を助ける方法を。
 そうか、私だけで無理なら、仲間をつくればいいんだ。
 雷属性の人達は私の事見下してると思うから、他の属性の仲間を集めよう。
 「これなら、きっと……!」
 私は白いローブを羽織り、外へ向かった。

Re: 魔界にうまれた僕達の、 ( No.4 )
日時: 2024/01/28 08:46
名前: のゆり (ID: 7NQZ9fev)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13818


 仲間……か
 火、水、氷、風、雷__。
 雷は無いとカウントして、まずはどの村に行こうかな?
 仲間は何人くらい居ると良いんだろう。
 とりあえず私含め4人かな。水と氷はほぼ同じだし、どっちかって事で。
 じゃあ近い村から訪ねようかな、まずは炎村に行こう。
 「大丈夫…私はもう…何も怖くない…!」
 女王の苦しみと比べると、私の事なんてちっぽけだ。
 ローブのフードを深く被って雷村から炎村に歩き出した。


 「わぁ」
 幼い頃以来外に出てい無かった事もあり、雷村とは違う雰囲気の炎村に胸が高鳴る。
 近未来的でモダンな雷村とは違い、南国のような賑やかで爽やかな風景が美しい。
 そんな炎村に着いてすぐ、案内人と思われる男の子に話しかけられた。
 「はじめて来たの?どう?炎村。楽しいでしょ」
 言動が意外と可愛らしくて驚いたけど、炎村はこんな感じだろうなって性格でもあった。
 「本当だね、明るくて楽しい」
 雷村とは180度違う。優しそうだし話しやすい。
 科学者にならないとみたいな雰囲気も全くないし。
 「僕はフィア・リエイム!君はどこの村の子?名前教えてよ」
 「あ、えっと…私はトワ・マディカ。雷村から来たんだ」
 「へぇ、雷村ねぇ…」
 何?怖い。震えが止まらない。ねぇ、何か言ってよ…
 「雷村ってさ、魔法に厳しいよね」
 「そうだね…科学者にならないとだから、出来ないとすごい言われる」
 怖かったな、あの時。
 「トワも、そういうのに厳しいの?」
 「え?」
 「あ、ごめんね!僕魔術師だからさ、この村で1人だけ」
 「……そうなんだ」
 「才能が無かったっぽくて。魔力はあるけど魔法使えませんって感じなんだよね」
 「他にもいろいろあって、周りは責めてないけど、僕が気にしちゃってる」
 「___それでも、魔力はあるんだから、良いじゃん」
 「?!」
 怒った訳じゃないし、妬んでいる訳じゃない。
 ただ、昔の私みたいな思いをしているのなら、あえて強く言う必要があると思った。
 「雷村は魔法社会だよ、確かに。そこでは魔力の多い人が上、少ない人が下」
 「私だって一緒だよ、魔界で1人だけ、魔力が1ミリも無いんだ」
 「え…」
 「びっくりでしょ、でも居るんだ。あんな村で酷く差別され続けた私が」
 「でも、ここは炎村でしょ?雷村じゃない。」
 「私は差別されたけど、フィアは何も言われずに普通にしてもらってるんでしょ?」
 「フィアの話を聞いて、私も炎村に生まれたかったって思った」
 「周りが気にしてないなら気にしなくて良い………と思う」
 ペラペラ余計な事を話しすぎてしまった。でも気付くのが遅かった。
 「……!」
 フィアは泣いてた。
 「フィア、ごめん!キツく言い過ぎたよね、」
 「ううん…!ありがとう、僕、大切な事に気付いた」
 「これからは気にしないようにするよ!」
 にこっと笑う姿は太陽のように眩しくて、その眩しさに反射するかのように私も笑顔にならざるを得なかった。
 「ねぇフィア、お願いがあるんだけど」
 「いいよ!何でも聞く」
 そんな感じで魔術師・フィアと仲間になった。
 どこまでも適当で軽いけど、それくらいが丁度良いのかもしれない。

Re: 魔界にうまれた僕達の、 ( No.5 )
日時: 2024/02/11 15:12
名前: のゆり (ID: 7NQZ9fev)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no


 ※体調が優れず先週の投稿をお休みしていました。

 フィアがメンバーに加入して、私達は次のメンバーを探しに行く事にした。
 「トワ、次の人はどの村の人にするの?」
 「そう……だねフィアが火だから火属性はもう十分だけど…」
 「決めてる?」
 「特には決めてないよ」
 フィアに何か案があるとみて、私はその案に身を委ねてみようと思う。
 「なら____氷村に行こうよ!」










 「わぁ」
 フィアの推薦する氷村に着いた。
 一面の雪景色、大きく聳え立った氷の山。
 雷村とも炎村とも違う、何か異質がここにはありそうだ。
 「すごいすごーい!何か…何かすごーい!」
 フィアも興味津々だし、案内人いないし、勝手に入っちゃうか。



 「卜ワ見て!村の人いるよ!こんにちわー!!」
 「あ、ちょっとフィア!」
 村の人は苦笑いを浮かべたと思ったら、すぐさま元の様子に戻ってしまう。
 冷たいなぁ…
 「トワ」
 「?」
 めずらしく真面目な声がして、反応が遅れた。
 「あれ」
 あれ、とだけ告げて指を指す先を見てみると、そこには1人の少年と、複数の人が囲うように何か話していた。
 少年は気にしてないようだけれど、周りがクスクスと笑っているのが分かった。
 「ねぇあれどーする?助ける?」
 フィアは助けたいんだ、でもね、私は知ってるんだ。
 「無理だよ」
 「?!」
 私の声と周りの人達の声が重なり、フィアは猫のように驚いている。
 「あの人はシャノ・フローズ、この村一番の実力者」
 「強いけど冷たいし、他にもあって、避けられてるんだ」
 またクスクスと笑いはじめる。
 あ、何か居づらいな。シンプルにそう思った。
 でもそのお陰で、さらりと流れた実力も知る事ができた。
 「ねぇ」
 「___何だ」
 「私達と一緒に旅をしない?ローズ女王を助けにいくの」
 「…は」
 意味わからんといった顔でこちらを覗いているが、そんなのとっくに承知済みだ。
 「この村にいるより過ごしやすいと思うんだよね、私達も訳ありだし」
 「___僕も!君みたいな人探してたし、来てほしいって思うかな」
 「……」










 「改めまして!シャノ・フローズさんでーす!」
 「今のお気持ちは?」
 「俺は何でコイツらに乗せられたんだろうなと」
 「あっはは!何それ~」
 「改めてよろしくね、シャノ」


 私達の旅に、新しい仲間が増えました。


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