ダーク・ファンタジー小説
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- 小さな世界
- 日時: 2024/05/25 22:54
- 名前: レノン (ID: TaHLTR3K)
何羽もの雀の歌声が温かさを加えた空に響き、雲はゆったりと散歩をする。
春はすぐ近くのようだ。
わたしは圭二さんの仕事の都合で引っ越すことになった。私の学校の3学期も終わり丁度いい時期だ。場所はここ数年で都市化が進む『宇野市』。確か、3つの市が合併したかなんとか。最近人口増加しているらしい。一花さんは正社員として圭二さんとは違う会社で働いているが、リモートなので支障はないと言っていた。ほとんど遠くに出掛けたことのないわたしはどんなところなのか、わたしは下見に行っていないので不安だ。
少し眠いなぁ、うとうとしてそんなことをぼんやりと考えて空を見ていると、「荷物まとめ終わった〜?」
「15分後には主発だからな〜」と上の階から一花と圭ニさんの声がする。
はっと我に返り、「はーい、まとめ終わりました〜」と返事を返す。
(そういえば、今日仲良しの子達が見送りにきてくれているんだった( ゚д゚)!)ふっと思い出してわたしは急いで荷物を持って廊下を小走りし、ドアを思い切りバンッと開ける。(もう、家の中に入れないのだからもう少し見ておくべきだったかな、いや、仲良しの子達との事が最優先。)と後悔を消して家の前で待ってくれている子達に話しかける。というかあまりにも勢いよく開けすぎたせいか話しかける前からみんなが一斉にわたしの方を向いた。そして、そのうちの一人の子が
「おはよ〜瑠奈!朝から相変わらずだね」
「あはは…」
そう苦笑いしながら他の子達との挨拶をかわす。もう最後になるかも知らないから。
少し雑談をしていると一花さんの声がする。
「そろそろ出発するよ〜」
「はーい、分かりました〜。ごめん、もう時間。最後になるかも知らないから軽く言うと、今まで仲良くしてくれてありがとう。
離れても友達でいてくれると嬉しいな。」
「もちろんだよ!元気でいてね!」
「そうそう!青春できるといいね、あ、今もか。」
鈴がなったような笑い声が辺りに染み込んでゆく。この声もこの町の春の一部になるのかな
「じゃあね。」わたしは一花さん達が待っている所に歩き出し顔だけ振り返って言った。
「バイバイ〜!」みんなが一斉に送り出してくれる。その気持ちがたまらなく嬉しくて、よりここに留まりたくなる。だって、ここはわたしの故郷と言っても過言ではないから。けれど、そんなことできるわけがない。だから私は走り出した。この気持ちに強制的に区切りをつけるために。
車に乗り込む。圭二さんが最近買った車はまだわたしは数回しか乗っていないからわたしが乗る後部座席のところが特にピカピカだ。
エンジンがかかり、車が走り出す。みんなの声が窓越しに聞こえてくる。正直、近所迷惑にならないかが心配。わたしは漫画のように窓から顔を出して、全力で手を振るなどの行為は危ないからできない。だからこの気持ちをめいいっぱい受け取ってあとでみんなに連絡しようと思った。
しばらくするとかなり景色が変わってきた
何処だか全く見当がつかない。それに出発前の睡魔が今襲ってきた。
(眠い、眠いなぁ…)そう考えているうちにわたしは眠りについた。
〜キャラクター紹介〜
永断 瑠奈(えいだん るな
13歳(物語では14歳になる)
利他的主義で穏やかな性格。
誰からも愛される?女の子。
おしゃれが大好き。
永断 一花(えいだん いちか(旧姓元野)
瑠奈を育てる、圭二の妻。
正社員として働く。
永断 圭二(えいだん けいじ
瑠奈を育てる、一花の夫。
最近車を買った。