ダーク・ファンタジー小説

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報われない少女
日時: 2024/06/28 17:25
名前: とろろ (ID: ZANhAUnF)

私はプールが大好きだった。
あの夏が来るまでは。

ー数年前ー
父「お前は泳ぐの早いなぁ!」
私「でしょ!」
母「水泳選手になれちゃうかもよ?」
私「なるもん!」
父「そろそろ帰ろうか」
私「、、、、、、もうちょっとだけ」
母「ダメだよ。じゃあ、また来年も来ようね!」
私「うん!」

こう言うふうに、小さい頃から泳ぐのが大好きだった。
毎年プール付きのホテルに泊まっては泳ぐ、と言うのを繰り返していた。

しかし、2年前からは行かなくなっていた。
理由は簡単。
泳ぐに嫌いになったから。
いや、泳ぐのが嫌いというより、正直言って周りの目が怖かった。

机に置かれた、真っ白なそのードロップが入れられた花瓶。
カッターとマッキーでぐちゃぐちゃになった机。

側から見たら「いじめ」というやつだったのかもしれない。
しかし、誰も手を差し伸べてくれる人は居なかった。

毎日、靴箱から消える室内履き。
黒板に堂々と書かれた私の悪口。

こういう事がされるようになったのは2年ちょっと前のこと。

最近私に嫌がらせをしてくる女子グループの中心の女の子の彼氏は、水泳部だった。
私は、泳ぐのが好きだったから、水泳部に入った。
すると、その彼氏らしき子と仲良くなり始めた。

最初はなんともなかった。
しかし、時間が経つにつれて私の持ち物が無くなっていたりしていたのだ。

恐らくその男の子と仲良くしていたのがきっかけだったのだろう。
1人で登下校している際も、聞こえるような大きな声で
「酷いよ、、、私の彼氏を取るなんて、、、」
と言って、泣き真似をし出した。

めんどくさいな、と思って急いで学校に向かってからというもの、嫌がらせはエスカレートしていった。
その時から水泳部に行くたびに嫌がらせを受け、徐々に水泳部には行かなくなっていった。
これで嫌がらせは軽くなるかな、と思ったのも束の間、再度、同様な嫌がらせをされた。
担任に言おうかとも考えたが、これ以上友情関係が壊れるのは嫌で、言わなかった。

いや、言ってもどうせ聞く耳を持たれないだろう。と思った。
何故なら、そのいじめっ子の中心にいた子は、クラスの人気者で、先生とも仲が良かったからだ。
親には絶対に言いたくなかった。
担任以上に。
心配させたくなかったから。

精神的にも辛くなり、水泳部にも行かなくなり、このままだと他の部員の子達に迷惑がかかるかもしれない、と思い、自ら望んで退部した。

その瞬間、今まで好きだったのに、完全に泳ぐことが嫌いになった。

親には勉強との両立が難しかったと話して説得させた。

ああ、どうせみんな仲良いふりして裏で悪口言ってるのに。
この為だけに飾られている、スノードロップ。
花を見つめていると、思いついた。
いじめっ子たちと違う世界に行ければいい。と。

そうして、私は学校帰りに海に寄った。
両親には「友達と遊んでくる」と嘘をついて。

久しぶりに水に触れた。
周りの目なんか気にならない。
そうして、私は今までの思い出を考えながら海の底に、沈んでいった。

ー死後の世界ー
私「、、、、、、!やっと、やっと解放されたんだ。あの地獄から。」

数分歩き、観察する。

私「そういえば、ここってニュース見れるのかな」
そう思って、テレビをつけた。
すると、衝撃的な内容のニュースが流れていた。

私「!!!!!!」

言葉にならなかった。
何故なら、親がいじめっ子達を殺していたからだ。

ああ、なんてことをしてくれたんだ。
無理に干渉するからこんな事が起きたんだ。
余計な事を。

私は最後に、神にもう一度やり直したいかなり直したくないか、聞かれた。

私「転生なんてしたくもありません。その代わり、いなくなる前に一つ花瓶を置かせてください。」

そうして私は、黒いユリを置いて、死後の世界からも消えた。


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